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序章-4.弔い

 本日一気に序章5話+設定資料集を、時間を開けて投稿中です!

 ここは4話目ですので、ここから読み始めた方は3つ前のお話からお読みください。

「さてと···、これからどうしようかな?」


「まずは住むところが欲しいよな?って、ライの村は···」


「うん···。もう何も残ってないよ。でも、家は建てれるかな?」


「それじゃあ、いったん戻るか?」


「そうだね。それに···、パパとママのお墓を作ってあげないと···」


「ライ···。オレも手伝うぜ!」


「テオ···。ありがと」



 こうしてアキさんとテオから『賢者の遺産』を継承したボクは、魔獣が住んでると言われていた森を出て、村に戻ったんだ。



「こいつは···、ひでぇ有様だぜ···」


「···テオ。ボクが村のみんなを連れてくるよ。お墓の穴を掘ってくれる?」


「いいぜ。···あんまりムリすんなよ?」


「うん。ありがと」



 ボクは近い場所にいる人からお墓へ連れて行ってあげた。5歳のボクの力じゃ連れていけないかも?と思ってたんだけど、なぜか簡単に連れていけてしまったんだ。


 本当は火葬してあげたほうがいいのはわかってるんだけど···。ボクとテオだけじゃ手が足りなさすぎたから、そのまま穴に入れるしかなかったんだ···。


 作業中、涙が出てきたよ···。みんな···、お世話になった人たちばかりなんだよ···。どうして···、どうしてこんな事に···。


 そして···、最後はパパとママだ。一緒にお墓に入れてあげたよ。向こうでも仲良く過ごしてほしいって思ったからね。



「ぐすっ···、ぐすっ···。パ、パパ···、ママ···。今まで···、本当に···、ありがとう···。ママが言ってくれたよね···?『強く生きて』って···。ボク、アキさんという人に出会って···、『賢者の遺産』というのをもらったんだ···。この力で···、ボクは頑張って生きていくよ···。み···、見守って···、いてね···!うわぁああーーーーー!!」


「ライ···」



 今まで泣くのをガマンしていたけど、限界だった!悲しくて···、つらくて···。


 でも、いつまでも泣いちゃダメなんだ!ボクは···、ボクは!これからテオと一緒に生きていくと決めたんだ!



「ライ?落ち着いたか?」


「···うん。心配かけてごめんね?」


「心配かけてねえよ。そんだけ泣いたって事は、こいつらのことを愛してたんだろうしな」


「愛してる···?」


「見知らぬヤツが死んだって悲しまないだろ?ライがそんだけ大泣きしたってことは、こいつらにとってもライが愛してくれてたって証なんだから、嬉しいと思うぜ?」


「···そう、だね」


「さてと···。もう夕暮れになっちまったな。今から家を建てるなんてムリだから、無限収納カバンに何か入ってないか?せっかくの賢者の遺産なんだ。何か使えそうなものが入ってるのかもな!」


「そうだね!使い方は知らな···、あれ?」


「ライ?どうした?」


「このカバン···、使い方知ってるよ」


「アキの知識がライに継承されたって事か···。じゃあ、さっそく使ってみようぜ!」


「うん!え~っと、これなんかどうかな?」



 そう言ってボクが無限収納カバンから出したのは、テントと呼ばれるものだった!



「お~?これってなんだ?」


「これはテントって言って、布でできた簡単な家なんだよ!じゃあ組み立てるから、テオはここを持ってくれる?」


「おう!いいぜ~!」



 組み立て方も理解できていたから、あっという間にできちゃったよ!へぇ~。こんな簡単に家ができちゃうんだなぁ~。



「これでよしっと!でもやっぱり木とかで作った家の方がいいよなぁ~。だからそれまではこれを家とするよ~!」


「おう!そろそろ晩御飯にしようぜ!もう腹減ったぞ~!」


「そうだね。え〜っと食料は···、え?ナニコレ?」


「どうした、ライ?」


「こんなのが入っていたよ」



 それはお皿に乗った焼きたてのお肉だった!!



「すっげーー!!そんなものまで入ってるのかよ!?」


「ボクもびっくりだよ!?まだまだ他にもたくさんあるみたいだね。···あっ!冷めないうちに食べちゃわないと!」


「ナイフとフォークあるか!?」


「ちょっと待って···。あった!これで食べれるよ!」


「「いっただっきまーーす!!」」


「おいし~!」


「うんめぇ~!こんな料理食べたことないぞ!?」


「ボクも!ふぅ~、ごちそうさまでした。アキさん!ありがとうございました!」



 こんなにたくさん食べたのって初めてだったよ!そして食べたら眠くなってきちゃったんだ···。テントには寝袋までついてたんだよ。



「ふわぁ~。テオ、もうボク寝るね」


「おう!今日は疲れただろ?ゆっくり寝ろよ」


「うん···。おやすみ···」


「ああ。いい夢見ろよ」




 あれ···?ここは···?また不思議な場所に出ちゃったね。もう何度か経験しちゃってるから驚かなくなっちゃったよ。


 目の前には大きな川があった。川岸には何人か人だかりができてたね。ちょっと行ってみるか!



『ライ!それ以上こっちに来てはいけない!』


『ライ!戻りなさい。まだあなたはここに来る時じゃないわ』



 人だかりから2人が振り返ってボクにそう言った。



「···え!?パパ!?ママ!?」



 ボクは叫んだ!パパとママのところに行こうとしたけども、足が動かなかった!なんで!?



『ライ!まさかこんなところまで来てしまうとはな···』


『ふふふっ!でも、こうして本当に最期に会えてよかったわ。あんまりここで私たちも長く留まれないのよ。だから···、ライ。あなたに伝えておきたいことがあるの』


「ママ?」


『ママの最期の言いつけ、守ってくれるようね!ありがとう。これから大変でしょうけど、見守ってるわ』


『ライ···。本当は父親としてもっと教えたかったことがあったんだが···。もうその必要はなさそうだな。ライ!精一杯最後まで生き抜いてくれ!』


「ママ···、パパ···」


『ライ···。短い間だったけど、あなたが生まれてからわたしたちは幸せだったわ。本当に···、ありがとう!』


『ライ···。私たちもお前から多くのことを学ばせてもらったよ。お前は私たちの最高の息子だ!幸せになってくれ!』


「···ボクも、パパとママの子どもで良かったよ。楽しかった思い出を···、あり···、ありがとう!!」



 その時、川岸にいた人たちが一斉に振り向いた。···村のみんなだったんだ。



『ライ!ありがとな!』


『大変でしょうけど、元気でね!』


『オレらの分の墓まで用意してくれてありがとな!』


『応援してるわよ!』


「···うん!パパ!ママ!そして村のみんな!本当に!本当に···、あ、ありがとーーーー!!」



 ボクは最後に叫んでしまった!ボクの声が届いたのか、パパとママ、そして村のみんなは幸せそうな顔をして···、そして川を渡って行っちゃった。


 それをボクは···、見えなくなるまで見送ったんだ···。



 さようなら!パパ!ママ!今まで···、本当にありがとう!

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