2-8.ギルドでいっぱいお仕事を請けることになっちゃった
本日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ〜!
「おはよう、テオ!」
「···ん〜〜?もう朝かよ〜?」
「ほら!今日も忙しくなりそうだよ〜!」
「なんでライは朝からそんなに元気なんだよ〜?」
「···そういえば、なんでだろう?」
「自分でもわかってないのかよ···?」
「まぁ、元気ならいいんじゃない?準備して朝食を食べに行こう!」
「おう。腹も減ってきたしな〜!」
テオに言われて気づいたんだけど、確かに今日はなんだかやる気がみなぎってるんだよね〜。なんでだろう?
まぁいいか!さっそく食堂で朝食をいただいた。
今日はアスとは別行動だ。アスも領主の娘なので、やることがあるそうだ。いつまでもボクたちと一緒ってわけにもいかないしね。魔獣退治にも出かけるんだから。
「ライ?今日は何するんだ?」
「朝イチでギルドに行ってみよう。早朝なら混んでないかもしれないからさ」
「ダイナモでは混んでたけど、冒険者が休業中ならそうかもな」
「じゃ、行こう!」
今日もいい天気だから、1日中動けそうだね。さっそくギルドに行くと、予想通り受付は空いていたよ。ちょっと振り返ると、依頼掲示板にはびっしりと依頼が貼り付けられていたよ···。仕事選びたい放題じゃんか···。
とりあえず受付に行くと1つしか空いておらず、いても疲れ切った表情だった···。もしかして···、寝てないのかな?ちょっと声をかけるのも気を遣っちゃうなぁ〜。
「お、おはようございます···。相談したい事があるんですけど···」
「···依頼?そこの張り紙見てないの?今は受付中断してるから」
「い、いや···。そうじゃなくって···」
「だったらなんなのよ!?冷やかしなら出ていけ!」
うわぁ~···。目の下のクマがすごい···。もうイヤイヤで受付に座ってるだけって感じだなぁ〜。
でも、これから話すボクの言葉を聞いたら元気になるんじゃないかな?
「ボクたちは先日の魔獣を退治した冒険者なんです···。ランクはCなんですけど···、やれそうな仕事ってありますか?」
「···はぁ?もしかして冒険者ごっこ?アンタみたいなガキがCなわけないでしょ!?とっとと帰れ!!遊んでやれるほど暇じゃないし疲れてんのよ!あたし昨日寝てないのよ!?」
「いや、あの···、ホントにCなんです···。これ···」
「あ?············え!?」
受付のお姉さんは相当疲れ切ってイライラしてるようだ···。ボクとテオが冒険者証を提示すると、固まってしまった···。もしかして···、寝ちゃった?
「ホ、ホントだ···。あ、あんたたち、Cランクなの!?」
「だからさっきからそう言ってるんですけど···。領主様から門の修理完了まで町の護衛をお願いされたので、魔獣退治関係があったら請けてお手伝いしたいんですけど···」
「わ、わかったわ!ちょっと待ってなさい!!マスター!!『救世主様』が来たわーー!!」
「···え?救世主?ボクが?」
「まぁ、あの人にとっちゃ仕事をしてくれるって意味じゃねえか?」
「そんな大げさな···」
ところが、ギルド的には大げさ以上に騒動になってしまったんだ!
ドタドタと2階から大柄なクマみたいな男の人が駆け下りてきたんだ!そしてボクをジロッと見た!獲物を見つけたような目をしてない···?
た、食べないで···!一瞬そんな気がしたよ···。
「···お前たちか!?Cランク冒険者って名乗ったのは!?」
「は、はい···。これ···」
「···なるほどな。そういう事か!」
「···え?」
「魔獣退治してくれると言ったな!?しかも先日のオーガファイターを退治したとも言ったのは聞き間違いじゃないな!?」
「は、はい。門の修理が終わるまでって領主様と話してるんです···」
そう言うと、クマみたいな人は依頼掲示板に行って、依頼の紙をいっぱい剥がし始めたよ!?半分以上取ってない!?
そして、剥がした紙をボクに渡してきた!多すぎて何枚か落ちちゃったけど···。
「Cならこれはできるだろう!?ここにいる間にできるだけ倒してくれ!」
「は、はぁ···。わかりました···」
そう言ってクマさんはまた2階に上がっていった。とりあえず受付は済んだようで、さっき相手してくれたお姉さんは『本日の受付は終了しました』の札を出して引き上げてしまったよ。
ここのギルドの人たちはかなり大ざっぱなようだね···。名前も教えてくれずに依頼だけ押し付けられちゃったよ···。ギルドって一言で言っても、場所によって違うんだなぁ〜。これもいい勉強になったよ。
さて、さっそく押し付けられた依頼を整理しよう!
とりあえず討伐関係···。あとは···、森の奥への護衛か···。急ぎではなさそうだから、後でいいかな?
依頼の数は37。かなり多いんじゃないかなぁ〜?確かに複数請けれるって聞いてるけどさ。そのうち討伐が31。ほとんどだね。
あとは出没地点で分けると···。町の南が川で、森の北が1番多くて17。森の東が11、西が3だった。
「テオ。森の北が多いようだね」
「じゃあ、今日はそこを潰すか!」
「うん!じゃあ、行こう!」
ギルドを出てボクたちが門から森に出ようとすると、今度は門番さんに止められた。
「キミたち!森は危ないんだ!遊ぶなら町の中にしなさい」
「いえ、ボクたちは冒険者です。Cランクで、魔獣退治の依頼で出るんです」
「···は?冒険者ごっこでしょ?」
「いや、だから···。これでいいです?冒険者証ですけど」
「ん?よくできた冒険者証···、って!?本物じゃないか!?」
「さっきからそう言ってるんですけど?」
「わかった。気をつけてな!夕方には戻るんだぞ!」
「はい!ありがとうございます」
「···あんな幼い子がCランクとは。世の中すごい子どももいるんだなぁ〜」
そんなボヤきがあるとは知らず、ボクたちは北の森にやって来た。
森とは言っても、道のように踏み固められた部分があるね。この道を進むとどこに出るのかはわからないけどね。
さて!では魔獣レーダー起動!···ふむふむ。この周辺にはいないね。先日の大型魔獣のせいで、普通の魔獣は森の奥深くへ逃げちゃってるようだ。
「テオ。ここからかなり奥に魔獣が固まってるよ」
「やっぱりこの前の大型魔獣は特別だったんだな。そういうやつらが動いたら、普通の魔獣は逃げるからな」
「そうなんだね。じゃあ、一気に倒しちゃおうか!」
「おう!」
身体強化して1時間ほど走ると、大きな池が見えてきた。その岸辺に多くの魔獣がゴロゴロしていた。ここは魔獣たちの水飲み場でもあるようだね。
まだ魔獣たちは気づいていない。今のうちに討伐対象がいるかどうかを確認しておく。···うん。北側の魔獣全部いたよ。これはラッキーだね!
「テオ、全部いたよ。一網打尽にしようか?」
「そうだな!左右から攻めるか?」
「そして池に追い込むって事?」
「そういう事!まぁ、2人だけだから逃してしまうのもいるだろうけどな」
「それは後で考えようか。···じゃあ、いくよ!」
ボクが向かって右前方、テオが左前方へ走り、一斉に森から勢いよく飛び出した!
「「うぉおおーーー!!」」
ボクとテオの叫びを聞いて、魔獣たちは驚き戸惑った!逃げられる前に仕留めるよ〜!
ギルドの受付さん、ものすごいお疲れの様子ですね···。これ、夜勤や宿直した方ならわかっていただけると思うのですが、『早く帰って布団で寝たい!』って気分になっちゃうんですよ。そんなところに仕事が入って帰れなくなった時に、思いっきりイラついてしまうんですよね···。まぁ、ライくんは嬉しくなる話を持ち込んだので、喜んでくれました。
あと、ライくんは5歳なのでどうしても『冒険者ごっこ』に見られてしまいます···。まぁ、本来10歳以上が冒険者になれるのが原則なので、特例だと知らない人ばかりですから仕方ないんですけどね。
さて次回予告ですが、魔獣退治も一段落したので、ここでライくんのスマホの機能を確認することに流れでなりました。これまで解放されてない機能が多かったんですが、かなり解放されてることに気づきますよ〜。
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに〜!




