4-1.冒険者ギルド総帥の正体
本日より第4章全22話が始まりますよ〜!
「待っていたよ。ライくん、テオくん。いや···、『アキさんたちの賢者の遺産の継承者』って言った方が良かったかな?」
「なっ!?」
「てめぇ···!?どこまで知ってやがるんだ!?」
「ふふふ···。ちゃんと答えるので、まずはそこにかけたまえ」
総帥はボクたちの秘密まで知っていた···。賢者の遺産という名前は知っている人もいるかもしれないけど、『アキさんたちの』という部分は絶対に言っていない!なんで知ってるんだ···?
テオはものすごく警戒している。総帥を睨みつけながら、ソファに浅く腰掛けた。すぐにでも殴りかかれるようにって事だろう。
一方の総帥はそんなテオの警戒なんてまったく気にせずにコップを3つとお茶菓子を用意してくれた。ものすごく余裕があるよ···。
「ちょっと話が長くなりそうだから、お茶を用意させてもらった。···ほら、毒も入ってないから気にせず飲んでくれ」
総帥は軽くお茶を飲んだよ。毒が入っていたら自分もタダじゃ済まないって意味か···。安心させるために先に飲んだって事だね。
ただ、テオはそれでも信用してなかった。
「···信じられねえな。アンタのコップにだけ毒を入れてないか、アンタに効かない毒かもしれないぞ」
「確かにそういう考えもありだね。ふふふ···。先祖のリオくんに比べてキミは警戒心が強いなぁ〜」
「···テメェ、何者だ?なぜご先祖様まで知ってやがる?まるで会ったような話しぶりじゃねえか?」
「そりゃそうだ。実際に会ったことがあるからね。今だと···、1080年前かな?」
「なっ!?テメェ!人間じゃねえな!?」
「その通り。私は人間ではないね。自己紹介が遅れたな。私はエマ。かつて···、今だと1700年前にこのエーレタニアに侵攻した異世界の神だった者だよ」
「えっ!?異世界の神様!?」
「···そういう事かよ」
「そう。だから、この世界を創造した神も、そして賢者の遺産を創ったアキさんとリオくんも知り合いだったよ。当時を知る者は、今はもはや私だけになってしまったがね···」
「どうして···、異世界の神様が···、それも侵攻したって事はこの世界の敵だった人が冒険者ギルドの総帥に···?」
「簡単な事さ。私も冒険者だったからね。1100年前だけど」
「えっ!?神様が冒険者!?」
「つくづくフザケた野郎だな···」
「私はこの世界に置き去りにされたが、この世界が好きでね。だからいろいろ楽しませてもらったよ。ただ、そろそろこの世界からお暇しようとした時に災厄戦争が始まってね。楽しませてもらった世界が崩壊するのは見てて辛かったからね···。こうしてささやかな抵抗と支援をさせてもらってるのさ」
「でも、神様ならすごい力とかあるはずなのでは?」
「鋭いところを突いてきたね。さすがアキさんの遺産を継承しただけの事はある。その質問をしたという事は、遺産の知識には入れなかったんだろうね。残念ながら、今の私にはもう力がなくてね···。元の世界から切り離されてかなり経ちすぎてしまったから、生きるだけで精一杯って状態なのさ。いろいろ延命策をとってはいたんだが···、あと数年ぐらいで消滅するかな?」
「えっ···」
「なるほどな。神と言っても、万能ではないんだな」
「その通り。まぁ、本当の神の力も万能ではないがね。そこはこのエーレタニアを再構築した神も、そして副業で神様をやらされていたアキさんも同様だったな」
「そうですか···(神様をやらされてた?)。ところで、ボクが継承したってどうして気づいたんですか?」
「賢者の遺産について知っていたし、封印が解かれたのに気づいたんでね。私には気づくようにアキさんもセットしてくれていたみたいだ。おそらく、継承者を導いてほしいって願いだったんだろう」
「そうでしたか···。あの、いくつか聞きたいことが···」
「ああ、すべて答えよう。その前に、私からSランクの説明を先にさせてほしい。いいかな?」
「はい。···やっぱりSランクになるんですね?」
「もちろん。聞いたかもしれないが、Sランクとは神々の遺産を持った継承者の冒険者を指している。キミたちも当然これに相当する」
「では、神々の遺産持ちがSの理由は?」
「大きく3つある。Aでは対応できないスタンピードの対応、そして『力を持っていることに対する恐怖感を信頼感に変換する』ための肩書、最後は···、『誤った使い方をして人類滅亡の引き金にならないため』だね。どちらかといえば2、3番目が重要だな」
「なるほど···。冒険者ギルドが最高ランクの称号を与えていれば、それでどれだけ強くても信用されるから···、ですか?」
「さすがに飲み込みが速い。ライくんも経験あるからだね?」
「はい···。恐怖で襲いかかられました···」
「それを回避するためだ。3番目は、神々の遺産はすさまじい力を持った神器だ。使い方を誤れば、すぐに人類滅亡なんて朝飯前なのさ。これはキミの賢者の遺産も同様だよ。だから、そういった者が『人類に敵対しないように教育して保護する』という意味合いもあるね」
「ボクは人類を滅ぼす事に使う気はありません」
「その言葉だけでは不十分だな。そうだね···。例えばテオくんが人質にされて知識を出すように脅迫される事態も可能性としてある。その場合、人類を救うためにテオくんを見捨てる覚悟はあるかな?」
「なっ!?」
「それは···」
「嫌らしい質問だと思う。だが、これには絶対に答えてもらわないといけない。ライくん?キミは自ら仲間を犠牲にしても、人類を守るって言ってもらえるのかな?」
「ライ!こんな質問に答える必要はない!」
「テオくん!!キミに聞いていない!私はライくんに聞いてるのだよ?邪魔するなら···、ちょっと眠ってもらおうか?」
「テオ!落ち着いて!エマさん。その問いかけに···、ボクの答えを言います」
「ライ···?」
「では聞かせてもらおう。どうするかな?」
「···ボクは、テオを見捨てません!!」
「ライ···!」
「···やはり子どものキレイ事の考えだな。遺産を継承したとはいえ···」
「待ってください!答えはまだ続きがあります!」
「続き···?」
「ライ···?」
「ボクはテオを見捨てません。そして人類も救ってみせます!そういう方法があるはずです!それを···、探してみせます!!」
「ライ···」
「············」
「これがボクの答えです。こうなるようにしてみせます!」
誰も犠牲になんかさせない!村が滅んでしまった時のような、あんな思いはもうしたくない!
これは確かに理想論だとボクも思うよ。でも!理想がなかったら諦めちゃう!それだけはダメなんだ!
その思いを言ってみたら···、エマさんは···?
「ふふふ···。ははは!あーはっはっは!」
「テメェ、何がおかしいんだよ!?」
「ははは!いや、まさかその答えを言うとはね!その答え方は遺産の知識かい?」
「いえ、これはボク自身の答えです。遺産は関係ないです」
「···よし!合格だね。さすがアキさんが選んだ継承者だよ。実はアキさんも同じ回答だったなぁ〜」
「そうなんですか?」
「ああ。『某ゲームと似たセリフですが···』って私には意味がわからない事を言いながら、そう言ったのさ」
「そうだったのですか···」
「ちなみにテオくんの物言いもリオくんとほぼ同じだったなぁ〜!キミたちを見ていると···、アキさんとリオくんを思い出してしまうなぁ〜」
「ご先祖様もそうだったのかよ···」
まだまだ話は続きそうだから、続きは次回ね!
総帥の正体はエマさんでした。前作の続編をお読みいただいた方でしたら気づいたかもしれませんね〜。
1000年前から生き続けているとなると、神様ぐらいしかいません。実は前作ではたっくさんいた神様たちはこの時点でほとんど生きていません。いないことはないんですが、物語にはほとんど絡んできません。
Sランク冒険者という特異な制度の説明がありましたが、簡単に言えば『信用と保証』の面で活動をサポートという事です。
これは現代では『会社』が相当します。クレジットカードの契約とかだと自営業だと提出する書類がとても多くなりますが、会社員だと会社名と見込み年収入れる程度です。
クレジットカードは『ちゃんと支払ってくれるという信用』が大事だからですね。これを参考にSランクの必要性を定めてみました。何かあればギルドが保証するからのびのびやっちゃって!っていう方式なんです。いかがでしょうか?
さて次回予告ですが、Sランク冒険者にはあだ名があるそうです。ライくんはどんなあだ名をつけるのでしょうか?
そしてエマさんが神様ということで悪神ボイドの事も知ってました。とんでもない情報が明らかになりますよ〜。
それではお楽しみに〜!




