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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第1章 ライ、村を出る!

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1-16.最初の依頼

 本日も朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!

 ボクとテオは手押し車を押しながら、昼前に避難民たちのいる場所の手前まで来たんだけど···。



「ちょ!?ちょっと待って!!」


「早くよこせ!!」


「もう4日食べてないんだぞ!!」


「うちには病人がいるんだ!!優先してくれ!!」



 一気に避難民たちが押し寄せてきた!!これはどう見てもマズい!


 なら、こうしよう!



「ストーンランス!!」



 地面に手をついて土魔法を使うと、地面から石の槍が手押し車の周囲に突き出た!高さは2.5mほど。これならよじ登れないね。


 あとは···、拡声魔法がアキさんの知識にあったので、それも使っておこう!



『皆さん!数に限りがあるので並んでください!並んだ人だけ1回のみお渡しします!言う事聞かない場合は···、こうします!!』



 ボクは手のひらに火魔法で火球を作り出して、手押し車の上に上げた!みんなびっくりしてたよ。


 さすがにこれを見て大人しくなったよ。こうして救援物資はなんとか渡せた。ただ···、



「ごめんなさい···。もうお渡しする食べ物がないんです···。ごめんなさい···、ごめんなさい···」



 手押し車の救援物資がなくなって、ボクは謝るしかなかったんだ···。



「今回も、もらえずじまいかよ···」


「もう···、絶望しかないのね···」


「生き延びれたのに···、こんなところでくたばっちまうのか···」



 ボクが魔法で作った柵の向こうから絶望してしまった人たちの恨み言が聞こえてきたよ···。すると···、



「坊や。謝らなくていいよ···。坊やは仕事として危険だと知った上でこうして来てくれたんだろ?」


「············」



 見知らぬ避難民の1人が声をかけてくれたんだ。



「キミは、悪い事はしてないんだ。だから、そんなに謝らないでおくれ···。ただ···、ありがとう。これまで来てくれた人の中で、キミの対応が1番良かったよ···」


「···え?」


「配りに来る人たちはみんな私たちを見下していた。人として扱ってくれなかったんだよ···。配る時は坊やみたいに手渡しじゃなくて投げていたんだ。でも、坊やは違った。渡している時に一人一人声をかけてくれていた···。それが···、その温もりがありがたかったよ···」


「···ボクの村も滅ぼされました。だから、皆さんの気持ちは痛いほど分かるんです。いろんな人がボクを助けてくれたんです···。だから、ボクにもできることを!って思ってやっただけなんです···」


「そうだったのかい···。キミは運が良かったのだね···」


「ごめんなさい···。ボクは···」


「それ以上は言っちゃダメだ!坊やはできることをやってくれた!それだけで···、十分だよ···」


「あ、あり···、ありがとう···、ございます···」



 ボクのこの姿を見て、周りの人たちの怒りは静まってしまったよ···。



 このあと、ボクは残念ながらお亡くなりになってしまった人の火葬を手伝ってあげた···。本当は一人一人やってあげたかったんだけど···、あまりにも数が多すぎたので、合同で行うことにしたんだ···。


 ボクだけでなく避難民の人たちも手伝ってくれた。そして···、みんな泣きながら別れを告げていたよ···。


 終わる頃には日が暮れていた···。



「···ボクはこれで引き上げます。お手伝いしていただき、ありがとうございました」


「···礼を言うのはこっちだよ。キミみたいに我々に向き合ってくれたのは初めてだった。こちらこそ、ありがとう!」



 その言葉を聞いて、ボクはもう限界だった!



「うっ···、うわぁあああーーーー!!」



 村の時は全員知っている人だった。でも、ここの人たちはボクは誰も知らない。でも···、多くの人が別れを告げるところを見てしまうと···、やっぱり辛いんだよぉ〜!



 ひとしきり泣いた後、ボクは町に戻った。避難民の皆さんは、苦しいにも関わらずボクにみんな感謝してくれた。今日は···、それがうれしかったよ!


 ギルドにはかなり遅くに着いてしまった。中に入ると誰もいなかったよ。


 帰ろうとすると、階段から誰かが降りてきたよ。



「···ん?ライくんか?」


「あっ?カソドさん」


「こんな夜遅くにどうしたのだ?」


「依頼、達成したので報告を···」


「こんな夜遅くまでやったのか!?何の依頼だったのだ?」


「これです···」


「···!?ポーラめ···。いきなり最初にこんな依頼を請けさせるとは···!」


「待ってください!それは···、ボクの意思で請けました。ポーラさんは反対しました」


「···はぁ~。いいか?これはかなり危険だ。これまでも命を落とした冒険者だっていたんだ。高ランクの依頼としたいのだが、低報酬しか出せないがためにEとしていたのに···」


「でも···、ちゃんと達成してきました」


「わかった。査定は明日行うから、今日はもう帰りなさい。明日は受注しないのなら、昼過ぎでいいからな」


「はい···。ありがとうございます」



 ボクたちは宿に戻って、すぐに鎧を脱いで下着姿になった。清潔魔法を使ってからふとんに入ったんだ。



「テオ···?今日やったことって、正しかったのかな?」


「感謝されたならそうだろうな」


「でも···、それでも何人かは(にら)んでたよ」


「···あのな?全員が全員感謝はしないぞ。中には八つ当たりしてくる連中だっているんだ。そんな中で、ライは感謝されたんだろ?十分じゃないか?」


「でも···」


「気持ちは分かるけどな···。少なくともこれまで依頼を請けた連中よりもライの対応が良かったって言われたんだ。胸を張れよ」


「···うん。ありがとう、テオ。それじゃあ、おやすみ」


「おう!明日は朝寝坊しとけ」



 ···わかってはいるんだよ?でも···、あの避難民たちの惨状を見ちゃうと、なんとかしてあげたいって思うんだよ。


 ボク1人でできることは限られている。それは今日1日で痛いほどわかったよ···。だけど···、もっといい方法とかないのかな?賢者の遺産の知識にあったら思い浮かぶんだけどなぁ〜。


 いろいろ考えてたら、いつの間にか寝ちゃって、次に気づいたのは朝だった。



 ギルドでは···。



「オイオイ!?マジでそんな依頼をあいつは請けたのかよ···」


「みんな、ごめんなさい。あたしがもっと強く引き留めておけばよかったわね···」


「だが、依頼ランクはE。規定ではFでも可能だが、実際は危険が伴うから実質D案件だぞ?まさかそんな誰も好き好んでやらない依頼を、しかも2つも請けるとは思わなんだな」


「私が警備部にて確認したところ、門兵の話では最初はやはり混乱があったようだが、手押し車の周辺に魔法で柵を作り、火魔法で巨大な火球を作り出して混乱を収めたそうだ。その後は混乱もなく配給も終わり、火葬までライがやったそうだ」


「5歳のガキがやる事じゃねえな···」


「イグニスよ、ライは魔法が使えるからできたんだろうな。群衆が押し寄せる光景は恐怖しかないぞ···。魔獣の集団よりも厄介だ」


「とりあえず、今回の依頼は満点で達成とし、私の権限でEに引き上げる。文句言うやつがいたら私に報告するように」


「わかりました。あと先日の件ですが、カパーの警備隊長から証言取れました。本当との事です」


「マジか···。そんな素材を持ち込まれても、ワシじゃどうにもできんなぁ〜」


「冗談だったら良かったんだけど、マジだったか〜。どうすんだ?」


「···ここでの依頼でないので対象外としておこう。ポーラ、避難民依頼は他にあるか?」


「山盛りですよ···。最後の最後まで残ってるのがそれですよ」


「···わかった。今日、ライが来たら、私の所へ案内するように」


「わかりました」



 ボクがお寝坊した間、ギルドではこんな話し合いがされてたんだって。

 日本では馴染みのない難民キャンプですが、海外では場所によってあります。作者は見たことはないのですが、報道でわずか一部分ではありますが、状況は凄惨です。治安は最悪ですし、救援チームに襲い掛かって救援物資を強奪するなんて当たり前です。

 それだけみんな生きるのに必死なんです。奪うしか生きる道がないためにこのような事が起きてしまうんですね。

 そのために実際に救援チームは完全武装で挑みます。数の暴力がすさまじいですからね。

 ライくんはそうならないように魔法でバリケードを構築してから、ルールを守る人にだけ渡すという方針にしましたが、実際のところは渡して離れた直後に奪われてるんです。さすがにそこまでライくんは面倒見切れないというのもありますけどね。このあたりはライくん自身も理想と現実のギャップに悩むことになってしまいましたね。


 さて次回予告ですが、翌日の昼にギルドへ向かうとまたまたギルド長の部屋へ案内されて、そこでEランク昇格を言い渡されてしまいます!さらに次回避難民対応はカソドさんまで視察名目でついてくることが確定してしまいます。

 そして時間が昼過ぎになったので、服屋さんへ行っていろんな服を買い込みますよ~!


 次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!

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