4-11.怪しいおばあさんからの助言
テオと一緒に屋台街で買い食いして宿に帰ろうとしたら、怪しいおばあさんに呼び止められたんだ。
しかも···。『賢者の遺産』のことを知ってたんだ!どういうことなんだろう?
話がしたいそうだから、とりあえずお店の中に入ったんだ。もちろん、なにかあればすぐに逃げる心づもりはしているよ。
「はい、食べすぎにはこのお茶がいい。胃の調子を整える作用もあるんでね」
「あ、ありがとうございます···。あれ?さっぱりしておいしい···」
「ライ···。ちょっとは警戒しろよ!?毒が入ってたかもしれないんだぞ!?」
「···あ。忘れてたよ」
「おいおい···」
「ヒッヒッヒ!そう警戒ばかりしてたら寿命が縮むよ?長寿なドラゴン族もそうだよ?」
「余計なお世話だ!さっさと話をしてくれ」
「そう慌てなさんな。えっと···、ライとテオでよかったね?」
「ボクたちの名前まで!?」
「ヒッヒッヒ!あたしゃ、なんでも視えるのさ。情報屋···、とでも名乗っておこうかね?今日しか会わない人間だ。名前なんて知る必要はないからね」
「情報屋···。どんな情報を売ってくれるんですか?」
「ほう?なかなか鋭いところを突いてくるじゃないか。安心しな。今回はタダだよ。って···、実は前金をいただいてるんでね」
「前金?誰かが先にお金を払ってるんですか?」
「そう。払った人物はあんたたちがよく知ってる人物だよ」
「···誰だろう?テオはわかる?」
「わかるわけねえだろ?もったいぶってねえで、さっさと話せよ」
「あんまりせかすんじゃないよ。まったく···、そんなところだけは先祖に似たんだね」
「えっ!?ということは···、アキさんとリオさんですか!?」
「なっ!?まさか!?」
「ひっひっひ!よく気付いたね?大当たりだよ。あたしゃあの2人から『賢者の遺産』を継承した人に助言を与えるように言われたのさ」
「で、でも···。アキさんたちは1000年前の人なんですけど···」
「もしかして!?テメエ、神か!?」
「いいや、違うね。あたしゃ『外の理の者の残留思念』さ」
「外の理の者···。この世界の人じゃないって意味ですね?」
「そう、アキもそうだったんだよ。もちろん、あたしも本人はすでにあの世へ行ってる。今目の前にいるのは、旅立つ前に造られた人形みたいなものさ。役目を終えたら消えるよ」
「そうなんですか···」
「『賢者の遺産』が目覚めたから、こうして出てきたってわけさ。それまではギルド総帥のエマに頼んで封印されていたのさ。エマがあんたたちに出会ったから、ここであたしがあんたたちに助言をすることになってるのさ」
「そうでしたか···。それで、助言って?」
「あんたたちの未来についてだ」
「未来···」
「そんなのがわかんのかよ!?」
「ああ。ある程度はね。ただ···、参考程度で聞いときな。未来は変わるものだ。それを変えるのはあんたたちの行動次第って事さ」
「···わかりました。お願いします」
「まず···、『今のうちに稼げるだけ稼いでおきな』」
「···え?」
「金だよ。将来、とんでもないことをやるのに必要なのは金だ。だから、今のうちに稼いどくんだよ。そう遠くない未来にとんでもないものに金をつぎ込む必要がでてくるだろうからね。持ってて損はないさ」
「は、はぁ···」
どんな助言かと思えば、いきなりお金の話だったよ···。そりゃ大事だとは思うけど、今ここで聞くような助言なのかなぁ~?
「次だよ。この先、ギルドに裏切られる可能性が高い。あんまり信用するんじゃないよ」
「えっ!?」
「裏切る···?穏やかじゃねぇな···」
「これについては総帥も同意見のようだね···。今は大丈夫でも、急に手のひら返しをされ、はしごも外される。気を付けときな」
「は、はぁ···」
ギルドがどうして裏切るんだろう?Sランクってスタンピードから人々を守れる人たちなんだけど、裏切って得するの?よくわかんないなぁ~。
「これが最後だ。ライ、テオ。あんたたちにはいずれ、命にかかわる大きな試練が訪れる。その時、選択を間違えるんじゃないよ?」
「大きな試練···?それはいったい?」
「そこまではわからんね。ただ···、その試練を乗り越えた先にはあんたたちはさらに強くなるだろうね」
「···ありがとうございます。ボクから質問してもいいですか?」
「もう消えるまで時間がないから、短めにな」
「わかりました。まずはボク以外のSランクには注意しなかったんですか?」
「ああ。あいつらには言っても意味ないんでね」
「どういう事ですか?」
「あいつらには帰る場所があるからさ。Sランクでなくなっても、地上が魔獣たちで滅ぼされても、ほっぽりだして浮遊大陸に帰ることができる。ライは滅ぼされたとはいえ、帰る村があるだろ?」
「あ···」
「そういう事さ。あいつらがスタンピードに立ち向かう理由は『鍛えるため』。人類の事なんて知ったこっちゃない。ライはそうもいかないだろ?」
「はい···」
「ま、あとはアキとの約束だからライたちに助言をしたまでさ」
「ありがとうございます。最後の質問です。あなたは···、この世界にかつて侵攻した世界の人だったんですか?」
「ほう?よく気づいたね。なぜわかった?」
「エマさんも侵攻したって言ってました。だから、そんな人とつながってる外の理の者って事は···」
「正解だ。あたしはこの世界を観測する目的でいたのさ。先代がアキと会ったそうでね。観測目的は終了したけど、ちょっとした用で世界を渡ってきたのさ。その際にアキから頼まれてね。こうしてライにも手助けをしたんだよ」
「そうだったんですね···。さっきまでの助言、大切にしますね!」
「そうかい。ただ、さっきのは運命を視ただけさ。この先の行動次第で運命は変わる。あんたたちの運命がいい方向に向かうよう祈っておくよ。それじゃあ、元気でな!」
そう言っておばあさんは目の前から消えてしまった···。なんだか幻を見ていたような気分だなぁ〜。
「テオ、さっきの3つの助言だけど···、他の人には言わないほうが良さそうだね」
「ああ。特に2番目が物騒過ぎるぜ···」
「ボクの予想だと···、エマさんがいなくなってから起きそうな気がする」
「だろうな。ずっとエマが頂点だったから、それがいなくなったらそうなるかもな」
「···よし!少なくともそれまでは稼いでみるよ!」
「おう!オレもしっかりやるからな!」
そうして宿に戻ってきたら···、
「あら?あなたたちが新しくSランクになった人ね!?」
Sランクの部屋である3階の廊下で声をかけられた。見たことのない少女だね。燃えるような赤い髪をしてるよ。
「は、はぁ···。そうですけど、あなたは?」
「あたしはコルメ!『魔帝』なんて呼ばれてるわね!」
そう言うと···、トルムさんと同じように姿がドラゴン族の姿になった!?
「えっ!?あ、あなたも!?」
「そうよ。そっちの白銀竜やトルムと同様にあたしもドラゴン族よ!見ての通り赤竜ね!よろしく〜!」
···って事は、今のSランクってボクたちを除けば全員浮遊大陸の関係者ってこと?情報屋のおばあさんの言った通りだったよ。
今回助言したおばあさんは、前作の本編第2章で登場した観測者のリンさんに仕えていたメイドさんです。実は娘さんだったんですよ。この設定は明かすところがなかったのですが、特に物語に影響ないのでよかったんですけどね。
そして娘さんがエーレタニアに所用があって来訪した際にアキくんとリオくんのところに訪ねた際にこの話が出たということです。このあたりはもしかすると執筆するかもしれない続編3で書くかもしれませんね。ネタないので書くかは未定ですけど。
不吉な予知でしたね。この先ライくんたちに降りかかる災厄に対してどう対処するか、ご期待いただければと思います。
そして最後のSランクは赤竜のコルメちゃんです!前作をお読みの方でしたら名前で気づいたと思いますが、リナちゃんの3番目の子であるルメちゃんの子孫ですね。魔法が得意なので魔帝と呼ばれてるんですよ。
さて次回予告ですが、コルメちゃんはテオくんに魔法の撃ち合いっこをしようともちかけます。どんな魔法戦になるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




