4-12.魔法の撃ち合いっこしましょうか!
町で情報屋さんの話を聞いて宿に戻ると、廊下でコルメっていう赤竜のドラゴン族の人と出会っちゃったんだよ。
「ところであなたたちのお名前を教えてくれるかな〜?」
「ボクはライ。そしてこっちはテオです」
「白銀竜のテオ···。もしかして、昔に封印されたっていう?」
「おう、そうだぜ。オレは賢者の遺産の管理者として長く眠ってたんだよ」
「やっぱり···。あなたの事はひいばあちゃん書き残した日記に書いてあったわ。大変だったのよね?」
「そうでもないが···、ひいばあちゃん···。メネだな?」
「そうよ!ひいばあちゃんが生きてたら···」
「そうだな。喜んでくれただろうな。···ん?そう言えばコルメってレンと知り合いか?」
「ええ、そうよ。親戚ね〜。どこかで会ったの?」
「ああ。魔獣退治してるところで出くわしてな」
「あの子も『ヒーロー』が大好きだから神出鬼没よね〜。え〜っと、テオおじさんでいいのかしら?」
「テオでいいぜ。遠い親戚って事になるが、よろしくな!」
「ええ!こちらこそ!それじゃあさっそく魔法の撃ち合いっこしましょうかしらね〜!」
「ちょっと待て!?こんな夜遅くにか!?」
「···それもそうね!じゃあ明日やりましょ!」
「そうしてくれ!朝にトルムと激戦になったから、もう魔力が残ってねえんだよ」
「へぇ~!トルムとやったのね!じゃああたしとも絶対にやるわよ〜!楽しみだわ〜!」
以前グランドの町の外で出会ったレンが言ってた子ってこの子だったんだね。元気いっぱいな女の子だよ。
そして、結局試合をすることになりました。これでSランク全員とやることになっちゃったね。
翌朝···。
もちろん早起きしました。テオはまだゆっくり寝てるよ。
すると、サムがまたカギを勝手に開けて部屋に入ってきたよ···。カギの意味ないよね?
「おっ?ライはもう起きてたのか」
「おはよう、サム。ノックしてくれたら開けるんだから、廊下で待っててくれない?」
「ノックするよりうちに代々伝わるカギ開け魔法で開けた方が早いんだよ」
「ボクたちも着替えとかあるからさ」
「別にオレがいたって構わないじゃんか?ライとテオでいかがわしいことするんじゃないだろ?」
「え?いかがわしいことって?」
「あ〜、そこらへんはまだおこちゃまか···」
サムがわけのわからない事言ってるよ···。いかがわしいって何するんだ?
···え?遺産の知識にはあるけど『BLは年齢制限に抵触してます!アッーーー!』って事で教えてもらえなかった···。意味がわかんないけど、大人になったらわかるって事かな?
そしてテオを起こして着替え終えて、サムと一緒に廊下に出ると、ウインとトルムさんとコルメがいた。
「···おはよ」
「おはようございます!ライさん、テオさん」
「おはよう!今日はよろしくね〜!」
「皆さん、おはようございます。よろしくお願いしますね」
「おはよう!こっちもよろしくな!」
「···サム」
「へいへい。そんじゃ、転移するぜ!」
またまたサムの転移でいつもの草原へやって来た。いたるところに魔法や武術でできた穴ボコとかあるけど···。
「さあ!あたしと勝負よ!」
「おう!お手柔らかにな!」
「···え?手を抜かないとダメ?」
「いや、そういう意味じゃ···」
「じゃあ···、楽しみましょう!それならいいでしょ?」
「おう!そうさせてもらうぜ!」
2人が魔法を使う体勢をとった。
「いくぜーー!水鉄砲!!」
「ブロー」
テオが撃った水鉄砲を、コルメは風魔法で方向を変えた!
「ちっ!そう来るか!」
「当たらなければどうということもないわ。まともに受けるよりもちょっと向きを変えるだけで大した魔力も使わずに回避できるわ」
「なるほどな。勉強になるぜ!次はこれだ!ストーンランス!」
「じゃあ、あたしも。ストーンランス」
お互いのストーンランスが放たれた!コルメはテオが撃ったストーンランスに敢えてぶつけてきた!すると!?
バキッ!!
なんと!?テオのストーンランスが砕け散って、コルメのストーンランスは砕けずにテオに向かっていったんだ!
「なんだと!?ぐあっ!?」
「うふふふ!どうやらあたしの方が強度が高かったようね~。魔力の密度が違いすぎるのよ」
「くっ!まだまだぁーー!!」
「ええ!そうこなくっちゃ!もっと楽しみましょうよ~!」
コルメは『魔帝』って言われるだけのことはあるよ。テオよりも魔法が非常に上手だった。テオはなんとか凌いでるって感じだね。こればっかりはどうしようもないのかもしれないよ。
「はぁっ!はぁっ!くそっ!ここまで強いとは···」
「そりゃそうよ。Sランクには興味ないけど、スタンピードで魔法を好き放題撃ちまくってたらこうなるわ。こんなちまちました1体だけしか倒せない魔法はほとんど使わないけどね。あたしが得意なのは『大規模殲滅魔法』なのよね~。さすがに試合では使うことはできないけど」
「ご先祖も使ってたっていう魔法か···」
「そうね~。地上では『失われし古代魔法』なんて言われてるけど、うちの家系には代々伝わってるからね~。そういえばトルムに聞いたけど、ドラゴンキャノン撃てるんですって?」
「ああ。まだ1発しか撃ったことないから加減がわからんけどな」
「じゃあ、あたしに撃ってみて!」
「はあ!?マジで言ってんのか?」
「なによ?トルムに撃ったんでしょ?あたしに撃ってもいいわよ。あたしも···、撃つし」
「くっ!どうなっても知らねえぞ!?うぉおおおーーー!」
テオの両手に魔力が集中していく!昨日撃った要領で今日も撃つ気だよ!
「へぇ~。でも、あんまり圧縮率はよくないわね···。それじゃあ、あたしのを見せてあげるわ」
そう言うと、コルメも両手に魔力を集中し始めて···、さらに両足にも魔力を集中し始めた!?
「ぐっ!マジかよ···!?こんなつらいのを足にまでやるだと!?」
「うふふふ!でもこのままじゃ、テオを跡形もなく消してしまいそうね。じゃあ、お互い空に向けて撃ちましょうか!」
「···わかった。いくぜーー!ドラゴンキャノン!!」
「これ久々ね~!ドラゴンキャノン!連発よ~!」
ドズーーーーン!!
コルメは1発目を両手から発射した直後に両足に溜めていた魔力を両手に回してもう1発撃ち込んだ!!テオの3倍以上の爆発になっちゃった···。
「はあっ!はあっ!こりゃ···、完敗だな···」
「あ~~~!気持ちよかった~~!!やっぱり魔法は全力全開で撃つのが最高に気持ちいいわよね~!」
「その感覚はオレにはわからんわぁ···。でも、どうやって魔力を圧縮するかは見せてもらえたおかげでなんとなくわかったぜ」
「そう!じゃあまた今度やりましょう。次はお互い撃ち合いっこでね~!」
「勘弁してくれ···」
こうしてボクたちとSランクの人たち全員の交流はできたんだ。試合が大変だったけど、仲良くできてよかったかな?
この4人とは今後長いお付き合いになるとは、この時のボクは考えもしてなかったんだよね。
コルメちゃんは前作のリナちゃんとよく似ていますね。大規模殲滅魔法が大好きですし、足にまで魔力を超圧縮というのもやってましたからね。ちゃんと子孫に受け継がれています。
と言ってもテオくんもリナちゃんの子孫ですけどね。適正や個人差というのもありますからね。
これにてSランクメンバーのお披露目は終了です。ですが、これ以降もチーム組んでスタンピードに立ち向かったりしますよ。そんなエピソードもご用意しておりますので、ご期待下さい。
さて次回予告ですが、ライくんとテオくんのSランクになってからの初仕事ですよ~!ただ、今回はスタンピードではなくて凶悪な魔獣の討伐です。
それではお楽しみに〜!




