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6人の神

 紅音の第二のスキル『異空間プライベートルーム』にまた新たな来訪者の登場に、紅音はお思わず遠い目をしてしまった。


「む、お前達も来たか」

「いらっしゃいませ。レイガン兄様。レニックス兄様。ロディーメイア姉様」


 パルアドルフ様とルカリス様の様子からこの美男美女達も神様のご兄妹らしい。

 ただ、


「げ、レニックス・・・・」


 アディーダ様が同じ赤毛の美男の神様を見て顔を顰めてた。


「げ、とはなんだ。この愚妹が」

「うるさい、石頭」


 口悪く言い合いを始めたアディーダ様と同じ赤毛の美男の神様。

 2人が顔を合わせるとなんだか険悪なムードに・・・。


「え、えっと・・・・」

「アディーダ姉様とレニックス兄様は双子の兄妹なんです」

「あ、あの、お二人は、仲、悪いんですか?」

「悪いと言うよりも、喧嘩中と言うか・・・・」

「あの双子はよくああやって喧嘩してるから気にしないで?」

「ッ!?」


 アディーダ様の険悪な雰囲気にルカリス様とコソコソと話していたら、いきなり耳元でダンディーでバリトンボイスな男の人の声にビクッと体が震えた。

 振り返ると、


「レイガン兄様」


 すぐ背後に銀髪のストレートヘアーのイケメンがいた。


「自己紹介がまだだったね。僕は創造神デミウルゴス11男、心眼の神、レイガン。あっちでアディーダと歪みあっているのは22男、時間の神レニックス。そしてこちらが、」

「はーい!!33女で慈愛の女神、ロディーメイアちゃんでーす」


 桃色髪の美少女が満面の笑みでレイガン様の後ろからひょこりと顔を出す。

 飴色の瞳を輝かせ、スッと私に近づく美少女。


「ふぇ?」

「ねぇ、貴女が小鳥遊 紅音ちゃんね?」

「は、はい、そうです」

「じゃあ、紅音ちゃん、って呼んでもいい?」

「え?あ、はい」

「えへへ、やった!ねぇ、私の事は、ロディちゃんって呼んで?」

「え、でも、この世界の神様をちゃん付けは、ちょっと、不躾では、えっと、神罰とか下るんじゃ・・・」

「えー、ダメ?呼んでよ紅音ちゃん!」


 うお、グイグイくるな。この神様。


「え、えっと、ロディ様でお願いします」

「えー、固いなぁ。でも、ロディ様でいいよー」


 紅音の妥協案に少し残念そうな顔をするがすぐににっこりと笑顔になるロディーメイア。


「姉様だけズルいです。紅音さん、私もルカと呼んで下さい。他の兄妹にはそう呼ばれていますので」

「おや、それでは、僕の事はレイでいいですよ?」

「え、え、あ、あ、あの・・・・」

「おい。何をしている」


 満面の笑みの美男美女美少女に詰め寄られ、否応なしに顔が火照る。

 美形に耐性の無い私はあわあわするしか出来なかった。


 神様ってみんなアイドルや俳優さんばりに顔面偏差値高すぎる。


 パルアドルフ様が止めてくれなければ、卒倒しているところだった。


「紅音殿を困らせるな。ただでさえ、こちらが迷惑をかけているんだぞ」

「はぁーい」

「ご、ごめんなさい。紅音さん」

「あ、いいえ!あ、あのロディ様、ルカ様、レイ様で宜しいでしょうか?」


 紅音のその言葉にロディとルカはパッと笑顔になった。


「きゃー!ありがとう紅音ちゃん!!」

「嬉しいです!!紅音さん!!」

「わわわわ!!??」


 美女と美少女の熱い抱擁に顔を真っ赤にする紅音。

 ロディ様は同姓の私から見ても思わず見惚れてしまうほどの豊満なお胸をしているし、ルカ様は柔らかなお肌。


 お、お二人共、や、柔らかくて、とても、いい匂い・・・・。


「おや、では僕も、」


 紅音に抱きつく妹達を見てレイは面白そうに笑いながら近く。


「レイ様はご遠慮下さい!!」

「おや、残念」

「すみません、正直、私の心臓が持ちません」


 綺麗な顔でも同姓はギリ大丈夫だけど、ハリウッド俳優並みのイケメンに抱き付かれたら心臓が止まる。

 と言うか、私に美形に抱きつかれて平気でいられる程の程免疫は無い。


「レイガンの兄、紅音殿で遊ぶのはやめろ」

「ふふふ、反応が可愛らしくて、つい」


 呆れた様に溜息を吐くパルアドルフ様とクスクスと楽しそうに笑うレイ様。

 なんとなく、パルアドルフ様には苦労人の気配が、そして、レイ様にはSの気配が・・・・・。


「アディー。レニー。いい加減、痴話喧嘩はそのくらいにしておきなさい。話が出来ないよ」

「む・・・・」

「はぁ、分かっている。レイガン兄さん」

「ロディとルカもそろそろ離してあげなさい」

「はぁーい!!」

「は、はい」


 レイ様がそう言うと、アディーダ様とレニックス様は喧嘩を止め、ロディ様とルカ様も私から離れた。


 うん。どうやら、歳上であり、11男であるレイ様は兄妹の中でも力関係は強いらしい。

 優しそうな顔をして、実は結構、怒らせるとヤバかったりして・・・・・。


「おや、僕は兄妹の中でも穏便な方だよ?紅音」

「い!?」


 変な声が出た。


「僕は、心眼の神だからね。人の心を読むのは得意なんだよ」


 にっこりと微笑むレイ様を見て、


 (あ、そう言う事ですか・・・・・心を読む事が出来る・・・・色々と、便利そう、いや、やめておこう)


 要らん事考え無いようにしようと、そう思った紅音だった。


「レイガンの兄、それくらいにしておけ」


 パルアドルフ様が溜息を吐きながら、レイ様を止める。


「紅音」

「は、はい」


 不意にレイ様に名前を呼ばれ、自然と背筋が伸びる。

 其処には、先程とは打って変わって真剣な表情をした6人の神様が立っていた。


「ここに居る6人の神が『オーバー・ゲート』を開き君をこの世界へ招いた張本人達だ。そのせいでアルメディアス王国が貴女をいきなりルディーメイヴィスへ異世界召喚をすると言う事態になってしまった。

 小鳥遊 紅音殿に心からの謝罪を、貴女にご迷惑をおかけして、申し訳ございません」

「「「「「申し訳ございませんでした」」」」」」


 そう言いなが6人の神様が腰を曲げ深く頭を下げる。


 紅音は目の前光景が信じられなかった。


「・・・・神様がそんなに簡単に頭を下げていいんですか」

「通常であれば、早々にない事だろう。だけど、我々の間違いに君を巻き込んでしまったのは紛れも無い事実。

 神だからと言う理由で我関せず事も、証拠隠滅に揉み消す事も我々の本意ではない」


 先程の食えない雰囲気とは打って変わって真剣な目をするレイ様。


「君をこの世界から消滅させる形で排除するのは僕達にとっては簡単だ。だけど、僕は紅音を消したくは無い」

「・・・・・・・」

「僕は君の事が気に入ったからね」

「ッ、」


 優しい笑顔でそう言われて、紅音は頬を赤らめる。


「紅音は、綺麗な心の持ち主みたいだからね」

「え、いや、綺麗な心なんて、我が身可愛さに国のお偉い様に偽名を名乗るような人間ですけど、」

「それは、僕の警告を聞いたからだろ?」

「あ、」


 お城での、レイガンの瞳と言った宝具でスキルを調べるときに聞こえた声、あれは、


「あの時の声、レイ様の?」

「うん。僕」

「あとね、一応、柚莉愛って言う女の子にも私からおんなじ事を警告したんだけど、もー、完全に無視なの!酷く無い?」


 ロディ様が頬を膨らませながら、ぷりぷり怒っている。


「でも、何故?」

「あの場にいた魔術師の中に、真名、名前を縛って対象者を監視する魔法を使う者が居たんだ。紅音はあの場に居たくなさそうだったし、魔術師関係に名前を知られると色々と厄介なのよ」


 眉間に皺を寄せるアディーダ様。


「真名を縛られると監視や読心、魔術師の使い方次第では洗脳や使役も出来ない話では無いわ」

「え、じゃあ、あの時、もし本名を名乗っていたら・・・・」


 アディーダの話に紅音の唇が微かに震えた。


「アルメディアス王国の監視下に置かれていたでしょうね。だから、紅音が城を出る事を簡単に許可出来た。名前を縛ればいつでも紅音の居場所を知る事が出来るし、いざとなれば、洗脳して操る事も出来る」

「紅音の第二のスキル『亜空間プライベートルーム』は簡単に言うと、発動者の想像力で全く別の空間に自分だけの一つの世界を作り出す事が出来るスキルだ。

 こっちの世界では、かなり稀有なスキル。まだ未開発である『亜空間プライベートルーム』の存在が知られれば、国王は紅音を手元に置こうとするだろう。

 そうなれば、神とは言え我々も迂闊に紅音に干渉する事は難しくなる。

 ただでさえ、紅音は聖女召喚された身。神々の干渉が有れば、利用価値があると勘付かれてしまうからな」

 

 名前を縛り、洗脳、操る、利用価値・・・・・。

 ファンシー、と言えばそれっぽいけど、笑えない。

 紅音の額から冷や汗が流れる。


 もし、この神様達が手を差し伸べてくれなければ、今頃どうなっていたか。


「・・・・っ、笑え、ないですね・・・・」


 私は無意識のうちに口元を手で覆い、震える口を押さえた。

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