新しい朝
朝の目覚まし時計がちょうど 6:44 を告げた。
これまで何度も見てきたゾロ目が、今日もまた私を迎える。
新しい職場、初めての出勤日。緊張と期待が入り混じる胸の鼓動に、静かな安心感がそっと寄り添った。
駅に向かう途中、通りのカフェの窓に映った自分の姿を見つめる。
「大丈夫、ここからだ」
心の中で繰り返す。
職場に着くと、先輩たちが温かく迎えてくれた。
オリエンテーションで聞く地域の健康課題、支援の仕方。
頭がいっぱいになるけれど、どれも「自分のため」じゃなく「誰かのため」だと思うと、自然に力が湧いてくる。
昼休み、スマホをちらりと見ると、時刻は 12:12。
またもやゾロ目。
笑みがこぼれた。これもきっと、小さな合図だろう。
午後の訪問先で、初めて直接話をしたお年寄りが、私の名前を呼んで微笑んだ。
「あなたが来てくれてよかった」
その言葉が何よりの励ましだった。
帰り道、夕焼け空の下、ふと時計を見ると 18:18。
また同じ数字に出会い、今日一日の小さな奇跡を感じた。
ゾロ目はもう、ただの偶然じゃない。
私の選択を支え、これからの一歩を照らす光だ。