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【完結】天才魔術師団長は天才魔女姫を守れない  作者: かんあずき
第三章

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102/124

102 善意が罪になる場所

「姫様がやりたがっておられるなら、私たち必要ない気がしますの」


聖女たちはそれから更に数日すると、武道場にきてもボイコットし始めた。

私は、聖女の仕事をとって怒らせてしまったのだ。

完全に肩を落とす。


「クラリスがかわいそうだわ。二人は結婚間際だったのにね」

「ルシアンとやり直しをしようとしたのに牢に入れたらしいわよ。王家の権威をきせて無理やり結婚したぐらいですもの。聖女を出し抜くのは得意よね」

「二人は理想のカップルだったわ。いつも身を寄せ合って歩いていたわよね。権力さえなければ引き裂かれなかったのに」


聞こえるように、すれ違いざまに、聖女の嫌がらせが悪化している。

「あいつら、普段から俺たちの怪我を治す気もないくせに!」

「姫!気にすんな。ルシアン団長はお前にベタ惚れだと思うぞ。俺たち話してるだけで睨まれるんだからな」

若手騎士が庇い始めると、魔術師たちもルシアンの妻を聖女と一緒に貶すわけにもいかず、目を彷徨わせる。


「すいません。」

頭を下げながら、聖女がやらない分、回復治療を魔術師と行う。その魔術師も迷惑そうだ。


第一騎士団長のカイルがその様子を見て声をかけてきた。

「聖女たちが姫の存在が面白くないなら、いっそ姫を騎士団所属にしてもらうように王に進言しようか?ルシアンはいい顔をしないと思うが、姫にとっては、その方が居心地がいいと思うぞ。」

日々の練習には、各騎士団から日替わりで団長が指導している。その中でジェシーが所属する第一騎士団長や団員は、ジェシーのおかげで比較的早くから私に対する偏見の目は持っていなかった。

「それ、騎士団所属ですよね。第一騎士団所属じゃないですよね」

他の騎士団の団員がうちにもよこせと声をだす。


「ありがとうございます。ルシアンとも相談をしてみます」

みんなの迷惑になるなら、望まれて騎士団で仕事をする方が良いかもしれない。

心配して声をかけてくださるのだし。

だけど、騎士団に行くというのは、ルシアンの顔を潰すことになるのかも。

話し合って決めないと...


そう返答すると魔術師団員が慌てて、真剣な目で私や第一騎士団長に訴え始めた。

「何を勝手なことを言ってる。うちに姫が所属して仕事を覚えるのは、王が決めたことだ」

「姫もまだ、仕事の分担が慣れてないから聖女や魔術師の仕事をつい取ってしまっただけだ。ちゃんと分相応な仕事をしてもらえればトラブルもない。」

「姫も、団長の立場を考えてください。まるでルシアン団長が姫のわがままを許しているように映って、お立場がなくなってしまいます。」


私のわがまま...

分相応な仕事をしてもらえたら...

ルシアンの立場をなくしてしまう


私は、足元が崩れていくような血の気が引いていくような気持ちになる。

もう..限界だわ。

隠れたい。闇に隠してもらいたい。

誰にも姿をみせたくない


「ご...ごめんな...さい」


私は、後すざり震えがとまらない。

そっと後ろに下がろうとしたところで「トンッ」と人の体に当たった。


「あ...」

振り向いた瞬間、姿を現した姿に私は固まる。

そこにいたのは兄のクリスだった。


「クリスお兄様..」

クリスはぐるっと周囲を見回す。

「何日も隠蔽魔法を使って見ていたのに、誰も気づかないなんてあまりに杜撰な魔術を持っているじゃないか?よっぽどルシアンの教育が行き届いているらしいな」


私を責め立てた魔術師たちをクリスが睨みつける。

「おい、聖女。ずっと見させてもらったが、王家のものより自分たちの方が力があるって思っているからその態度なんだよな。それなら、父上に聖女奉仕団は不要だと伝えておく。お前たちみんな揃っても、ヴァネッサ王妃にもラベンダーにも敵わないのに、その力を妬んで仕事をしないなんて、自分たちは王家になりかわりたいと言ってるようなものだ」


クリスが歩くと、周りがみんな後ずさる。

「お兄様...」

「それならいっそ、クラリスみたいに王家に入りたいと貪欲に狙う方がまだ人らしくないか?ここ数日見ていたが、聖女たちが治療するのは、貴族か将来有望視されているものばかりじゃないか?なあ?」

クリスが騎士団の若手に目を配ると、騎士たちも「そうだ」と声をだす。


「お前たちが勘違いしているようだから言っておいてやる。

ラベンダーはここにいる誰よりも能力が高く優れた力を持つ魔女で、王の寵妃の娘だ。

お前たちは王家よりも自分たちの方が優れていて能力が高いと思っているようだが、こいつの杖一振りでルシアンすら敵わない事を知っておけ。

魔女が恐怖なのは、魔女を怒らせばそれだけの被害を出すことが可能だからだ。こいつは怒らなくても、こいつの母親も魔女だからな。怒らせる行動ばかりとるやつは、自ら死にたい奴だと俺は思うが...どうなんだ?」



周りが凍りつく。

お兄様が...私を庇っている。

じわっと涙目になっていく。


「お兄様...」

「ラベンダー、お前にはまだ話がある。いくぞ」


クリスは目の前に転移陣を展開させ、私の肩を抱いたかと思うと飛ぶ

飛ばされた先は、ルシアンがいる団長室だった。







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