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天才魔術師団長は天才魔女姫を壊せない  作者: かんあずき


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47/61

47 夫婦の距離が一気に縮まった朝

目覚めたら、目の前にルシアン様がいた。

これは...完全に近すぎる。

妻でなければ、間違いなく近すぎます。


これが...世にいう恋愛の距離感でしょうか??


胸がドキドキするんだけど...だけど....

卵取りに行くのに寝過ごした。

朝一番じゃないと、もう手に入らないだろうなあ。


せっかく美味しいオムレツを作ってあげようと思ったのに


そう思ってがっかりする。


もう一度寝ているルシアン様をみる。

長いまつ毛

すごくぐっすり。


お兄様のこともあって日々疲れていたところの騒動だったから限界だったのね。

私も、相性がいいからなのか?

それとも子供の時から護衛してもらっていたからだろうか?

安心して眠ってしまった。



しかしどうしようかしらる

動くと起きちゃうぐらい密着している


ベッドを作りなおすと今度は置くスペースもないし、早く街で売るものを作って森は出た方が良さそうね


そーっと...


私は抜け出そうとしてみたが、ガシッと掴まれる。

これはーー


「ルシアン...様?」

「今...起きた。すまない。眠ってしまった。なんか、あたたかくて眠くなった」


ルシアンは、あきらかにとろんとした目を擦った。


ふふっ、なんだか妖精みたい。


「力が強かったから、起きてたのかと思いました」

「ん??ああ、すまない。痛くなかったか?」


ルシアンは慌てて両手を離して、再度私の手が跡になってないかみている。


「大丈夫ですけど、卵取りに行き損なっちゃって。

でも、牛乳は取れると思います。普通の牛なんですけど、ここの草は栄養が多いので時々外の牛が森にやってきて草を食べる時に分けてくれるんです」


「そうか、じゃあいかないとな。ラベンダー、俺も行くけどいいか?」


「いいですよ。搾りたてが美味しいから、コップも持っていきましょうか?」


ふふっ、ピクニックみたい。

たしかに一人で飲んで食べるよりおいしそうだわ。


私は再度立ちあがろうとすると、再度手を掴まれる。

元々密着していたので、ルシアンの体の上に座るように引っ張られ、慌てる


「ル、ルシアンさ...」


瞬間、ルシアンの唇が、私の唇に触れてスッと離れる。


「え、え??」


今、触れたよね。

唇と唇!偶然ごっつんじゃなく、触れたわよね。


「目覚めの挨拶、夫婦だから...どう?」

「どうって...よくわからないのですが。その、ほらうちの両親は平等な家ですから、一般的にそういうものなのかどうかもよく分かってなくて」

「そっちは確かに一般的じゃないな。ええと、やりたいからしたんだが...不快だったか?」

「いえ、その...ファーストキスだったと思いまして」

「俺じゃ嫌だったか?」

「そんなことはない...です。頭が混乱してますが...」


二人の距離で沈黙が痛いが、ショックさはない。

もちろん泣き叫ぶもなく、嬉しいというのも違う。


やってしまった!これがキスね!!


という果てしない好奇心の方が強い。

でも、心配そうにみているルシアン様に、それを伝えるのもどうなんだろう?


そーっと近づき、今度は私が唇を落としてみる。

ルシアンの目が大きく見開くのが見えて、ドキッとして離れる。


「あ、あの。一緒です。お互いしてみた。おあいこです。」


私もしてみる...は間違いだったのか?

嫌ではないですよ。

私もしましたよ。


のお返しだったんだけど...


「もし、嫌でなければもう少し長いキスでもいいだろうか?君が魔力混合の話をしていた時のようなやつだ」


ルシアンが、少し目を逸らして話すが、恥ずかしいのか顔が赤くなっている。

そういえば、出会った時に私はこれの更に上をやろうとしていたんだった。

今のやつの延長....やってみたい。


いや、キスなんだからやってみたいはおかしいのか?


「やってみたい!は、慎み深くないでしょうか?」

「いや、嬉しい。魔力はもちろん流さないから、そのまま楽にして」


私は頷いた。

唇が近づき、ルシアンの指先が私の顔や神を愛おしそうに触れる。


「...っ!」


口だけだと思っていたのに、突然頬や髪、首筋を猫を撫でるように触れるので、ビクッとしてしまう。


「怖がらなくていい」


そう告げたと同時に、そのまま、唇から捕食するような深い口づけに、思わず息が止まった。


「んっ…!」


先ほどの触れただけはなんだったの!!


形や角度が変わりながら深く長く溶かされるような、飲み込まれていくような...

ギュッと、ルシアンを掴む。


こんなの、知らない


頭が真っ白になって、身体の力が抜ける。

私はますますすがるように、でも混乱して、どうしたらいいのか自分でもわからない。


「……ラベンダー」


名前を呼ばれ、びくっと頷く。

そして、はあっと息がこぼれた。

息が止まっていたのか、どう吸えばいいか分からず、唇が離れた今、必死で呼吸をしている状態で恥ずかしい。


「はあ...はぁ...」


これは...かなりドキドキして、恥ずかしくてルシアン様の顔が見られない。見られないのに、私の顎に当てた手を離してくれない。

でも、ルシアン様の手も震えていて……それが顎から伝わり、お互いかなり興奮してしまった。


「…ごめん。抑えたつもりだったんだが、想像以上に……君が愛おしかったらしい」


「い、いえ、恥ずかしくて...その経験もないし...」


知らない世界を見てしまったような、それなのにまだ見たいと思う自分がいて恥ずかしさで藁の中に潜りたくなる。


「怖くなかったか?嫌じゃないか?」

「……怖く、なかったし、嫌じゃないです。恥ずかしいけど」


素直に言うと、ルシアン様がほっとしたように「良かった」と呟いたのを聞き、胸の奥がきゅうっとなる。


「牛乳もらいにいこうか。搾りたて、楽しみだな」


その声にコクコク頷くが、会話の中身が頭には全く入ってこなかった。



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