2-17.ライ、初のデ、デートをする!?
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿してますので、先にそちらをご覧下さい。
「ごめん!待たせたね」
「別にいいわよ。それじゃあ行きましょう!」
リークさんとちょっと長く話し込んじゃった。アスはボクにリークさんと何の話をしたのかを聞くことはなかったよ。
「ライは村にいた時はどんな遊びをしていたの?」
「ボクの村は貧しかったから、話をするぐらいで遊ぶことはなかったなぁ〜。ボクは毎日畑仕事やってたよ」
「そうだったのね···。畑仕事ってどんな事やってたの?」
「草抜きと水やりだね。どっちかと言えば草抜きがほとんどだったよ。水やりはバケツが重たかったから、あんまりできなかったなぁ〜」
「大変なのね···」
「そうだね。でも、採れたての野菜とかはおいしいんだよね〜。頑張ったごほうびをもらえた感じがしたよ!」
「それだけライがお世話したんだもの。そうでしょうね。冬の間はどうしてたの?」
「冬は雪かきだね。結構積もるし重たかったから、パパのお手伝いぐらいしかできなかったね」
「雪···。雨が氷みたいになって降ってくるのよね?」
「そうだね。氷の塊じゃないけどね。ふわふわしてるんだよ」
「この町だと雪なんて降らないから見たことないわ。お話では聞くんだけどね」
「それだったら、ボクもここみたいに大きな川は初めてだよ!大きくてびっくりしたなぁ〜」
「旅をしていろんなところに行くと、そこでしか見られないものがあるのね···。わたしはこの町しか知らないから、ライの話は聞いてて面白いわ!」
「そ、そうなのかなぁ〜?」
「ええ!旅ができる人って本当に少ないからね。行商人も、魔獣対策で大勢固まって護衛をたくさん雇ってるんだから」
「へぇ~。行商人って見たことないんだよなぁ〜。ボクの村は村長さんが町とやりとりしてるだけだったしね」
「へぇ~。いろんな村があるのね」
ちょっとした話から始めたおしゃべりが長く続いた。そういえば、こんなに話したのって初めてじゃないかなぁ〜?パパとママは別だよ?
歳の近い子もいたけど、こんなに話すことってなかった。だから、アスとこうやって話をするのって楽しいって今日初めて知ったよ!
話をしながら特に目的地もなく歩いていると、川に出た。この町の名物ってほどじゃないんだろうけど、川岸には漁のための小舟が浮かんでる。
川の流れが非常にゆっくりだから、舟に乗って魚を獲ったりもするようだね。あんまり流されると戻ってくるのが大変だろうけどね。
ここは良質な木が多いんだって。川を使って下流の町へ送ったりもするそうだよ。帰り道が大変だろうなぁ〜。
そんな川を見ながら、ボクたちはシーツを敷いてお弁当を食べることにしたよ。今日もお弁当を作ってもらったんだけど、いつもよりも豪華だったよ!
「おいしかった〜!」
「これはすごかったな!」
「わたしもこんなお弁当は初めてだったわ!」
そうして川を見つつ、のんびりしてたんだ。すると、アスは今度はテオの話を聞きたいって言い出したんだ。
「オレの話?ライみたいに面白く話せないぞ?」
「別にいいわ。そもそもテオみたいにドラゴン族なんて会ったり見たりすることなんてないんだもの!」
「そういえばボクも詳しい話って聞いたことなかったよ」
「そうか···。と言ってもオレ自身の話自体が話せないことばかりだからなぁ〜。アスはドラゴン族ってどれぐらい知ってるんだ?」
「強いって事と、人にもなれるし竜の姿にもなれる事、あとは昔は魔獣退治をしてくれてたおかげで平和だったってところかしら?」
「まぁ、その通りだな。ちなみにドラゴン族にはオレの白銀以外にも赤、黄、緑、青、黒、金がいるぜ。昔は集落が各地にあって、そこは魔獣がたくさん発生する溜まり場だったんだな。毎日魔獣が出てくるから、退治しまくってたらしいぜ」
「ということは、テオは集落にいなかったのね?」
「オレはドラゴン族が地上を去った後の浮遊大陸で生まれたからな。その時代の事は知らないな」
「浮遊大陸···。それってどこにあるの?」
「雲の上だ。どこにいるのか分からねえし、行く手段も今はドラゴン族のとある魔法しかないな」
「どんなところなの!?」
「地上と変わんねえよ。山も川も湖もある。魔獣がいないってぐらいかな?魔獣が狩れないから、強さを維持するためによく試合をしてたなぁ〜。腕のいいヤツはふらっと地上に降りて武者修行するのもいたらしいぜ」
「へぇ~。そんなところなのね」
「テオ、浮遊大陸って確か神様が創ったんだよね?」
「そうらしいぜ。今のように地上が魔獣だらけになってどうしようもなくなったから避難するためって事らしいぞ」
「今はドラゴン族が避難してるんだね」
「ああ。戦争に巻き込まれたからな。他にも神様が魔獣退治のスペシャリストとして創った『神狼族』って獣人も戦争から避難してたなぁ〜」
「へぇ~。そんな人たちも···。え?」
「ん?どうした、ライ?」
「い、いや!別に何でもないよ!」
テオが言った神狼族···、遺産の知識にあったし、アキさんのご家族がそうだったみたいだ···。遺産の知識が急に出てきたよ。
「そうだ!アス?もう一度空の旅を楽しんでみるか?」
「えっ!?いいの!?」
「ああ。ライもいいだろ?」
「うん!テオの背中に乗って飛ぶのって、ボクは大好きだよ」
「よし!じゃあ午後は遊覧飛行って事で行くか!ライ!地図アプリでちゃんと戻ってこれるようガイドしてくれよ?」
「わかった!」
ボクがスマホをポケットから取り出すと、アスが覗き込んできた。
「ライ?これって?」
「···ホントは見せちゃダメなんだけど、内緒にしてね。これはスマホって魔道具なんだ。いろんな情報が見れるんだ」
「初めて見たわ···」
そりゃ神器だからね···。まぁ、アスは信用できるから見せちゃったけどね。
「よし!じゃあ行くぜ〜!」
こうしてボクたちは川岸から飛び立った。どんどん高度を上げていったよ。
上空からの景色はいつ見てもきれいだ。見下ろすと、町とかがおもちゃのように小さく見えるんだよね〜。
テオはそのまま町の周囲を大きくグルっと時計回りでゆっくりと回ってくれた。
見下ろすと、町はボクたちが、来たときよりもだいぶ片づいていた。あちこちで家を建てようと準備がされてるのがわかるよ。
そんな様子も、アスは見て喜んでいたよ。
あんなに出かける前は文句をテオは言っていたけど、やっぱりテオもこの町の事を気にしてるじゃんか。それをボクが指摘したら怒るだろうから言わないけどね。
1時間ぐらいかな?遊覧飛行を終えて、ボクたちは川岸に戻ってきた。すると、川岸にはたくさんの子どもたちが集まってたんだ!
「ねえねえ!ぼくたちも乗せて〜!」
「お兄ちゃんたちも乗ってたんだから、あたしも乗りたい〜!」
「こら!わがまま言っちゃダメでしょ!ごめんなさい!おじゃましました!」
「い、いえ···。あの?この子たちは?」
「ああ、ごめんなさい。この子たちは孤児なんですよ···。私は孤児院の者でして···」
···そうか。じゃあ、ボクたちからプレゼントしようかな?
「テオ!ちょっとだけ乗せて飛んでくれる?」
「あ〜···、まぁいいか!今日だけだぞ?」
「「「「わーーーい!!」」」」
「よければあなたもどうぞ!」
「い、いいのですか!?」
「ええ!落ちないように見てあげてくださいね」
「わかりました!ありがとうございます!」
「お前ら〜!ちゃんと座ってないと落っこちるぞ!まぁ落っこちないように魔法がかかってるんだけどな。痛っ!?おい!毛を引っ張るな!!飛んでやらないぞ!?」
ははは!テオがおもちゃにされてたよ!文句言いながらも孤児のみんなを全員乗せて、テオは飛んでくれた。···ありがとう。
ハプニングもあったけど、ボクたちは楽しい時間を過ごせたんだ。こういうのも···、いいよね!
「ライ!今日は楽しかったわ!わたしとデートに付き合ってくれてありがとう!」
「ボクも楽しかったよ。また時間あったら楽しもうね!」
「···そ、そうね!じゃあ、帰りましょう!」
そう言ってアスはボクの手を取って、手をつないで帰ったんだ。アスの手は···、温かかったよ。
ほほえましいデートでしたね!
こうしたやり取りは書いてて楽しかったですね〜。穏やかな、そして平和な時間が流れてるように感じましたね。これもライくんが魔獣討伐してくれたおかげなんですよ。
そんなデートに付き合うテオくん。ちゃんと遊覧飛行して雰囲気を盛り上げてましたね!ちゃんと気を遣ってくれてるんですよ。
さて次回予告ですが、先日話しのあったライくんが講師になるお話です。
緊張しましたが、自分がこれまで経験した事をちゃんと話すことができて大成功しますよ〜!
明日も朝と夜に1話ずつ投稿します。お楽しみに〜!




