8-27.(番外編)あの世での座談会 最終章編
いつもは章の終わりに入れていた天国からの座談会は今回に限って終わりの前に入れています。
最終話は明日の朝ですからね~!
ここはいわゆる『あの世』···。
特別に家を持つことを許され、アキ一家と相棒のリオ一家が住んでいる。
そこに、賢者の遺産を継承したライの両親が滞在して、下界の様子を覗いていた。
「まさかマイカ村にあんな遺跡があったなんて···」
「村長も何も言ってなかったな···。村の誰もあんな遺跡があるなんて知らんぞ···?」
「ライくんのご両親はなぜマイカ村に住まわれたのですか?」
「アキさん、実は私たちは別の町に住んでいたのです。しかし、ある時魔獣の襲撃を受けて難民となったのです···。そして逃げ延びた先で『開拓予定の村があるので、開拓を手伝ってくれれば住める』という話があったのです。困窮していた私たちはそれに飛びつくほかになかったのですよ」
「それを募集していた人って、どんな方です?」
「村長でしたよ。そして、賛同した100人でマイカ村の場所に向かい、開墾して村ができました。ライが生まれる前の年ですね」
「村長からは何も聞いていない?」
「はい···。当時は食料確保が最優先でしたからね」
「なるほど···。となると、村長はこの遺跡を知ってた可能性がありますね。ですがもう皆さん···」
「はい。今となってはそれもわかりません。村長以外にも知っていた人物がいたのかもしれませんね」
「その可能性はありそうですね。まぁ、あのオリハルコンはそこまで高性能の物質じゃないので、扱いがわからなかったらただの銅合金ですし、悪用はできないでしょうね」
「そうなのですか?」
「はい。ライくんはボクが創った賢者の遺産の知識と膨大な魔力を含んだ魔石があったから、ああやって特殊効果が付与された加工ができました。通常の精錬加工技術なら、ただの銅でしかないんですよ」
「でしたら狙われることは?」
「まず大丈夫でしょう。サムくん一家やウインちゃん一家も住んでますし、戦力的には問題ないでしょう。カルデラの中という地形条件からも、他からはわかりにくい場所の村ですしね」
「···アキさん。ライのためにいろいろとしていただき、ありがとうございました」
「えっ?お父さん、どうされたんですか?」
「もう···、私たちはここからライたちの様子を見るのは終えようと思うんですよ」
「···よろしいんですか?もう少ししたらお孫さんも誕生のようですけど?」
「もう、十分です。孫を抱くことができないのは残念ですが、ライがああやって幸せそうに暮らしている姿を見ることができた。それだけで私たちは満足ですよ」
「本当なら私たちがこうしてライを見守ることはできなかったんです。それを、こうして特別に見守ることができて、本当にありがとうございました」
「そうですか···。そう言ってもらえて、ボクとしても賢者の遺産を遺して、こうして活用していただけただけで嬉しいですよ。では···、お気をつけて」
「「ありがとうございました」」
···そう言って、ライくんのご両親は本来いるべき場所へ旅立ったよ。二人とも、とても安心した表情をしていたね。
ボクのやったことは正しかったようだ。このエーレタニアが再び繁栄の道を歩みだしてくれた。
ボクはエレさんみたいにエーレタニアの世界の神様じゃないけど、それでも自分がお世話になった世界がこうして良くなったというのは嬉しいものだよ。
「アキー、お疲れだったなー」
「リオ。そう疲れちゃいないよ?だってボクたちはもう死んじゃってる身だしね」
「肉体的じゃないぞー。精神的にだぞー?」
「ははは!まぁ、精神的っていうか魂的かな?でも···、こうして子孫が元気に過ごしてくれるってだけでも嬉しいよね?」
「そうだなー!願わくば、争いがそんなにないいい世界になってほしいよなー!」
そんな話をしていると、家からボクたちを呼ぶ声がしたんだ。
「パパ!ご飯できたってナツが言ってるよ~!」
「わかったよ!ありがとう、フユ!じゃあリオ?食べに行こうか?」
「おう!死んじまってメシ食わなくても良くなったけど、ナツのメシはうまいからなー!」
「ははは!じゃあ、世界を覗くのはいったん終わりにしようか!」
ボクが死ぬ前に考えていた事は、死んだ後の未来で現実となった。魔獣被害が少なくなったことで、今度は人同士が争いを始めたんだ。
さらには悪神ボイドによってその争いは泥沼化して世界のバランスが大きく崩れて、エーレタニアは滅亡の危機まで追い込まれた。
こうなる可能性を考えてボクが死ぬ間際に、神様という副業で得たGPと世界創成神さんからいただいた『万能物質インゴット』をすべて使って遺した『賢者の遺産』···。
創った時は、さすがにここまで立て直せるとは思いもしなかったね。継承した人の周辺だけでも救われれば···、ってぐらいの考えではあったんだ。
しかし、結果は世界を救ったんだ。これについてはライくんの頑張りのおかげとしか言いようがないね。
そもそも賢者の遺産には世界を救う力なんてないんだ。それを、ライくんはテオくん、そして仲間たちと協力して遺産の力を活用して救ってくれたんだ。
結果論と言われるかもしれない。でも···、ボクはライくんとテオくんのこの偉業に、心から祝福したいね!
「ライくん!ボクが遺した賢者の遺産を使いこなしてくれてありがとう!どうかこの先も幸せにね!」
ライくんがもう知ることのできない事実が明らかになりました。
マイカ村は目的があって開拓されたんですね。もちろんお目当ては遺跡でした。
しかし、全滅したという情報が流れて『やっぱり危険すぎる』と判断されたようです。
まぁ現代でいう『埋蔵金』程度なウワサだったので、コスト回収が見合わないとの判断です。
実際にはライくんが掘り当てちゃったのですけどね。
さあ!次回はいよいよ最終話です!
ライくんとアスちゃんに待望のお子さんが誕生しますよ~!まさか最終回で登場となるとは思いもしませんでしたけどね。
明日は朝に最終話を投稿し、夜にネタバレ集を投稿して『完結済』とさせていただきます。
それでは明日の最終話にもお付き合いください!




