1-24.ワシはライの心は救えなんだな···
本日2話目の投稿です。朝に1話投稿していますので、先にそちらをご覧くださいね~!
「···ん。···え?ここは···?」
「おっ!?やっと起きたな!」
「テオ···?ここは?」
「ギルドの小部屋だ。あれから3日も寝込んでたんだぜ?心配させんなよ~!ちょっと待ってろ。食べ物持ってきてやるからな」
ボクが目を覚ますと、見たことのない天井だったんだ。だからテオに聞いたら、ここは冒険者ギルドだったんだね···。
さっきテオは3日も寝込んでたって言ってたね。ということは、スタンピードからこの町は守りきれたってことでいいのかな?
そう思ってたらテオが戻ってきた。その後ろにはカソドさんとポーラさんもいたんだ。
「なんとか無事に戻ってきてくれてよかった。しかし···、無茶をする」
「ライくん!?もう大丈夫?痛いところとかはない?」
「カソドさん、ポーラさん···。ご心配おかけしました···。ボクは大丈夫です。あの···、どうしてボクはここに?」
話を聞くと、あの後ボクは意識を失って倒れてしまった後にカソドさんたちが北門へ来たんだって。避難もある程度完了したことから、スタンピード討伐ということで腕に自信のある冒険者たちを引き連れて来たんだけど、その前にボクたちがやっつけちゃってたから、そのまま魔獣たちの処理に回したんだって。
なにしろ数千もの魔獣だから、処理も一筋縄ではいかないらしく、今も処理が続いてるんだって。腐ってきてるらしくて日に日に環境は悪化の一途らしい。
カソドさんはボクが倒れたと知って、来た足でそのままボクをギルドまで連れ帰ってきたんだって。悪いことしちゃったなぁ~。
「ともかく、避難した住民たちが戻るにはかなりの時間がかかる。宿が再開するまではこの部屋を使いなさい。今はこの辺で終えておくが、あとで話がある。体調が整ったら私の部屋に来なさい。いいね?」
「はい···。ありがとうございます」
カソドさんとポーラさんは部屋から出て行き、部屋にはテオが残ってくれた。
「テオ、ありがとう。テオのおかげでスタンピードを討伐できたよ」
「ライのおかげでもあるんだぞ?あんな大魔法連発して···。無茶しすぎだ!」
「ははは···。ボクも、あそこまでやれるとは思っていなかった。最後の1発で···、倒しきれなかったら逃げようとも考えていたよ」
「それはウソだな」
「え···?」
「ライ。あの時のお前の表情はそんな考えじゃなかったぞ?どう見ても、刺し違えてでも討伐してやるって目だった」
「············」
「ライの気持ちはわかる。村を滅ぼされたから、その恨みもあっただろ?今回は運よくあれで討伐しきったが、あとちょっと規模が大きかったら···。確実に命はなかったぞ?」
「···うん」
「···次はあんな無茶すんなよ?オレも強くなる。今回は想定以上に早く参っちまったが、次はもっとやってやるからな!」
「···ありがとう、テオ」
「さてと···。今回、ボイドって女が現れたな。ライは知ってるのか?」
「ううん、知らない。村にも来てたかもしれないけど···」
「そうか···。あいつは賢者の遺産を知っていたな」
「そうだね。神の力がどうのこうのって···」
「『神の力同士は引き合う』って言ってたぞ。今後もライをつけ狙ってくるかもしれんな」
「待って!だとしたらボクが町にいたら···」
「ああ。スタンピードを呼び寄せてしまう可能性はある···」
「そんな···。それじゃあ今回のスタンピードも!?」
「可能性が0じゃないって事だ」
「そんな···、そんな事って···。じゃあボクは···」
「ライ!それ以上言うな!!」
「だって!···あの時の兵士さんは言っていた。ボクが···、バケモノだって···」
「ライ!!」
「やっぱり···、ボクは···、生きてちゃ···、ダメなのかな···?」
「···じゃあ聞くが、ライがいなくなったら、スタンピードはなくなるのか?」
「···あ」
「そういう事だ。賢者の遺産は、ライが生きていくための力なんだ!あの女がああ言ったが、ライの意思で今回のスタンピードが起きたわけじゃない!そうでなきゃ···、アキさんが『遺産』なんて形で後世に伝えようなんてしないはずだ!ライ?お前が遺産を継承した時にアキさんと会ったって言ってたな?アキさんはどう言っていたんだ?」
「···『何か未来で困った時のため』って」
「そういう事だ。今、この世界ではスタンピードでどんどん町や国が滅ぼされていってるんだ。誰もがスタンピードに立ち向っても、返り討ちにされてんだ。じゃあ今回はどうだったんだよ?」
「············」
「いいか?ライはライだ。バケモノなんかじゃねえ!ライは自分の命を懸けて、この町を救ったんだ!ほかの連中が何を言おうと、これは真実だ!いいな!」
「···ありがとう、テオ。テオが相棒で···、本当に良かったよ」
「な!?なんだよ、いきなり···」
「はははっ!」
···うん。そうだよ。ボクが強くなったらいいんだ。またスタンピードが来たとしても、潰してしまえばいい!あの悪神がまたちょっかいだしてくるかもしれないけど、それでも追い返せるようになろう!
でも、あの時の兵士みたいにボクを見てる人がいることも事実だ。明日、町を出ることにしよう···。
コンコン!
ん?誰だろう?
「はい?どちら様ですか?」
「ワシじゃ。開けてくれぬかな?」
もしかして···、アノドさん!?
ボクが開けると、そこにはアノドさんがいたんだ!
「久しいのぉ~。元気そうではなさそうじゃが···、無事でよかったわい。さて、ちと話したいことがあるので顔を見に来たんじゃが、入ってもいいかの?」
「はい、どうぞ」
「では失礼するぞ」
テオがイスをアノドさんに渡して座ってもらったよ。
「さてと···。話は聞いたぞ?想像以上に無茶をしたようじゃな?」
「ごめんなさい···。心配かけました」
「まぁ、結果論としてこの町は救われた···。じゃが、ワシはライの心は救えなんだな···。許せ」
「えっ!?ど、どういうことですか!?」
「さっきカソドのやつから話は聞いておおよそ事態は把握した。実はワシもあの現場を見とった。テオが飛んでいくのが見えたしのぉ〜。よくもまぁ、スタンピードを討伐できたもんじゃわい!ワシも助太刀をと思っておったが出番はなかったの。さすがとしか言いようがないわい」
「あ、ありがとうございます」
「お礼を言うのはこっちじゃ。じゃが···、兵士が心無い暴言を吐いたそうじゃな?」
「···はい」
「今でも下ではライに対してあの兵士と同じように恐怖を抱いている者もおる。ワシが言ったとおりになったじゃろ?『力を他人に見せつけるな』とな」
「···はい」
「まぁ、あの場面じゃ止むをえまい。そうしないと、ライの命がなかったからな。ライの判断は間違ってはおらん。じゃが、今後はこのあたりの対策を考えんと、よそでも同じことの繰り返しじゃ」
「···はい」
「やはりライは痛い目に合わんと理解せんようじゃ。どうするかはテオとよく相談せい」
「わかりました」
「最後に···、ワシが一から作ったこの町を救ってくれて···、ありがとう」
「いえ···、大したことは···」
「ほっほっほ!ライはワシが若いころによく似とるわい。さすがにそこまで幼くはなかったがな!今後も困ってる人がいたら、自分のできる範囲で救ってあげなさい。それではな!」
「わざわざ、ありがとうございました」
うん。今回の件でアノドさんが言ったお説教の意味がよくわかったよ。次に同じようなことになったらどうするか···。よく考えないといけないね。
ライくんにとってショッキングな出来事がありました。それについて事前にアノドさんが注意していましたが、状況がそれを回避することを許しませんでしたね。今後はどう対応するかを考える必要がありそうですよ。
さらに冒険者たちもライくんに対して恐怖を抱いてしまいました。そりゃ数千の魔獣を退治した実力が自分たちに向いたら太刀打ちできないですからね。
さて次回予告ですが、ライくんとテオくんは町を出ることになりました。かなり町の中が大混乱になっていて、変なデマが流れたりして危ういからなんですね。
明日で第1章が完結します。そのため、朝と昼に1話ずつ、夜にネタバレ集を投稿します。明日は3回投稿ですよ~!
それではお楽しみに~!




