3-15.人のいない場所で訓練しようか?
イナの町で2泊させてもらい、のんびりと過ごしたボクたちは、宿で朝食をいただいてから町を出ることにした。
出る前には役所に寄って、報酬をいただいた。結構高額だったので、ここでも半額を復興資金として寄付しておいたよ。
お金使ってないから貯まる一方なんだよなぁ〜。···ん?なんか『うらやましい!!』って空耳が聞こえたような気がするけど···、気のせいか!
そして町を出た。見送りに来てくれた人もいたよ!これにはボクもびっくりだったよ!出る時間言ってないのにね。
町の西側の門から出た。この道を歩いていけば、レクトの国に着くようだ。
というわけで、今回は迷わないように徒歩で向かうよ〜!
でもその前に···、
「テオ?高速飛行魔法の練習する?」
「そうだなぁ〜。って、ここでやるか?」
「それね?ちょっと考えたんだけど、人のいない場所で訓練しようか?って思ったんだよ」
「その方がいいだろうな。で?どこでやる気だ?」
「マイカ村で」
「···あ〜。確かに今は誰もいないな〜」
「それに、ちょっと村の様子も見ておきたいんだよ」
「いいぜ!ちなみにここに戻って来れるよな?」
「うん!さっき確かめたら町の外にも転移できるみたいだよ」
「よし!そんじゃあ、ちょっと帰るか!」
「うん!それじゃあ、行くよ〜!」
そうしてボクたちはマイカ村に戻ってきた。···ほぼ2ヶ月ぶりかな?残りの魔力量がかなり少ないから、ちょっとだるさを感じてるよ。
「あんまり変わってないか?」
「ううん。かなり草が生えてきているね。誰もいないから、自然に還りつつあるんだよ」
「それじゃあ訓練するか?」
「···いや、今日は魔法で土地を整備しておくよ。もう魔力量が半分以下だからちょっとだるいしね。とりあえず草が生えにくいように土魔法で地面を固めようと思うんだ」
「ならオレも手伝うぜ。オレの方は魔力が余りまくってるからな!」
「じゃあ、テオはここから東側をお願いできる?」
「おう!」
ということで、高速飛行魔法を練習しようと思ってたけども魔力量が少ないので、村の整備をすることにしたんだ。魔法の練習も兼ねてるよ!
土が柔らかいと、草が根を張りやすくなって生えてきちゃうんだ。だから、土魔法で土を圧縮して固めてしまうんだ。
···これ、思ったより消費魔力量が多かった。ちょっと残りの魔力量ではしんどいなぁ〜。
まずはボクの家があった場所だ。···ただいま。帰ってきたよ。
草は火魔法で焼いておいた。もちろん、燃え広がらないように調整はしているよ。今日は風がないから、火の粉が飛び散る心配もない。
そして土魔法で固めた。雨水が溜まらないように周囲より若干土を盛っておいた。固めたら体積が減るので、周囲に溝を掘って、その土を使った。
これでしばらくは大丈夫でしょ。転移で帰ってこれることもできるようになったし、たまに戻って墓参りしようと思ったんだ。
さすがに墓場では火魔法は使わず、風魔法と弦月斬の斬撃で刈った。意外と斬撃も使えるもんだなぁ〜。
そして夕方になった。今日の作業はこれで終了。ボクはテントを立てて、夕食の準備を始めた。
「帰ったぞ〜!だいぶいい感じになったんじゃねえかな?」
「お疲れ様、テオ。かなり広い範囲をやっちゃったね」
テオは村のほとんどを固めてしまった。残りは元々畑だったところだ。ここは···、将来はまた畑にするからいいや。
「そう言えば、ライはいずれここに戻って住むんだよな?」
「うん。ボクが生まれ育った場所だからね」
「1軒家だけか?」
「うん、当分はね。もし、誰か住みたいって事なら別にいいけど?」
「そうか···。なら、ちょっと町っぽく作ってみるか?」
「···え?どういう事?」
「このままじゃ、魔獣に襲われたらひとたまりもないぜ?せめて柵とか壁とか作る必要があるだろ?」
「ん〜、ボクとテオだけならなくても大丈夫だけど?」
「家建てたら壊されるぞ?」
「あっ!?そうだね」
「今はただの原っぱになっちまってるが、本格的に住むなら、それなりの準備はしといた方がいいぞ?」
···うん。確かにその通りだ。ここに住むなら、それなりの準備をしておかないといけない。今日の作業も、時間が経てばやり直しになっちゃうし···。
「そうなると···、ものすごい時間と資材とお金がかかるね」
「家建てるだけなら手持ちのお金でなんとかできるだろうけどな。もういっそ、ライがここに国を作っちまえよ!」
「···ええ〜!?ボクが国を作るの〜!?」
「なに驚いてんだよ?アノドのじーちゃんだって作ったんだろ?ライなら楽勝だろ?遺産の知識にまちづくりについてもあるんじゃないか?」
「あ〜···、どうだろ···、あっ!?あったよ。ただ···、『建国シミュレーションゲーム』···?」
「え?なんだそれ?」
「ボクもちょっと···。また遺産の能力開放があったら分かるようになるのかなぁ〜?」
「かもな!しかし···、アキさんは何でも知ってるなぁ〜!」
「そうだね。さすが『賢者』って言われるだけあるよ!」
国づくりかぁ〜。マイカ村が国に···。それもいいかもしれないね!
次の日···。
「よし!今日は魔力全回復状態だよ〜!」
「おう!どんな魔法でもやってやるぜ!」
「それじゃあ、遺産の知識によると···、まずはお勉強からだってさ」
「···はあっ!?勉強だってー!?」
「うん。どうやって飛べるのか?を知るのが大事なんだってさ」
「え〜〜!?オレ、勉強ってヤダぞ〜!」
「だから高速飛行魔法使えないんじゃないの?」
「うっ···。そ、それを言われると···」
「···ん?どうもテオのご先祖様のリオさんも同じような事言ってたみたいだね。でもリオさんもできたんだから、テオもできるって!」
「う〜〜!わかりやすく教えてくれよ〜!?」
「うん。ボクも遺産の知識が教えてくれる通りに教えるね!まずは···、高速で飛ぶと、翼の上下で空気の流れに差ができて、『揚力』が翼に働いて浮き上がるんだって!」
「もうこの時点でダメだぁ〜!」
「じゃあ、実際にこれやったらわかるんじゃない?竜モードになって、ボクが風魔法で思いっきり風を送ってみたら、固有魔法じゃなくても浮き上がると思うよ?」
「それならわかるかもな!···よし!え〜っと?飛んでるように寝転がればいいか?」
「そうだね。翼をそのまま地面と平行にして···、うん。いいんじゃないかな?じゃあ!風魔法で暴風を送るよ!いっけぇええーーー!」
ボクが暴風をテオに吹き付けた!テオがちょっとだけ翼を持ち上げた時だった!
「うおっ!?」
テオの体が浮き上がった!揚力がテオの翼に作用したんだね!ただ···、
「え!?うわぁ~〜!?」
「あ〜!?テオ〜〜!!」
テオの首がちょっと上がっただけでテオが直立してしまって、ボクの暴風を翼全体で受けてしまって軽く飛ばされちゃった···。
これ、結構実演が難しいなぁ〜。
草刈りって大変なんですよね〜。作者もやるんですが、やる時期が実は重要でして、経験的には梅雨入り前、梅雨明け、木枯らしが吹く直前ぐらい?って思っています。
もちろん、地方や土壌などの環境によって変わるかな?と思います。
電気のお仕事でなんで草刈り?って思いますよね?太陽光発電所は舗装してないところがほとんどだからです。草刈らないとパネルに草が乗っかったり影に入って発電量が落ちちゃうからなんですね。
さらに草刈り機でケーブル切断する事が多いので、感電にも注意しなければなりません。
あと、高速飛行魔法の練習も始まりました。この魔法は前作のアキくんがジェットエンジンを参考に創作しましたが、やはり高度な知識が要求されます。ましてやジェットエンジンの実物を見てませんからね。難しいと思いますよ。
さて次回予告ですが、テオくんの高速飛行魔法の練習風景をご覧いただきますよ。ちゃんと飛べるようになるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




