4-20.ライ、国の偉い人と知り合いになる!?
本日からシフトの関係で3連休なので、花巻温泉にやって来ました〜!
宿に入る前に宮沢賢治記念館と『注文の多い料理店』の山猫軒に行ってきました。ちなみに注文はしておりません(笑)!そのあとすぐに宿の夕食バイキングなんで···。
現在執筆が大スランプ状態なので、今回も前作に引き続いて宮沢賢治さん創造の異世界『イーハトーブ』の力を借りてスランプ脱出できたらなぁ〜(笑)。ちなみにストックは8月末までありますのでご安心下さい。
明日は温泉で缶詰執筆しますよ〜!
「ライくん、テオくん。ちょっと面倒な依頼が来ちゃってね···」
その日、レートさんがボクに申し訳なさそうな顔をしながら部屋を訪ねてきたんだ。
「面倒な依頼···。スタンピードじゃないんですか?」
「うん···。実はね?この国の友好国であるターモの王族が、ライくんとテオくんに会いたいって言ってきてね···」
「えっ!?王族がですか!?」
「どういう事だよ?」
「史上最年少のSランクの少年を見たいらしいよ。実は、ほかのSランクのみんなも一度は面会していてね···」
「あ〜、となるとボクたちも行ったほうが良さそうですね」
「メンツの問題ってヤツか···」
「ホント済まない!まぁ、いつに来いって言ってなかったから、不意打ちでテオくんの高速飛行魔法で日帰りしてくれば?」
「王族相手にいいんですか···?」
「今回も向こうのワガママなんだから、こっちもワガママ言わせてもらうだけさ。時間指定ないしね!」
「はぁ···。じゃあちょっと行ってきますね」
いつもはスタンピードや強力な魔獣退治の依頼ばかりなのに、今回は王族の人と面会だってさ。
というわけで、テオに乗せてもらって東へ飛んだ。まだ行ったことのない場所だけど、道が整備されてるから、それを目印に飛んだらいいそうだよ。
「ボクたちに会ってどうしたいんだろうね?」
「ある程度の想像はできるけどな」
「えっ!?テオ、どういう事?」
「コネを作りたいんだろうよ」
「コネ···?」
「Sランクと友だちになっておけば、万が一国が襲われても助けに行くだろ?ライだって、グランドの町が襲われたって聞いたら急いで行こうと考えてるだろ?」
「···あぁ~、そういう事かぁ〜」
「下心がミエミエなんだよ。ただ、王族がそんな見え透いた行動をするとも思えないんだよなぁ〜。だから、何か裏があるかもしれんぞ?」
「なるほどね。ちょっと気をつけておくよ」
「ちょっとって···。まぁいいか。おっと!あれがそうじゃねえか?」
「それっぽいね。いつものように門の手前に降りようか」
「おう!さっさと終わらせて帰るぞ!」
門の手前でテオは着陸して人型になった。門に向かって歩いてると、門番さんが1人こっちに向かってきたんだ。
「こんにちは。Sランク冒険者のライ様とテオ様とお見受けしますが···?」
「は、はい。ボクはライで、こっちはテオです」
「では、失礼ながら冒険者証をご提示いただけますか?」
「はい。こちらです」
「確認いたしました。それではこのまま城へご案内して面会となります。門の内側で馬車を用意しておりますので、申し訳ありませんが馬車までこのまま歩いていただけますか?」
「は、はい···。いいですよ」
な、なんだ···?ものすごい丁寧な対応だよ···。しかもいつ行くか?なんて話してないのに馬車まで用意されてるし、王族の方ともすぐに面会ってどういう事なんだろう?
さすがに用意周到過ぎるので、テオも警戒し始めたよ···。
門での手続きはなくてそのまま通り過ぎて、なんか豪華な馬車が停まっていた。乗り込んだらすぐに出発してそのままお城へと入ったんだ。
馬車はお城の正面玄関で横付けされると思ってたら···、通過しちゃったよ!?
···あれ?どこに連れて行かれるんだろうか?
「あの〜?お城に行くんじゃないんですか?」
「もう城内に入ってますよ。このままお待ちされている王族の方がお住まいの御所へ直行してるんですよ」
「えっ!?そんなところで面会するんですか!?」
「はい。···これはかなり特殊な案件でして、一般の城内ではちょっとマズいというのがありましてね」
···なんだか、マズい事に巻き込まれた予感がするぞ!?不安が大きくなってきたよ···。
そして馬車はその御所へ入り、その中にある屋敷の玄関で停まった。
「ライ様、テオ様。ご足労いただき、感謝いたします。さっそくお会いになりますので、どうぞこちらへ」
「は、はぁ···」
「お、おう···」
執事っぽい人が馬車から案内してくれたよ。屋敷の中は玄関入ったら2階まで見える吹き抜けの構造だった。ボクたちは正面にある階段を2階へ上がり、左側の通路の奥にある部屋へと案内された。
「失礼いたします。Sランク冒険者を連れてまいりました」
「入れ」
「ではライ様、テオ様。ここでは公式の面会ではありませんので、礼儀作法は失礼のない程度で構いません。お気を楽にしていただければよろしいですよ」
「わ、わかりました」
「お、おう···」
若干雰囲気に飲まれちゃってるけど、とりあえず入ってみよう。
中には男の人が1人だけで座っていた。この人が王族なのかな?
「は、初めまして。ボクはライと申します」
「オ、オレはテオだ···、です」
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ここは謁見の間ではないので、堅苦しい作法などは無用だ。そこのいすに座りなさい」
「で、では···」
「お、おう···」
座ると、メイドさんらしき人がお茶菓子を持ってきた。そして退室されたら話が始まったよ。
「自己紹介がまだだったね。私はアクス。この国の第1王子だ」
「王子様···。どうしてボクたちを呼ばれたのですか?」
「Sランクとなった冒険者を見てみたかったという興味もあるし、国として何かあった時の保険という意味もあるね」
「は、はぁ···」
「やっぱりそうかよ···」
「まぁ、あらかた事情は察していたようだね。国という組織を防衛するためにも、Sランクと知り合いというのはキミたちが思ってる以上に重要なんだよ」
「オレたちを兵器扱いする気だったんだな?」
「テオ!?」
「ライくん、いいんだよ。テオくんの言葉は大当たりだ。確かに言葉は悪いが、報酬さえ払えば救援に来てもらえる。Sランクは常人をはるかに超える戦力で、単騎でスタンピードを殲滅できてしまうほどだ。しかし、それは表向きの話ではあるね」
「で、では···?」
「先ほどまでの話は『国』としての話なんだ。ここからは、私個人としての考えだ。この考えはさすがに表には出せないのでね。こうしてここに来てもらったってわけさ。···この国から脱出するのを手伝ってくれないか?」
「なっ!?」
「なんだって!?」
ちょっと!?王子様が国を脱出することを考えてたの!?
「驚くのも無理はないだろうな。何も今すぐというわけではない。スタンピードがわが国を襲った際に脱出する手助けをしてほしいのだ」
「で、では···、この国の人たちは···?」
「···この国では内部の腐敗が進んでいてね。父上である王ですら、どうにもできないのさ。私自身も、こうしてここに半ば閉じ込められたも同然なのさ。まぁ、表舞台に立てないだけで、それなりの自由はあるがね」
「···見捨てるおつもりなのですね?」
「···そのように捉えてもらって差し支えない」
「申し訳ありませんが、ボクとしてはお断りします」
「オレとしてもお断りだ。仮にオレたちが連れ出したところで、どうする気だったんだ?」
「···近くの国に亡命するか、新たな国を立ち上げるか、だな」
「まだお決めになってないのですね?」
「···ああ。これでもかなり悩んだのだよ。何が正しいのか···、何をするべきなのかをね···」
「でしたら···、逃亡しても意味はありません。逃亡しても、うまくいかないかもしれませんし、王子様ではなくなるでしょう。ボクたちでは政治なんてわからないので助力ができませんが···」
「そう···、だな。まだ···やれることがあるのかもしれぬな。···ありがとう。相談にのってくれたような気がしたよ。しかし···、キミはまだ幼いのにまるで年上の人から助言を受けたような気がするよ」
「あ、あはは···。ここに来るまでいろんな人が案内してくれましたが、皆さん王子様の話は出しませんでしたよ。王子様の味方は意外と多いと思いますよ?」
「···ありがとう。そうだな。まずは身近な者たちの協力を得るとするか。キミたちにこうやって出会えて良かった。ありがとう」
こうして短時間だったけどこの国の王子様と知り合いになったんだ。王子様はボクたちを利用するつもりだったみたいだけど、ボクとしては助言をするってぐらいで留めようと思ったんだ。あんまり出しゃばったらいい顔されないだろうしね。
基本的に権力者というのは強者と結びつきが強くなってしまう傾向があります。今回もそうだと警戒していましたが、脱出を手伝って欲しいというお話でした。
世界にはいろんな国がありますが、昔も今も国が分裂して紛争になるのは意見や思想の食い違いが多いです。それは現在の滅亡寸前のエーレタニアでも同じでした。人の業とでも言いますか···。
これは何も国だけではなく、日常でもある話です。なかなか難しい話ですね。
さて次回予告ですが、ライくんとテオくんだけでスタンピード対応を初めてやります!以前ダイナモでも死力を尽くしてギリギリでしたが、今回はどうなるでしょうか?
それではお楽しみに〜!




