1-23.人為的に起こされたスタンピード!?
今日と明日は朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
「ガァアアアアーーー!!」
テオのブレスはこれで8回目。テオが言うにはあと2回なんだけど···、テオの様子がおかしかった!
「ハアッ!ハアッ!!く、くそ···。思った以上に消耗が激しい!!」
「テオ!?大丈夫!?」
「大丈夫じゃ···、なさそうだぜ···。も、もう···、ムリっぽいな···」
「わかった。休んでいて。あとはボクがやる!」
「ライ!?お前ももう限界だろ!?」
「···あと1回アイスペタルダンシングを撃ったら、腕輪の魔力が底を尽きちゃうね。でも!もう終わりが見えてきているんだ!」
そう、ボクとテオの攻撃でスタンピードはほぼ鎮圧寸前までいっていたんだ。やっと終わりが見えてきていた!
今まで眼前を埋め尽くしていた魔獣の列の一番後ろがもうそこまでやって来ていたんだ!こいつらを倒せば···、防衛成功だ!
もっと···、もっと引き付けるんだ!最後のアイスペタルダンシング!すべての魔獣を切り裂くために!!
「今だ!いっけぇーーーー!!アイスペタルダンシング!!」
ボクが最後の魔力を振り絞って撃ち込んだ広域殲滅魔法!魔獣たちをズタズタに引き裂いて氷の刃の嵐は過ぎ去っていた!
「はあっ!はあっ!!も、もう···、限界だ···。これ以上は···、撃てない···」
魔獣は···、ほぼ殲滅完了した。ところどころに生き残ったのもいるけど、ほぼすべてが致命傷だった。ほっといても絶命するだろう···。
戦っている間はそれどころじゃなかったから気づいてなかったけど、周囲には鉄の錆のような···、ものすごいニオイが立ち込めていた···。ちょっと気分が悪くなりそうだよ···。
テオは人型に戻り、ボクと一緒に横並びに座り込むと、兵士さんたちが集まってきたよ。
「···よくやってくれたな!まさか子どもがここまでやるなんて···」
「お前たちのおかげで生き残れたよ!あの魔獣の勢いを見てたら、オレもうダメだと思ってたしな」
みんな、ほっとした表情でボクたちに声をかけてくれた。でも、そうじゃない人もいたよ···。
「な、なんなんだよ···?何者なんだよ!?お前たちは!?バ、バケモノじゃねえかよ!?」
「おい!?貴様、なんてことを言うんだ!?この子たちはオレたちを···、この町を救ってくれたんだぞ!?」
「そんなバケモノの力を信用するってのかよ!?こいつらが悪いことを考えたら···!今度はオレたちが滅ぼされるんだぞ!?」
「いい加減にしないか!!おい!そいつをここから遠ざけろ!!」
「オ、オレはこんなバケモノと一緒にいられるかーー!!おい放せ!!何するんだ!?このガキは今なら弱ってるんだ!今なら!!」
「やめんか!!そいつを牢獄に入れとけ!!」
「離せーーー!!」
バ、バケモノ···。そんな事を言われるとは思わなかった···。必死に頑張ったのに···。ボクは···、間違っていたんだろうか···?
「すまない!まさかあんな暴言を吐くとは思わなかった···。心から謝罪する!気にしないでほしい···、と言うのはムリか···」
「············」
「と、とにかく!キミたちのおかげで助かったのは事実だ!心から感謝する!」
「どうして···、あんな事を言われちゃったんだ?ボクは···、みんなを助けるために···」
その時だった!
「それはキミが人間離れしすぎた実力を見せたからよ」
「誰だ!?」
テオが叫んだ!でも、周りにはだれもいない?どこから···?
「さっきの戦いを見せてもらったわ~。幼いのにとんでもない大技や魔法を使うのね?まだまだ見せてない実力もありそうよね~!だから、さっきのだらしない男のような力ない者は、ビビッて恐怖しちゃったのよ。勝手よね~!自分たちの命を救ってもらったのに···。まぁ、見てて面白かったわ!さて···、キミが『賢者の遺産の継承者』なのかしら~?」
「どこにいる!?姿を現せ!!」
「そうね。スタンピードを殲滅したご褒美をあげないとね~!」
そう言うと、ボクたちの近くに女の人が現れた!
「てめぇ···。人間じゃないな!?」
「鋭いわね~。白銀竜の坊や。いや、『賢者の遺産の管理者』ってとこかしら?」
「なっ!?」
「ウフフ!やっぱりそうなのね?カマかけてみたら正直に言っちゃったわ~!そして···、キミが継承者なのね?かわいい子じゃないのよ~!」
「なんでてめぇが遺産のことを知ってるんだ!?」
「簡単よ?それが『神の力』だからよ。神の力同士は引き合うのよ。この世界には神がもういない。だから神器や神の力はほとんどないのよ。けれども、とびっきりの神の力を感じたのよね~!神がいないのにここまでの力を感じる秘法、それが『賢者の遺産』なのよ」
「············」
「あぁ~、そういえば自己紹介がまだだったわね!私はボイド。この世界を滅ぼそうとする···、あなたたちからしたら悪神ってところかしらね~」
「悪神だと!?確か、この世界はほかの世界からの侵攻はできないはずだぞ!?」
「あ~、ファイアーウォールを知ってるのね?さすが遺産の管理者なだけはあるわね~。でもあれはいろいろ抜け道があるのよ」
「さっきのスタンピードはお前の仕業か!?この世界を滅ぼすだと!?どうする気なんだ!?」
「それを知ってどうするというのかしら?確かにスタンピードは私が起こしたけど、それ以上の興味本位の問いには答えないわよ」
「なら、ここで倒してしまえばいいな!」
「アハハハハ!威勢のいいチビ竜ちゃんだこと!でもムダよ~。ここにいる私は幻ですもの」
「ぐっ!!」
「それに、さっきの戦いの程度じゃ、私には勝てないわよ~。でも、いいものを見させてもらったから、今日はここで引き上げることにするわ。また遊び相手をしてちょうだいね~!バイバイ~!」
ボイドと名乗った女の人は、消えてしまった。本当に幻だったんだ···。
テオはくやしがっていたよ。あんなとんでもない人がいるなんてね···。そして消えたとたん、ボクは気を失ってしまった···。
「クソッ!まさかスタンピードを人為的に行うヤツが、まだいたなんて···。おい?ライ!?どうしたんだ!?しっかりしろ!」
緊張の糸が切れてしまった安心感と、力を使い果たしてしまったから、ボクはしばらく起きることはなかったんだ···。
ここでアノドさんが懸念していた事が起こってしまいました。力は純粋ですが、それを振るう人の意志によって善にも悪にもなります。自分の想像を超える力を見せつけられて恐怖するのも無理はありません。しかし、今回は力を振るわないと命の危険がありました。全滅不可避の状態だったのでライくんもやむを得ない状況だったんですね。
さらには悪神ボイドなる神が登場しました!魔獣を操る能力といえば前作の大魔王ムーオもそうでしたね。なにか関連があるのでしょうかね?
さて次回予告ですが、倒れてしまったライくんが目を覚ましたのはギルドの一室でした。看病するテオくんに感謝してると、アノドさんが訪ねてきました。どんな話をするのでしょうか?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




