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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第4章 Sランク冒険者ライとテオ、誕生!

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4-17.···スタンピード狩りに行く(ウイン編後編)

「···ありがと。···お疲れ」


「ウインもお疲れ様。テオもね!」


「おう!しかし、ウインはすごく速く殲滅したな〜」


「···もち。···ここには大事な行きつけのお店がある」


「え?そうなの?」


「···ん。最高のパンが食べれる。···じゅるり」


「え?い、いや、ウイン?いきなりよだれ垂らしそうになってるけど···?」


「···はっ!?」


「じゃ、じゃあ、そのお店が無事か確かめる?」


「···もち」



 というわけで、そのウインオススメのパン屋さんにやって来た。特に被害はなさそうだね。



「ウイン?ここ?」


「···ん」


「まだ戻ってきてないようだけどね。避難所にいるんじゃないかな?」


「···そうかも」



 すると、ボクたちの後ろから声がかかった。



「···おい」


「え?」


「···帰ってきた」


「やっぱウインか。今日は避難してたからパンはないぞ」


「···やっぱり。···がっくし」



 え〜っと···、こんなに表情が変わるウインは見たことなかったね。そんなにここのパンはおいしいらしいね。



「···ん?見かけない顔だな。ウインの仲間か?」


「あ、はい。ボクはライ。こっちはテオです」


「よろしくな!」


「オレはここのパン屋をやってるアレバってんだ。ウインはうちのパンをいつも買い尽くしていくんだよ···。こいつの胃袋ってどういう仕組みなのか、よくわからんのだがな」


「···ちゃんと魔獣退治で使われてる」


「と言っても普通の大人の10人分以上買ってるぞ···?」


「あはは···」



 よほどウインはこのパン屋さんが好きなんだね。ちょっとボクも食べてみたいって思うね。するとウインが、



「···じゃ、今日泊まって明日買う」


「あ〜、これから店内の厨房チェックしなきゃならんから、明日はムリだぞ?」


「···じゃ、明後日」


「待つ気かよ···。じゃあ、明日朝に窯の試験するから、その時に焼くよ。それ食って帰れ」


「···ん!」



 ウイン···。よっぽど楽しみなんだなぁ〜。普段は無表情なのに、ものすごく目が輝いてるよ···。



 そして翌日の日の出前、ボクとテオは文字通り(・・・・)叩き起こされた!



「ウイン···。もうちょっと優しく起こしてよぉ〜」


「いきなりビンタはねえだろ···。寝てる最中は竜気展開しづらいのに···」


「···起きないのが悪い」


「いやだって···、今午前3時···」


「···行くよ」


「こんな時間に!?迷惑じゃないの!?」


「···この時間にはすでに仕込みが終わってる。···この後に焼き始める。···急ぐよ!」


「わかった!わかったから着替えさせて〜!」



 ウインがものすごいテンションになっちゃってるよ···。これは逆らわないほうが身のためだ。



 急いで着替えて、ボクたちはパン屋にやって来た。まだ夜が明けていないというのにパン屋の窓からは明かりが漏れていた。


 少しずつパンのおいしそうなかおりがしてきた。確かにこのにおいは食欲がそそられるね。ウインが気に入るのも納得だよ。



「···開いてるから入る」


「え?いいの?」


「···昨日ああ言ったからだいじょぶ」



 ウインはノックもせず遠慮なしに入っちゃったよ···。サムもそうだけど、ウインも結構強引だなぁ~。


 売り場には誰もいなかった。売り物のパンを置いてると思われる棚にもパンはなかったね。ウインはそのままずかずかと店を通り越して奥へ行っちゃった。ボクたちもその後についていった。


 奥は厨房になっていて、そこでオーブンの下で火加減の調整をしているアレバがいた。


 アレバは火の勢いをじっと見つめて、燃えている薪の位置を微妙に調整していた。ボクたちがいるのにまったく気づいていない。それぐらい集中しているようだ。


 そんなパンを焼く姿を、ウインは静かにじっと見つめていた。



「············」


「············」



 これって、ボクたちがいたら邪魔じゃない?そう思ってウインに声をかけようとしたその時、アレバがボクたちに気づいた。



「···うぉっ!?びっくりしたぁ~!来たなら来たって言えよ!?」


「···邪魔しちゃ悪いから」


「声かけるぐらいなら問題ねえよ!まったくもう~!」


「おはようございます、アレバさん。こんな時間にパンを焼くんですね?」


「おはよう、ライ、テオ。まあな。パンは仕込みに時間がかかるんでな。こうして焼くのもかなりの手間だ。火加減の微妙な調整が必要でな。その間はパンを作ることができねえから、必然と日付が変わったあたりから始めるのさ」


「大変ですね」


「普通の人から見たらそうなんだろうけど、うちは親が毎日こういう生活だったからな。オレも慣れたんだよ」


「ご両親は?」


「···4年前に魔獣にやられちまったよ」


「ごめんなさい···。ボクも今年···」


「そうだったのかよ···。ちびっ子なのに冒険者やってるってすごいな」


「みんなに助けられてますよ。もちろん、ウインにもね!」


「そうか···。もうちょっとで最初のパンが焼けるぜ。そこらへんにあるイスに適当に座っててくれ」



 そう言ってアレバはまたオーブンの火の調整を始めた。その目つきは真剣そのもので、『これが職人さんなんだなぁ~』って思っちゃったよ。



 そして5分後、パンが焼けた。



「ほらよ。鉄板が焼けてるからやけどに気をつけろよ」


「「いただきま~す!」」



 みんな一斉に食べた!すると!?



「···ふわぁああああーーーー!!」


「ちょ!?ウイン!?」


「うわっ!?な、なんて声出しやがるんだよ!?」



 ウインが満面の笑みで急に叫んだんだ!ボクとテオはびっくりしちゃったよ···。



「あはは!やっぱお前はオレのパンを食うとそうなるんだな!」


「え?アレバさんは知ってたんですか?」


「ああ。こいつ、最初にこの町にやってきた時に金持ってなくてな。腹を空かせていたところでここを通りがかって、そのまま店に入ってきたんだよ。そんで金ができたって言って大金を出してきやがって、全種類買い占めようとしやがったんだよ。さすがに止めたけどな。そんで店の外でパンを食ってこんな声を出しやがったんだよ。ホント近所迷惑だったけど、そんだけ喜んでくれたのを見られたせいで売り上げがちょっと上がったんだよ。今でもたまに買いに来て、同じように声出すんだよ。もう慣れた」


「···ふわぁああああーーーー!!」


「ははは···。こんな幸せそうなウインは見たことなかったなぁ~」


「オレもだぜ···。こいつ、こんなにパンが好きだったんだな」



 そのあともたくさんパンを焼いたので、ボクたちもたくさん買わせていただきました。アレバのパンはボクたちも好きになったんだよ。

 ウインちゃんの別の一面が出ちゃいましたね〜!

 今回のお話はつい最近書いたお話なんです。番外編書き終わった際に書いた追加エピソードなんですね。

 ですのでアレバくんとの出会いのお話を番外編で書いております。第4章完結後に投稿しますよ〜。

 しかし、ウインちゃんって当初はこういう子じゃなかったんですけどね。書いてると自然とこうなってしまい、今ではお気に入りになっています。キャラがこうしたい!って主張してるんでしょうね。こういう時に執筆するとサクサク進み、書いてて楽しいんですよね!


 さて次回予告ですが、次はトルムくんからスタンピード殲滅のお誘いがありますよ〜。どんな戦いになるでしょうか?アルムくんが出てしまうのか!?


 それではお楽しみに〜!

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