1-18.ギルド長と一緒にお仕事だよ〜!
おはよう!今日はちょっと曇ってるね。
今日はカソドさんと一緒に避難民のところへ救援物資を届けるよ〜!
「テオ!おはよう。朝だよ〜!」
「ん~~?もう朝かぁ〜」
「準備できたら朝食食べて、ギルドに行こうね〜」
「ライ?なんでそんなに元気なんだ?」
「やっぱりいい事をした後は気持ちよかったから···、かな?」
「なんだよ?その答えは···。わかってないのかよ?」
「あはは···」
「まぁいいか!そんじゃあメシ行くぞ〜!」
しっかりと防具も着けて、朝食を食べに行って、それからギルドに向かった。すると、入口にはギルド長が馬車を用意して待っていたんだ!
入口のすぐ横にギルド長がいたから、他の冒険者さんたちはビビってるし驚いてるよ···。腕組んで待ってるからなおさらじゃないかな?
「来たか。おはよう、ライ、テオ」
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
「おはよう!よろしくな〜!」
ボクたちがあいさつしてると、他の冒険者さんたちがジロジロと見られちゃった···。変な事言われないよね?
「あの···、今日は手押し車じゃないんですね?」
「馬車の方が速いのでな。物資も多く積み込んでるから、手押しでは厳しいだろう?」
そう、馬車には『こんなに積んで大丈夫なの?』ってぐらい積み込んであった。シートとロープで縛ってるんだよ。
「では行くぞ。今日は北門だ」
「え?他のところへは行かないんですか?」
「物資が足りてないと言っただろう?2日おきしか届けられんのだ···」
「···ごめんなさい」
「さあ行くぞ。避難民たちも待ってるからな」
「はい!」
馬車はカソドさんが御者をやってくれた。ボク、馬にも馬車にも乗ったことないんだよね。テオには乗せてもらったけどさ。でも、これって普通じゃないよなぁ〜。
やっぱり馬車は速かった!一昨日はテオと一緒に身体強化魔法使って1時間以上かかってたけど、30分ぐらいで着いちゃったよ!
馬車が避難民のところへ近づくと、みんな集まりだした!今回もボクはストーンランスで馬車を囲って、隙間からみんなに渡すことにしたんだ。
「すごいな···。こんな魔法もあるのだな」
「これなら大丈夫ですよ。さあ、配りましょう!皆さん!お待たせしました〜!」
「今日も坊やかい!ありがとね!」
「一昨日の子か!よく来たな!」
「待ってたわ!さあ、早く!」
「今日はいつもより多いみたいです!一昨日受け取れなかった人を優先したいです!」
ボクの思いが通じてくれたのか、今日は順調に渡すことができた。でも···、やっぱり十分には行き渡らなかったんだ···。
「今日もごめんなさい···」
「仕方ないさ···。オレたちもできれば働きたいんだが···」
ボクが避難民の方たちと話していると、ギルド長がこの話に乗ってきた!
「残念だが、与えられる仕事にも限りがあってな···。かなりしんどいものでもいいのなら斡旋はできるのだが···」
「そうか···。何かいい仕事があれば···」
その時だった!賢者の遺産の知識がボクに教えてくれたんだ!
「カソドさん。お仕事紹介する専門の部署ってないんですか?」
「···それは冒険者ギルドの依頼のようなものしかないな」
「だったらこの方たちでもできるようなお仕事をまとめて掲示板に出してみたらどうでしょう?」
「確かに···。簡単な手伝い程度の事でもいいならそれなりにありそうだな。すぐに検討するようにしよう」
「ごめんなさい···。今はまだお仕事を紹介できないみたいですけど、町長さんがなんとかしてくれそうですよ!」
「···キミはどうしてそこまでしてくれるんだい?」
「ボクも一緒でしたから···」
「そうか···。また話し相手だけでもいいから、いつでも来い!」
「···はい!」
こうして2回目のお仕事も無事終えることができた。
今回はカソドさんがいてくれたから、早く配れたよ。ボクは空いた時間で他の避難民の人たちの話し相手になった。カソドさんは忙しいので、先に帰ってもらったよ。
夕方、ボクは帰路に着いた。
「今日はうまいこといったね!テオ!」
「おう!いい感じじゃねえか?」
「そうだね。ボク、お仕事ってしたことなかったけど、なんだか楽しくなってきたよ!」
「おいおい···。全部が全部楽しいわけじゃないと思うぞ?」
「わかってるよ!でも···、こういうのもいいなぁ〜って思うよ」
「まぁ、何事もなけりゃそうだな。明日はどうする?」
「確か1日おきってことだから、明日は別の依頼を請ける?魔獣退治とか」
「それいいな!今Eランクだから、Dランクまでの魔獣を相手にできるな!」
「たくさん狩れたら、避難民の皆さんにごちそうできるよ〜!」
「おいおい!?目的はそっちかよ!」
「いいじゃん?魔獣を退治して町の人は助かるし、そのお肉でみんなおなかいっぱいにできる!一石二鳥って言うんだってさ!」
「はぁ~。まぁ、いいぜ。とことん付き合ってやるよ」
「ありがとね!テオ!」
一方、ギルドでは···、
「やっぱ普通じゃねえわ···」
「冒険者ギルド業務を避難民向けにしたもの···、ですか。考えもしなかったわ···」
「ただ単に救援物資を貪る連中かと思っておったが···、その気があるならワシの仕事を手伝って欲しいぜ!腰をまたやられてなぁ〜」
「ポーラ、役所から担当者を捻出する。業務の進め方を教えてやってくれ。仕事の募集については役所で進めておく。目標は3週間後でとりあえず進めてくれ」
「何気にサラッと無茶言いますよね···。はぁ~、今月は残業が多そうだわぁ〜」
今日はライの仕事を監査した。とても5歳の少年が考えるようなやり方ではなかった。思いつくような事でもない。
内容については満点だ。規定上、Dに上げるわけにはいかんが、そこそこのベテランのように感じ取れた。経験ないはずなのにどうしてあそこまでできるのか···?
避難民向けの仕事斡旋業務の案には驚いたものだ。確かに仕事を与えた方がいいのは分かりきっていたのに···。私ですら彼らを見下していたようだ···。大いに反省すべき事ではあったな。
ライは···、何者なのだ?普通の子どもではないのは確かなのだが、あまりにも常人離れしすぎている。
神器を2つも持ち、しかも使いこなしている···。誰が神器を与えたのか?神はもうこの世界にはいないと言われているが、もしくはいるのか?
実はライの生まれ故郷も調査した。マイカ村···。カパーの町で聞いた場所へ向かわせたが、多くの墓と灰が残されてるだけで、きれいな更地となっていたそうだ。
ライの話ではすべて自分たちだけでやったとの事だが···、調査した者も信じられないとの事だった。
わからんな···。あの力と知識をどのような手段で手に入れたのか···。
ただ、この力はかなり危うい。アノド様も心配されておられたが、悪用される可能性が極めて高い。子どもだからそれはなおさら危険性が高まるな。
とにかく、我々はライがそのような事にならぬよう、見守るしかなさそうだな···。
カソドさんはライくんのお仕事を監査という形で手伝っていました。どう考えても普通の5歳の男の子の行動ではないですから、怪しまれちゃうのも仕方ありません。
ですが、カソドさんは実はそういう人物がいる場合があるというのを知っています。理由は後で判明しますが、ライくんにとっては非常に理解ある人なんですよ。
さて次回予告ですが、ライくんたちは魔獣狩りのお仕事をやりに町の外へ出かけます。魔獣レーダーがあるので、群れを発見して殲滅していきますよ〜!しかし、初めての魔獣狩りだったので加減が分からずに狩りすぎて怒られてしまいます(笑)!
それではお楽しみに〜!




