1-1.剣術と魔法の練習
大変長らくお待たせいたしました!
本日より『ぷちきゅう劇場シアター2』にて新作のライくんのお話の幕を開けます。
本日は初日ですので、だいたい2時間おきぐらいで1話ずつ全6話投稿いたします。
それではどうぞごゆっくりお楽しみください。
無限収納カバンに入っていたテントで生活を始めて1週間が経った。
ボクが住んでた家に比べたら狭いんだけど、ボクとテオが寝るだけなら問題なかったよ。
この1週間で村の片付けは全て終わってしまった。身体強化魔法のおかげでね。
やっぱり魔法ってすごいんだなぁ〜!魔法を使うには魔力が必要なんだけど、賢者の遺産を継承したことでボクにはとんでもない量の魔力が備わってたんだ。
でも使い方はわかってるんだけど、いまいちなんだよなぁ〜。やっぱり練習なしでぶっつけ本番だからなぁ〜。
知識によれば、魔力循環をきっちり訓練して明確なイメージができれば一番!って事なんだよね。アキさんなんか空も飛んだみたいだ!ボクも呼べるのかなぁ〜?
それと剣術。こっちも型とか技は知識としてあるんだけど、体が思うように動かないんだよ···。こっちも鍛錬が必要かなぁ〜?
···よし!今日は使い方を練習してみよう!まずは剣術だね。魔力剣の扱いにも慣れておかないと、ボクとテオだけで魔獣を倒せないからね!
まだ日の出の時間だ。朝食まで時間あるし、アキさんの息子さんたちがやっていたという鍛錬メニューをやってみるか!
はぁっ!はぁっ···。こ、これは···、キツい!!
身体強化魔法なしで走り込むなんてキツすぎるよ!?まだ慣れてないからなぁ〜。ほかの人と比べるのもあんまり意味ないけどさ。
息を落ち着けてから、次は魔力剣の扱い方だ。剣の柄に魔力を込めると、緑色の光る刃が出てきた!なんかかっこいい!
まずは近くにあった岩を切りつけてみた!
ガンッ!!
う〜ん···。これぐらいだとキズもつかないか···。だったら、魔力をさらに込めてみるぞ〜!ブーーーン!って音がし始めた!これならどうだ!?
ザシュッ!!ドズーーン!!
うわぁ〜!あっさり切れちゃった!岩に当たった感触なんてないよ!?
うん、これは危ない。うっかり触れちゃったらボクの指もきれいに切れちゃうね。状況に応じて切れ味を変えれるようにしようっと。
次は型だ。魔力剣は軽いから、片手持ちでも両手持ちでもどっちでも問題ない。
ただ、取り回しや型が大きく異なるんだ。片手持ちだと右手で持ったら自分から見て左側は振りにくいけど、攻撃範囲が広い。両手持ちだと正面からの攻撃のみの対応になるけど、威力は片手持ちよりも強い。
まずは両手持ちからやってみるか!型は大きく分けて3種類あるんだ。振り下ろし・横薙ぎ・突きだね。
ボクは右利きだから、柄の握りを右手が上、左手が下だ。足も右足を前にして左足で踏み込む!
「えいっ!えいっ!やあっ!」
アキさんの知識だとこれでいいみたい。基礎がきっちりできた上で技を使うんだ。
アキさんの剣術の技の基本形は以下の7つ。
・螺旋斬:自分の周囲の敵を切り刻む
・疾風迅雷:複数の敵に一太刀斬りつけながら移動する
・大噴火斬り:大きく振りかぶって思いっきり振り下ろすパワータイプの技
・紅葉:相手の懐に入って横薙ぎ一閃する
・斬月:カウンター技で相手の攻撃を受ける直前に相手を攻撃する
・弦月斬:剣に魔力を込めて斬撃を飛ばす
・夢想烈破:短時間にものすごい回数切りつけて敵単体に大ダメージを与える
この7つを極めると皆伝秘技『万仞剣』というのができるようになるらしいね。
ここまでできると、『理に至る』って言うんだってね。一流の剣士になって、他の武器もあっさり使いこなせるようになるんだって。遺産の知識によれば、これを極めたのはアキさんの息子さんのようだね。ボクはそこまではムリかなぁ〜?
そんな事を考えながら、情報を整理する。すると、テオが起きてきたよ。
「ふわぁ〜〜。おはよー、ライ」
「おはよう、テオ。今日もお寝坊さんだね?」
「まだ体が慣れてないのかなぁ〜?」
「あんまりムリしちゃダメだよ?」
「起きたら何でもないんだけどなぁ〜?朝だけ弱いなぁ〜」
「ははは。じゃあ、朝食にしようか?」
「おう!今日は何だ?」
「今日は···、どーなつ?っていうみたいだね」
「お〜!これもうまいぞ!」
「ホント!おいしいね〜!」
さて朝食を食べ終わったので、今度はテオと一緒に鍛錬しようかな?あれ?そう言えば···、
「ねえ、テオ?テオって魔法は何使えるの?」
「いろいろだなぁ〜。一応親戚に全系統は教えてもらってはいるけどな」
「それってすごいことなんじゃないの?」
「普通はな。けど、教えてくれた親戚のおばさんはとんでもなくすごかったんだよなぁ〜。あそこまではオレにはムリだろうなぁ〜」
「例えばどんな魔法だったの?」
「そこの山をひとつ吹き飛ばすな!」
「···ふぇえ〜〜。それは恐ろしいなぁ〜」
「だろ?『これ撃つ時が最高に気持ちいい!』って言ってたんだぜ?ちょっとその感覚はオレにはわからないわ」
「逆にわかったらテオもできるんじゃ?あっ!?そうそう、忘れてた!賢者の遺産の知識にはドラゴン族は空を飛べるってあるけど、テオはできるの?」
「おう!ライ1人なら大丈夫だぜ!」
「『高速飛行魔法』なんてのをリオさんは使ってたようだけど、それは使えるの?」
「それはムリだなぁ〜。見たこともないからやり方わかんないしなぁ〜」
「そっかぁ〜。でも、普通の飛行魔法でも結構早いんでしょ?」
「そだな!馬車の3倍以上は早いと思うぞ」
「十分だよ!もうちょっとしたらいろんなところを見て回ろうかな?って思ってるから、つきあってくれる?」
「もちろんだぜ!それまで何するんだ?」
「アキさんの知識を知っていても、今のままじゃ使いこなせないんだ。だから、練習するんだ!」
「よし!オレも付き合うぜ!」
「ありがとう、テオ!」
今日は魔法の訓練をテオとやったよ。一緒に魔力循環をやってから、なんといきなり魔法戦をやることになっちゃったよ!?
「テオ!?本気なの!?」
「あったりまえだ!攻撃魔法なんてのは実戦で使うんだから、試合して感覚を掴むのが一番だぜ!」
「そんなもんなのか···。わかった!よろしくね!」
「いいか?重要なのは場面に応じた魔法の使用だ。ムダ撃ちしたら、それだけ相手に攻撃のチャンスを与えてしまうからな!」
「わかった!じゃあ、ボクからいくね!」
「おう!全力でどっからでもこーーい!!」
アキさんの知識には戦術もあった。どうやらアキさんたちは最初に大規模な魔法を使ってから各個撃破という戦法を好んで使ってたようだよ。
しかも···、スタンピードを実際に倒してるんだよ!これを知ってたら村は···、いや、火力不足すぎだからムリだな。
今回は1対1だ。まずはテオの動きを封じよう!動きを封じる魔法···、あった!まずはこれだね!
ボクは水魔法と土魔法を合成した泥の魔法をテオに放った!
「うわっ!?足元が!?くそっ!動きにくい!」
よし!動きが鈍ってるね!次はこれだ!
「ロックガトリング!いっけーー!!」
「ちょ!?ぬあああーーー!!」
テオが叫ぶと、光る壁がテオの前に現れて、ボクの魔法を防いじゃったよ!
「おい!ライ!いきなりとんでもない威力の魔法を使ってくるなよ!?」
「でも、『全力でこい』って言ったよ?全部防がれると思わなかったけど、それって防御魔法?」
「確かに言ったけど、まさか遺産の魔法がこんなに強力とは思わなかっただけで···。さっきのは防御魔法にオレの竜気を加えた強固な魔法だぜ」
「竜気···、遺産の知識ではドラゴン族にのみ備わる固有能力の防御法ってあるけど、これがそうなんだね?」
「ああ!どうだ?知ってるのと見るのとじゃ、随分違うだろ?」
「うん!まだまだ遺産の魔法があるから、試させてね!」
「ちょっと待て!?オレは魔法の的じゃないぞ!」
「でも実戦で使うのが一番ってさっき言ったじゃん」
「まさかここまで厳しいとは思ってなかったから···。じゃあ今度はオレからいくぞ!」
「うん!がんばって相手するよ!」
こうして日が暮れるまで魔法の練習をしたんだ。テオはいろいろ文句を言ってきたけど、最後まで付き合ってくれたよ。ありがとう!
物事は知ってるだけでは意味がありません。使ってこそなんですね。
ですので、ライくんも遺産の力で得た知識をこうやって確認しています。ただ、経験がないのでそこは今後どうやっていくか?ですね~。
ただ、実はこの時点で明かされている知識は全部ではないんですね。お話が進むとどんどん開示されていく仕組みなんです。どんな知識が飛び出してくるかはその時までのお楽しみにしてください。
さて次回予告ですが、ライくんは村を初めて出ます!お隣の町までは竜モードのテオくんに乗せてもらっていきますよ~!そして着いた町では事情を聞かれ、そこでライくんも知らなかった事実が明らかになります。
次回はだいたい2時間後に投稿します。お楽しみに~!