59 ようやく触れた父王の本音
「あら...突然召喚されたと思ったらあなたなの」
使い魔の猫は父を見て嫌そうな顔をした後、私がベッドで横たわっているのを見て目を見開き、ベッド脇に飛んでくる。
「ラベンダー!あなた!!大丈夫なの?すごい音で落下してたし!二人に攻撃されて!!」
「猫ちゃんの話を聞いて、何かあったんだと思って急いで転移したんだけど、ダメよね。転移はできるけど落下して怪我するし、今回はこんな近場の部屋に落っこちるし...」
「あなたは魔女だもの。仕方ないわよ」
使い魔は、父の方に振り向いて毛を逆立てる。
「あなた!私の主人に何する気!!」
「なにをするもへったくれもあるか。お前たちの会話を聞いていたら、またお前が、なんかやらかしたんだな」
「やらかしたって、まるで私がやらかしたようにいうんじゃないわよ。たしかにヴァネッサとラスカルが抱き合って慰め合ってた時は、あなたに言っちゃったわよ!言い方も悪かった!でも、今回のクラリスがルシアンと抱き合ってキスのところは濁したわよ!まさかラベンダーが来ると思わなかったの!」
「ほーっ!お前は学習能力がなさそうだな」
使い魔と父の言い合いをじっと見ていたが、さらりとすごい言葉が入ってくる。
「二人は...知り合いなの?お父様は、森にも行ったことがあるって聞いたし杖も使っていたわ。」
使い魔と父がピタッと動きを止めて私を見る。
「お母様とラスカル様は、そういう関係なの?だから、お父様はお母様と離婚したの?私のことが嫌いなのは、それに関係があるの?」
父は、少し息を詰めて私を見つめる。
視線が交差する。
私はもう一回、震える声で聞いた。
「お母様が愛したのはラスカル様なの?だからお父様は私のこと嫌いなの?私…生まれたことが迷惑だったの?」
父の目が見開かれ黙り込む。
ああ....それが答えなのか。
胸の奥をナイフで切りつけられたような気持ちだった。
それを見て使い魔が慌てて、ニャニャニャと騒ぐように泣く。
「い、いろいろ..過去の契約はいえないの。ラベンダーごめんね」
「その契約だが、お前またラベンダーの髪を対価にしているようじゃないか。何を契約することがあったんだ?ルシアンは何をやって...ああ..そうか」
父は言葉を止める。
だから今、猫ちゃんが、クラリスとルシアンが抱き合ってキスしてる話をしてたんだから悟りなさいよ!
私は絶望的な気持ちで、悲しくなる。
「お父様、もう目的を達成したんだから、結婚印はいいでしょう。解除してちょうだい。ルシアン様を自由にしてあげて!ルシアン様を動揺させる目的でクラリス様を王妃にするなんて趣味が悪すぎるわ。彼が何をしたっていうの」
私はもう半分涙声だった。
ニャ!!使い魔が、猫の鳴き声と混ざった声を慌てて上げる。
「そう!結婚印で思い出した!ルシアンも多分この部屋に飛んでくるわよ。結婚印からあなたの場所を探って、王の部屋だって叫んでたもの。今日のだってあれは...」
それを聞いた父は鼻で笑う。
「ふん、どうせ入り口で立ち往生だろうよ。私の防御を破って入れるはずがない。まだ、ルシアンには負けん。だが...面倒だ。ラベンダー、この後どこへいく予定だった?」
「どこって、北部に魔獣が出たからその視察と瘴気の調査よ」
「そうか、ではラベンダー、お前は私に付き添え。」
父は私を浮遊させる。私はベッドに横になったままの姿勢だ。
「お父様?どこへ私を連れていく気なの?」
「北部だ。私も久しぶりに外の空気を吸いたくなった。妻の部屋に行く必要ももうないしな。ひと暴れする」
父は、そのまま呪文を詠唱し始めると巨大な魔法陣を展開させた。
「ルシアンのように、指の音に魔法陣を紐づける方法の方が楽かもしれんな。呪文を忘れそうになる」
そう呟くと、抜いていた私の髪の毛をその陣に入れ込む。
ーー転移!
父の声と共に、横になって浮遊したままのわたしと使い魔は一緒に転移する。
転移先、そこは、先ほど私が転移の魔法陣を展開させて落っこちた場所だった




