4-7.寡黙な剣聖?
サムと試合してから1週間が経った。テオの回復魔法のおかげでケガはもう完治したよ!さすがにもうあんな事はゴメンだけどね。
ボクたちがギルドの食堂に朝食を食べに行くと···、サムがいた。あと···、もう1人女の子がいたんだ。サムと似たような銀髪に青が混じったようなきれいな髪をしていて、丸っこい犬耳があった。
···えっ!?もしかして!?
「おはよう、サム」
「おっ!?いいとこに来たな〜。ウイン!コイツが賢者の遺産を継承したライと管理者のテオだ。ライ、テオ!コイツがもう1人のSランク、『剣聖』のウインだ!」
「···ども」
「は、初めまして!賢者の遺産の継承者の···、ら、『雷帝』のライです···」
「管理者のテオだ。アンタも神狼族なんだな?」
「···(コクッ)」
「···ん?どうしたんだ?」
「テオ、ウインはあんまりしゃべるのが苦手だ。代わりにオレが答えるぜ。ウインは神狼族で、オレとは家が違うが親戚だ」
「そういえば10人に制限されてるんだったね」
「そういう事だぜ、ライ。だから神狼族は2家族しかいねえんだ。オレの家系とウインの家系だな」
「ということは、先日もう1人地上に降りてるって言ってた神狼族が?」
「そう、ウインの事だ。『剣聖』って名乗るぐらいだから、剣の腕はすげえぞ!」
「···試す?」
「···えっ!?ボクですか!?」
「···(コクッ)」
「あぁ~···、テオ?どうしよう?」
「受けるならまずは防具を何とかしとけ。この前みたいな事はもう勘弁してほしいぞ!」
「あ、そうだね。ゴメン!明日でいいかな?」
「···何かあった?」
「ウイン。コイツはオレと試合して、オレが運悪くライの心臓を潰しちまったんだよ···」
バシーーーン!!
「いってーーー!!何すんだよ!?ウイン!!」
今···、見えなかったけど、ウインはサムのほっぺたを思いっきりしばいちゃった···。は、速い···!
「···やり過ぎ」
「仕方なかったんだよ!ライが変にオレを攻撃しようとしたから、そのまま受けてたらンガァッ!?」
今度はテーブルの下でウインがサムのすねを蹴ったみたいだ···。痛そう~!
「···サムが先輩。···やさしくしなきゃダメ」
「うぐぐぐ···!ちゃんと龍脈の力で治したからいいだろ!?」
「···サムは手加減を覚えないとダメ」
「手加減してコレだ!!んぐぅっ!?」
「···口答えしない」
うわぁ~···。親戚だからってウインはサムに容赦ないなぁ~。でも、さすが親戚だからか、息はピッタリだね。
「···ライは魔法で防御をした方がいい」
「え···?魔法で···、ですか?」
「···(コクッ)普通の防具じゃ強度不足。···このバカの攻撃だったら致命傷」
「おい!?オレをバカ呼ばわりはやめゲフゥッ!?」
「···話の途中。···魔力が多いなら、物質化魔法で鎧を作ればいい。···ご先祖様は『鎧』って呼んでた」
「『鎧』···」
「ライ?そういえば高速飛行魔法をやろうとした時に物質化魔法をやってたよな?」
「あっ!?そういえばやってたね、テオ。でも···、あれって消費魔力量がハンパなかったんだよなぁ~」
「全身じゃなくて一部分だけでもいいんじゃね?」
「なるほど~!その案でやってみるよ!」
うん!方針は決まったね!イメージは···、そこの防具屋さんでいろんな鎧を見せてもらってするようにしよう!
「···その前に私と勝負」
「やっぱりやるんですね···」
今度はウインがボクとテオの手を握って転移した。サムもついてきちゃったけどね···。場所はこの前と同じ場所だ。
「···魔力剣は『ふにゃモード』で」
「え···?『ふにゃモード』?」
「···当たったらふにゃって曲がる。···当たっても痛くない」
「え、え~っと···。こう···、かな?」
魔力剣は魔力を込めれば込めるほど切れ味が上がる。だけど、ある一定の魔力以上じゃないと剣を維持できないんだよ···。鈍器モードはちょっとだけ込めてるんだけど、どうやったらふにゃってなるんだろうね?いろいろやってみたんだけど、うまくいかない···。
「···水魔法」
「···え?あっ!水魔法を込めたらいいんだね!?」
「···(コクッ)」
ボクは魔力剣に水魔法を込めてみると···!水の剣ができあがった!でも···、ふにゃってならないなぁ~。
「···もうちょっと強めに魔力を込める」
「こう···、かな···?」
水魔法の魔力をちょっと込めると、水の剣が固くなった!わずかに弱めたら···、ふにゃってなった!これ···、調整が難しい···。
「···稽古はこの状態で」
「な、なるほど···」
「···じゃ、どこからでも」
「お、お願いします!!」
ウインは『剣聖』···。おそらく使う技はボクとほぼ一緒のはずだ。アキさんの子孫だからね。さてどうしようか···?構えてるウインはまったくスキがない···。どこに打ち込んでもすぐに返されてしまうような気がするよ···。
でも、今回はボクから行かせてもらおう!サムとやった時は受け身だったからやられちゃったからね!
「いきます!秘技!夢想烈波!!」
技の中では高難易度である夢想烈波!無数の剣戟を短時間で繰り出すこの技は、ほかの技に比べて繰り出すのが難しいので、初手はこれでいった!しかし!
「···夢想烈波」
ウインも同じ技を繰り出してきた!なんとボクの剣戟すべてに当ててきて、ボクの攻撃が完全に無効化されちゃった···。
「···ん。···なかなか。···でも、まだ経験不足」
「す、すごい···。全部弾かれちゃった···」
「···まだ技の熟練度が足りない。···今は遺産の手助けで高威力が出るだけ」
「うっ···。た、確かに···」
「···じゃ、本物の技を見せてあげる。···全部耐えてみて。···皆伝秘技、万仞剣」
「ちょ!?」
いきなり皆伝秘技をウインは繰り出してきた!?全部の技をみせるにはそりゃ確かにこれが手っ取り早いんだろうけどさ!
でも、やられるわけにはいかない!ボクは遺産の力を引き出してトランスした!ボクの目が金色に輝きだしたことにウインは気づいたようだ。
···え?なんかニヤッってしなかった!?本気でやってやるってような顔してるよ!!そしてウインの剣の第1撃目、螺旋斬が当たる寸前でボクの周りの時間が遅く感じた!これで対応できるぞ!
まずはバックステップでかわす!螺旋斬は最低でも3回は回転する攻撃だ!1···、2···、3···!やっぱりウインも3回転で終わり、回転モーションの終わるついでに体をひねって第2撃目の疾風迅雷を出すモーションに入った!非常に滑らかで動きにムダがない!
この技は一直線に突っ込んできて横一閃してくる!ボクはカウンター技である斬月の構えをとってこの一閃と撃ち合って相殺した!
次は大噴火斬りだ!上段から一気に振り下ろす技に対しては紅葉を上向きに放つ形で撃ち合った!
その次は紅葉が来る!ここは近づけないように螺旋斬で応酬してやった!
その次の斬月はカウンター技!しかし、相手に近づいて攻撃を誘ってカウンターを発動させるやり方でウインは攻めてくる!ここは斬撃を飛ばす弦月斬を打ち込んでカウンターそのものを封じてやった!
距離をとったウインは弦月斬を放とうと剣を鞘に納めたような構えをしたので、ボクは疾風迅雷で間合いを一気に詰めて斬撃を繰り出せないようにしてやった!
最後は夢想烈波!こちらも同じ技で対応した!!
「···やるね?···まさか全部対応されるとは思わなかった」
「はあっ!はあっ!い、いや···。ボクの負け···、です···。余裕が···、ないです···」
「···ん。···今のが全力だね?···実力はわかった」
「あ···、ありがとう···、ございます···」
「···これから毎朝の鍛錬に付き合ってもらう」
「···え!?」
「···うわぁ~。ウインの鍛錬ってものすごく厳しいんだよなぁ~」
「···じゃ、サムも」
「オレは結構でウグゥッ!?」
「···やる」
「···はい」
ははは···。ウインもとんでもないんだなぁ~。というわけで、これから毎朝一緒に鍛錬することになっちゃいました···。
次のSランクはアキくんの息子のフユくんの子孫であるウインちゃんです!
サムくんとは遠い親戚に当たるのですが、神狼族自体が人数少ないのでご近所付き合いがあるんですよ。サムくんがボケ役でウインちゃんがツッコミ役ですね。
フユくんの子孫なので、剣術が非常に得意なんですよ。もちろん、暗殺術も多少は使うことができますし、魔法もちゃんとできるんです。
あんまりしゃべらないのはナツちゃんに似てますね。実はこの子も結構面白い子なんですよ。それはのちのちお話しますね。
さて次回予告ですが、次のSランクの人と出会いますよ〜。『武王』と呼ばれる体術をメインに扱っている人なんです。どんな人なんでしょうね?
それではお楽しみに〜!




