4-10.トルムさんの強さの秘密
トルムさんがテオに試合を申し込んだ。そうしたらトルムさんがいきなり性格が変わっちゃってテオをこてんぱんにしちゃったんだ···。
テオはご先祖様のリオさんの必殺魔法であるドラゴンキャノンを撃って、試合は終わったんだけど···、相討ちになっちゃったんだ···。
「···ん?···あれ?」
「あっ!?皆さん!テオさんが起きました!」
「···トルム?」
「はい!ごめんなさい···。まさか···、『アルム』が出てきちゃうとは思ってなくて···」
「···『アルム』?」
「もう1人のボクなんです···。戦いが白熱しちゃうと出てきちゃうんです···」
「そうなのか···。オレに回復魔法をかけてくれたんだな?」
「はい!本当にごめんなさい···」
「あぁ~、まぁいいぜ。相当手を抜かれてたみたいだし、オレの力を引き出してやろうか!って感じだったしな」
「そ、そうなんですか···?」
「ああ。もし本気で殺そうとするなら竜モードになって襲うはずだ。オレもまだまだなんだ···。次はさすがに勝てないだろうけどな···。そう言えば戦闘中にあれだけ傷ついたのにもう治ってるんだな?」
「ボクは傷ついても常時回復魔法が無意識にかかってるので、すぐに治っちゃうんですよ。竜気もあるのでそう簡単に傷つかないんです。だから、傷つけたテオさんにアルムが興味持っちゃったんでしょうね」
「···これは勝てんわ」
「そんな事ないですよ!?」
そう、トルムさんは傷ついてもすぐに回復しちゃうんだよ。だから近接戦闘向きなんだね。『武王』って言われるだけあるよ。
さて、試合が終わった時間はお昼だったので、ギルドの食堂で一緒に食べた。
この日はテオが疲れ切ってしまったので、そのままお昼寝タイムとなった。ボクは特にすることがなかったので、トルムさんの部屋で体術と常時回復魔法について教えてもらったよ。
「ライさんはそんなに幼いのにすごいですよね〜!剣術は僕にはわかりませんが、体術はそこそこいい感じですよ!」
「遺産の知識のおかげですけどね。でも、知識はあっても体がついていかないんですよ」
「そうなんですね。こればかりは経験するしかないんですよね。経験すると、頭で考えなくても体が自動的に動くんです。体がついていかないっていうのは、頭で考えている間は動けないから、その瞬間をなくせばいいんです。口で言うのは簡単なんですけどね···」
「そうかぁ〜。剣術も一緒なんだよね。だから鍛錬の時に型をなぞってるんだけどね」
「体術も一緒ですよ。テオさんと一緒にやったらいいと思いますよ」
「そうだね。テオには時間ある時にいろいろ教えてもらってるんだけど···」
「え···?何かマズいんですか?」
「いや、テオが悪いわけじゃないんだよ。ただ、テオ以外の体術って知らないんだよ。だからトルムさんに相談だったんだ」
「なるほど〜!だったら今からここでちょっとやってみますか?」
「えっ!?だ、大丈夫かなぁ〜?」
「え···?あ!?ああ!大丈夫です!アルムは出ないですから!」
「いや、そうじゃなくて···。部屋を壊さないかな?って···」
「それも大丈夫です!型をやるだけですから。僕と試合するわけじゃないですよ」
「よかったぁ〜!じゃあ、よろしく!トルムさん!」
そしてトルムさん流の体術を少しだけ教えてもらったよ。身体強化魔法を併用するんだけど、トルムさんの身体強化魔法の使い方は特殊だった。
技を振るう瞬間のみ一気に身体強化魔法の倍率を上げるんだって。そうすることで常時魔法を使うよりも魔力が節約できて長時間戦えるそうだよ。なるほどね〜!ただ、相当魔力と魔法の扱いに長けておかないと運用は難しそうだね。
あとは常時回復魔法だ。身体強化魔法の要領で回復魔法を使うやり方らしい。トルムさんは無意識に身体強化魔法と常時回復魔法をセットで使ってるらしいんだよね。ボクも併用できるようにしないと···!
練習してると夕方になった。今日はテオと一緒に夕方の町を散策するつもりだったんだ。
「じゃあテオ!行こうか!」
「おう!思う存分食うぞ〜!」
「食べるのは最後。先にお買い物だよ。串持ちながら買い物できないんだからね」
「むぅ~、わかったよ」
宿を出ると、たくさんの人が行き交っていた。畑仕事を終えた人たちが買い物や食事に出かけてるようだね。
朝に見た風景とは大違いだ。どの店にも人がたくさん入って買い物をしているよ。
まずは服屋さんで服を買っておこう。···なんだか最近服が小さくなったような気がするんだよなぁ〜。まだボクは子どもだから、成長してるって事でいいよね?
次は肉屋さんと八百屋さんだ。ここの食材もほかの場所とはちょっと種類が違っていた。いろんな食材がある方がおいしい料理が作れるからね〜!
そして···、
「おぉ〜!?たくさん店があるぞ〜!」
屋台街にやってきました~。夕食の時間だから人が多いね〜!
お店もいろんな種類があった。その場で食べるお店や、お惣菜だけ量り売りしてるお店だね!ドリンクだけ売っているお店もあるよ〜!
そんな中、テオはいつものように手軽に食べれる串のお店ばかり行ってたくさん買っていた。両手が串でいっぱいなので、支払いはボクがやってるよ。
「テオはいつも串だね?」
「いろんな店を回れるからな!座って食べるとそこだけしか楽しめないしな」
「なるほどね〜。ところで···、そろそろボクも食べたいんだけど?テオがいっぱい頼んじゃうから、ボクが買えないんだけど···」
「おっ!?悪い悪い!そんじゃあ、これで終わるから、次からはいいぞ〜!」
「そう?じゃあ···、このお店で!すいませ〜ん!」
たまにはこういうのもいいよね〜!ボクたちは屋台街を存分に楽しんだんだ〜!
そしてギルドに帰ろうとして歩いてると···、
「ん?あんたたち···、変わった運命を持ってるね?」
「え?ボク···、ですか?」
「そうだよ、坊やとドラゴン族のお子さん」
建物の前のイスにおばあさんが座っていて、ボクたちに声をかけてきたんだ···。
「ヒッヒッヒ!まぁ、怪しい者じゃあないよ」
「ばーちゃん、大丈夫か?どうみても怪しさ満点じゃねえかよ!」
「姿だけで判断するからそう言うんだよ。もっと本質を見な。ヒッヒッヒ!」
「ライ、行くぞ」
「う、うん···。ごめんなさい、おばあさん」
「そう言うんじゃないよ。『賢者の遺産』の継承者さんたち」
「なっ!?」
「えっ!?」
どうして知ってるの!?ボクたちがSランクだから!?でも、継承した遺産の名前は言ってないよ!?
「あたしにはお見通しさ。ちょいと話をしたいんだ。聞くだけでいいんだよ。入っといで。満腹だろうから茶だけ出すよ」
屋台で買い食いしたことまでなんで知ってるのさ!?こ、これはどうしよう〜?
「テ、テオ···?」
「見たところワナじゃなさそうだ。どんな話か知らんが、聞くだけ聞いてやろうじゃないかよ」
「う、うん···」
ということで、おばあさんの話を聞く事にしました。どんな話なんだろうね?
トルムくんの裏人格であるアルムくんは、テオくんの実力を引き出すために悪役を買って出てたようですね。口には出しませんが、結構ツンデレ気質が垣間見えたと思いますよ。
トルムくんは常時回復魔法がかかっているので、近接戦闘にはもってこいの特性があります。ですので、スタンピードに立ち向かう時は真っ向勝負!または自ら敵陣中央に乗り込んで大暴れ!という戦闘スタイルでいくんですよ。
さて次回予告ですが、ライくんとテオくんを呼び止めたおばあさんですが、何かお話があるようですよ?ライくんたちの正体を見抜いたこのおばあさんは何者なのでしょうか?前作とも関わりがある方ですよ。
それではお楽しみに〜!




