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初クエスト選び

 緊張と衝撃の連続のギルドメンバー登録をなんとか終えた私は、ギルドマスターであるオーディアンさんと一緒に手続き室から出ると、朝にギルドへ来た時よりも人が増えていた。


「あ、クロードさん。終わりましたか?」


 部屋を出たところで、朝に会った受付嬢のエルザが声をかけて来た。


「おう。問題無く終わったぞ」

「の、割には少し、言い合いをしていた様でしたけど?」

「あ、あはは・・・・・すみません」


 騒ぎすぎたと苦笑する紅音。


「実は、彼女と俺の親戚が同郷だったらしくてな、話が盛り上がったんだ」

「そうだったんですか?」

「ああ、俺の父方の曾爺さんの従兄弟の嫁さんの末の弟の婚約者のな」

「それ、殆ど赤の他人ですよね」


 どんな言い訳!?


 サラッと誤魔化すオーディアンに思わず脳内でツッコむ紅音。

 その時、


「あ、アカネさーん!!」


 元気な声が聞こえた。

 振り向くと、ジオルくんがこっちに向かって来ていた。


「ジオルくん、皆さん」


 ジオルくんの後ろから、アドルフさん達もこっちに歩いて来ていた。


「登録は終わった?」

「はい。無事に終わりました」

「じゃあ、アカネも正式にギルド【アツモリ】の仲間ね」


 ウサ耳美人なキャロラインさんの笑顔。


「サブメンバーですけどね」


 そんな、キャロラインさんの笑顔に釣られて私も笑う。


「アカネさん!!ギルド【アツモリ】へ、

 ようこそ!!」


 満面の笑みのジオルの後ろには、柔らかい表情のアドルフとジャミールが立っていた。


「うん。よろしくお願いします」


 小鳥遊 紅音。

 無事に異世界で就職にあり付けました。


「アカネは、今日はどうする?」

「今日は、サブギルドメンバーの仕事、クエストを見て、挑戦出来そうな内容だったら、挑戦しようと思います」

「そう」

「挑戦する事はいい事よ」

「はい、出来たら、どんな仕事があるのか把握しておきたいので」

「真面目だな」


 紅音の真面目な返事にアドルフは小さく苦笑する。


「アカネさん、クエストの掲示板は向こうだよ。見に行こうよ」

「うん。ありがとう。ジオルくん」


 紅音の手を引き、クエストが張り出されている掲示板へと向かう紅音とジオルを見て、


「おー、おー、ジオルが随分と懐いているな」


 オーディアンが面白いと口元が緩んだ。


 ジオルに手を引かれ、最初に来たギルドのホールへ戻ると、壁に大きな掲示板が掲げてられていた。


「アカネさん、ここがサブギルドメンバー用のクエスト依頼の掲示板だよ」

「いっぱいあるねー」


 掲示板には十数枚も紙が貼られており、一枚一枚に絵や依頼内容が書かれていた。


 内容は、薬草採取や鉱物採取。買い物、迷い猫探しや荷物運び、雑貨店や飲食店の手伝い。中には絵のモデルや試作の料理の試食など様々な依頼が貼ってある。

 確かに、子供でも出来そうな仕事も多い。


「この中から、クエストを選んで、あっちのクエストカウンターに持って行けば、クエストの依頼を受けられるんす」

「そうなんだ・・・・、って、あれ?」


 ふと、反対側の壁を見ると、同じ掲示板が掲げてある。


「ジオルくん、あっちって・・・」

「え?あ、あっちは正規ギルドメンバー用のクエスト依頼の掲示板ですよ」

「正規ギルドメンバーの?クエストの数少なくない?」


 だけど、こっちの掲示板と同じ様にクエスト依頼の紙が貼られているが、向こうの貼られている紙の数が少ない。


「あー、アカネさん逆なんです、逆」

「逆?」

「朝俺が話した、話覚えてます?」

「・・・・・魔女狩りの話?」

「はい。魔女狩りの噂が広まって、おん、んッ、女性や子供が中心に受けていたサブギルドメンバー用のクエストを受ける人が減ってしまって、クエストが溜まりまくってるんです」

「なるほど・・・・」


 よく見ると、向こうの掲示板には人が集まっているのにコッチには人は殆ど居ない。


「ギルドとしても、クエストが滞るのは信用問題らしくて、ギルド側も困っているんです」

「そうなんだ・・・」


 ジオルの話を聞きながら、クエストの内容を見ると、報酬はクエストは銅貨5枚から銀貨5枚。

 500円から5000円。

 本当に子供のお小遣いレベルだ。

 

「チチ、チチチチ、チチチ(ご主人様、こちらのクエストは如何でしょうか?)」

「ん、シロ。どれ?」

「チチチチ(コチラの薬草採取です)」


 耳元でシロが囁きながら、一枚のクエストの紙を指差す。


「薬草採取?何々?薬草、モルラーシュの花の採取。花一本につき、銅貨5枚。

 モルラーシュの花10本希望」


 クエストの紙には採取対象のモルラーシュの花のイラストと小さな簡易的な地図が描かれていた。


 花が1本で500円、10本で5000円か。中々の高額報酬だ。


「モルラーシュの花、ですか?」

「知ってるの?」

「モルラーシュの花は、この地図のラマーニーニ草原と森の中間辺りに群生する薬草なんですけど、希少な花な上、森が近いから魔獣に遭遇する可能性があるんです」

「え、それって、サブギルドメンバー用のクエストで大丈夫なの?」


 報酬額が高いと思ったけど、それなりのリスクもありそうだ。


「あー、これはギリギリのDランクよりのEランクのクエストですね・・・・ん!」


 ピョコン!!


「!?」


 クエストの紙を眺めていたジオルの頭から猫耳が生えた。


「ど、どうかした?」

「アカネさん、すみません!ちょっと失礼します!!」


 何かを閃いたかの様な顔をして、そう言いながら、走り去ってしまった。


「え、あ、ジオルくん!?」


 いきなりジオルが走り出し、置いてきぼりになってしまった紅音。


「どうしよう・・・」


 私は小さく呟き、掲示板を眺める。


「チチチ(ご主人様)」

「ん?なに?シロ」

「チチ、チチチチ、チチチチ(実は、ご主人様のスキルについてご報告があります)

「私のスキル?なに?」

「チチチチチチ、チチ、チチチ、チチチチ(ご主人様のスキル『鑑定』のレベルが24に上がり、『鑑定眼』が取得されたました」

「『鑑定眼』?」

「チチチチ、チチチチ(はい。実際に発動してみた方がわかりやすいでしょう)」

「分かった。スキル『鑑定眼』」


 私は、シロに言われた通りにスキル『鑑定眼』を発動させた。

 すると、顔を何かが装着された。


「これって、メガネ?」


 私の顔に赤縁のメガネが掛けられていた。


「チチ(はい)」

「私、視力そんなに悪くは無いけど?」

「チチチチ、チチチチ、チチ、チチチチ(これは、視力を補正の為の物ではございません。その鑑定眼で、クエストの絵を見てください)」

「絵を?」


 シロに促され、先程のクエスト、モルラーシュの花の絵を見ると、


【モルラーシュの花。

 花は胃腸薬に、茎と根は整腸剤の原材料。

 春から初夏にかけて唐紅色の花弁に青い雌蕊の花をつける】


 メガネのレンズにディスプレイで出たような説明文と濃い紅赤色の百合に似た花の映像が出てくる。


「ッ!」


 更に、簡易的な地図がメガネのレンズに写り、光の線がスキャンする様に上下に動く。

 そして、簡易的な地図よりも詳細な地図が写り、小さな点が複数点在いていた。


「これって、もしかして花の場所を示してる?」

「チ(はい)」

「おおー」


 これなら、ディスプレイ越しに見なくても、そのまま鑑定出来る。

 更に、鑑定対象の映像や鑑定対象の場所も判明する。


 確実にグレードアップしている。


「シロが、このリクエストを勧めた理由はコレ?」

「チチ(はい)」


 確かに、この鑑定眼は採取や物探しに重宝しそうだ。

 だけど、


「でも、これ、ずっとかけていると、目が疲れそうね」


 レンズに映る映像と、レンズ越しの景色に視界が混乱しそうだ。


「チチチチ、(別のクエストになさいますか?)」

「ううん。せっかくだから。それに、このクエストの内容で銅貨5枚を稼ぐ労力の基準がわかると思うんだよね」


 元の世界と異世界の労働基準は恐らくアテにはならないだろうし。


 メガネを外すと、光の粒になって消えた。


「とりあえず、このクエストを受けてみる事にする、」

「ねぇ、貴女」

「ッ!」


 シロと小声で話していたら突然背後から声をかけられ、驚いて振り向く。


 そこには金髪美人の女性が立っていた。

 白い肌、ウェーブのかかった長い金髪。気が強そうなブラウン色の瞳。

 そして、スーパーモデルのような長身とスタイル。

 女神様であるロディ様やアディーダ様も綺麗だと思ったけど、目の前の女性は、また別の意味で綺麗で美人だった。


 海外の大富豪セレブ妻的なイメージだ。


「あ、あの、なにか?」

「・・・・・・・・」


 そんなセレブ美人が何故かじっとコチラを見下ろし見つめている事に、紅音は気まずさを感じる。


「・・・・・・・・」

「えー、えっと・・・・」

「・・・・・・・・」


 恐らく、175㎝以上はある長身の人からジッと見下ろされて、反応に困惑する紅音。

 因みに、私の身長は158㎝だから、長身美人の威圧感が凄い。


「あ、あの何か?」


 紅音がもう一度、声をかけた。

 が、


 ガシッ!!


 いきなり、目の前のセレブ美人が紅音の腕を掴んだ。


「うえ!?」

「お菓子を買ってあげるから、ちょっと、いらっしゃい」

「え?・・・・ええええ!!」


 そして、そのまま紅音の手を引き、何処かへ連れて行こうと歩く。


「あ、あの!!」

「大丈夫よ、ちゃんと可愛くもしてあげるから」

「いや、だから!!」


 有無を言わさず、強引に紅音の手引くセレブ美人に、声を上げようとしたその時、


「何やっているんだ、イザベラ」


 聞いた事のある声が紅音の耳に届いた。


 そして、グイっと強い力で肩を引かれ、その拍子に、セレブ美人に捕まえいた手が離れた。


「?!?!」


 肩に触れる少し冷たい体温。


 顔を上げると、すぐ側に褐色の肌の男性が立っていた。


「ジャミール、さん?」


 まさかのジャミールの姿に目を丸くした紅音だった。


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