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天才魔術師団長は天才魔女姫を壊せない  作者: かんあずき


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16 魔力を渡す危険な提案

私ーーラベンダーは、ルシアンからの叱責に、悲しい気持ちもありながら、現状を話せたことで少しほっとしたような気持ちもあった。


(物語のヒーローみたいな人っているのね。

怖い人と思ってたけど私の今後のことを心配してくれるわけだし...)


ちらっとルシアンの部屋のベッドを見る


押し倒される可能性も...いや、本人が否定している。

うーん、貧相な顔と体か...

残念ながら否定できない。


ルシアン様をわたしの師や夫にしようとしたのは、両親の唯一の親心なのかもしれない。

でもルシアン様からしたら、とんでもない話だわ。


わたしは、ふぅーっと息を吐いた。


クリス兄様の件はショックが大きかったけど、ルシアン様を騙すことなく、きちんと私と関わるリスクを伝えられて良かった。


「ルシアン様、ますお母様のところに行って先ほどの報告とお叱りを受けてきます。その後、父とこの婚約話の解消に向けてなんとか話をしてきます」」


闇の妖精を呼んで、部屋を出ようとする私をルシアンは慌てて追いかける。


「君は!あんなことがあったのにまだフラフラするのか?なんで転移しない?」


「なぜっていわれても、歩かず、場所移動するのは正しい魔力の使い方ではないからです。簡単に転移できてしまうことに慣れれば、普通に道端にある出来事を見逃してしまいますし...」


そう説明すると、訳がわからないとばかりにルシアンの顔が一層険しくなる。

私は、闇の妖精に再び体を強く隠してもらった。

風の妖精にも、誰かが危害を加えそうだったら吹き飛ばして良いと告げる。


「これで大丈夫です。話をした結果は、後ほどお伝えしますね」


ルシアンにお礼を告げて再び出ようとしたところで、慌ててルシアンに手を掴まれる。と同時に風の妖精が強い力でルシアンを吹き飛ばす。


うわっ!


ドサッと壁にルシアンが叩きつけられる


「ルシアン様!!妖精たち、一度戻って!!」


闇と風の妖精はふっと消え、私は急いでルシアンの元に駆け寄る。


「大丈夫ですか?」


私は急いで駆け寄り、ドライアドが作ってくれた杖でヒールを施す。

クリスのこともあり、初回から、触れたものに対して激しく風の妖精の攻撃をさせてしまった。


「護衛と言いながら、これでは俺も恥ずかしすぎるな。かつて君を護衛していた時は、ヴァネッサ王妃が妖精の姿が見えて尚且つ協力してくれるように頼んでいたから良かったんだが...残念ながら、妖精の魔力から気配やぼんやりとはわかるが、完全には見えないし、全く自分の防御が効かないんだ」


わたしの「ヒール」が効いたのか、痛みは消えたようだ。

ルシアンは立ち上がり目を細めて、周囲に妖精がいないかを確認している。


「今は、妖精は帰ってもらいました。すいません。先ほどのお兄様のことがあったので、最初の一撃は強めに意識してしまってました。危害を加えるとの触れるとの違いが、妖精にはわかりにくいのかな」


私はうーんと悩む。

そもそも、兄とすら手に触れたことのない人生だったのだから、そんな細かい設定をしたことがなかった。

妖精からしたら、強い力で腕を握られたら即攻撃なのだ。


「ヴァネッサ王妃のように、妖精が見えることと妖精に協力してもらう許可を出してくれないか?」


私はルシアンからそう言われて...戸惑った。

母は妖精と契約をしているのだ。

だから、契約者の言うことを聞くのだが、私は妖精と契約はしていない。

理由はーー妖精と契約するにはそれなりの対価がいる。

ヴァネッサの場合は、少し命を削っている。


「だって美しさを削るのは嫌なんですもの。年老いての命なんて、妖精にくれてやるわよ」


ヴァネッサはその話は嫌がる。

きっと、迷ってその選択をしたのだろう。

だとしたら、あとルシアンが妖精を見たり関われるようにするには...


私は考えて、ぼっと顔が赤くなる。

いや、でもそれしかない。

それこそ、なんて提案をしていると怒られそうだ。


私はチラッとルシアンをみる。

貧相な顔と体に関心がない宣言をした形だけの婚約者だが...許されるのか?

婚約者だから、ルシアンさえ良ければーー私は、ルシアンが去っても、ルシアン以外ともっとすごいことをする未来があるのだし...


もじもじしていると、苛立たしげにルシアンから声がかかる。


「どうなんだ?ヴァネッサ王妃と同じことはできないのか?」

「母は妖精との契約き命を削っておりまして…今すぐの判断は難しくて…」

「はあっ??」


ルシアンの目が驚きで見開かれる。

さらに、


「君は?将来、自分も契約するのか?」

「いえ、まだそこまでの判断は…」

「当たり前だ!なら、無理だな」

「いえ、方法はあるんですけど…その…うまく言えなくて…」

「はっきり言え」


怒りと焦れったさが混ざったルシアンの声に、私は意を決する。

ルシアンの怒りもMAXに近づいている。

最初の穏やかだった時に比べ、先ほどの王家の裏事情を伝えたこともあり、段々容赦ない態度に変わっている。


「もし、お嫌でなければ少し口から私の魔力を流しますのでもらっていただけますか?そうしたら妖精も見えるし、妖精の方も、私の公認だと判断するので...」


「.....は?」


まあ、そう言う判断になるわよね。

あなたにキスするので、私の魔力を受け取れってーー


でもそれ以上は...わあああああっ!無理!無理!無理!

これ以上は、子種コースになってしまう!!

子種コースでも、わざわざ魔力を流し、相手にも受け取ってもらわないと相手の魔力と混ざることはないのに...ハードすぎる


心臓がドキドキし、顔が熱くなる。

手が震える中、私は必死に冷静を装った――けれど、ルシアンの驚きの顔が、私の心をさらに焦がすのだった。



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