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【完結】天才魔術師団長は天才魔女姫を守れない  作者: かんあずき
第一章

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55 森の妖精たちと無人販売はじめました

「では、お金が貯まったら森の貯金箱に入れておくのだ」

金の妖精は目をキラキラ輝かせ、回収箱をじっと見つめる。


「お金は磨いて森の貯金箱に入れるのだ!」

銀の妖精はギラギラした目で空の回収箱の中を行ったり来たり。まだ金が入らないかとでも言いたげだ。


金と銀の妖精は、決まった時間に回収に来る約束だった。

でも、どうやらお金を入れる箱から離れず、随時でも回収してくれそうな雰囲気。

私はふふっと笑う。


「シルフィー」

風の妖精も呼ぶ。

「時々、人が通ったら、このお店の方向に風向きを変えてね」

「わかった!」

私と妖精のやり取りを、ルシアンは不安そうに見つめている。


「森から出ると、俺は見ることも会話もできないんだな」

「そうですね。でも、他の人から見たら、私は独り言を呟く怪しい人です」

「俺も外で妖精を見たいし、会話もしたいんだけど……」


じーっと見つめるルシアンの目線には、まだ魔力混合する気はないのか、というプレッシャーが込められている。

「う……じっくり……です。考えます……」

その視線の圧に、私はつい弱気になる。



お店は海の街には珍しいウッディーな森をイメージして作った。

「目立ってなんぼです。でも無人って珍しいから、興味本位で入る人もいると思うんですよね」


そして、入り口には張り紙を貼る。

《24時間営業・無人販売》

《商品を持って無賃で出ることはできません》


「これでよし!」

私は満足げに微笑んだ。

「無人販売は魔術的にも珍しい発想だ。宿舎や魔術師団の本部にも、食べ物の売店があれば便利かもしれないな」

ルシアンも少し気になるらしい。

「ただし、魔術師の特性で、結界破りに挑戦してくる者も多いだろう。無賃で出られたら「勝ち!」みたいな競争をされても、疲労が増えるだけかな」

「買い物が目的ではなく、結界破りが目的なら、訓練を兼ねてもいいかもしれませんね」

私は、それを想像しておかしくなった。


「空き店舗は、魔術師団が討伐に行くときの休憩所を使ったらいい。姫の店舗だから文句はないだろう。国の利用テストということにすれば、悪さをする人もいないだろうし...」


ルシアンは入り口にしっかりと何十にも結界条件をつけていた。エラーで出られなくなったら困るが、盗まれても困る。


ここは、港からも近く、人の目に触れやすい立地だ。

外国籍の船も出入りし、旅行者や商売人で街は活気づく。


「シーウェンは、本当に活発な街ですね」

「魔術を使う人もこの港にはいるぞ。見てみろ」

目の前の重い積荷が、魔術で簡単に浮遊して、馬車に移動されていた。

「一般人でも少し魔力がある人は、海や山など人が入りにくい場所での仕事を受けるものが多い。高賃金なんだ」

「そうなんですね」


修行の時と違い、実際に生活視点でみるとまた新たな発見が多い。

「ちなみにあの馬車は馬ではなく魔獣だ。攻撃性を落とす魔術がかかっている。よく見てみろ」


私はじっと見る。確かに馬より不自然に大きい。

足は10本、手も生えている。


「魔獣には個性があるが、この魔獣は人と触れ合うのが好きなんだろう。仕事が終われば、普通に馬のように馬房で眠り、すでに溶け込んでいるようだな。」


ルシアンも城下とは違う文化に関心があるようだ。


「でも、これだけいろんな人が出入りして、国際的な船も入国するのに魔女は立ち寄らないのね」

「世界的に見ても数が少ないんだろうな。」


ルシアンも唇を噛み締めながら頷く。

私も少し寂しい気持ちになりながらも、今自分が一人ではないことに安堵していた







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