8-13.ベスティアリッターと対決! 後編
サムが飛んでいってしばらくしたら、大爆発が起きた!どうやらサムとトルムが接敵したようね。
「···始まった(ハムハム)」
「ウインってこんな時でも平常通りね···」
「···(ハムハム)栄養補給。···しっかり食べてぶちのめす」
「食べながら言うセリフにしては物騒ね。まぁ、ぶちのめすには賛成だけど」
「···(ハムハム)コルメ、来た」
「ん~~?あ〜、あれかしら?遠くから魔獣すら跳ね飛ばして···、ものすごい勢いで突っ込んで···!?って!マズくない!?」
「···だいじょぶ、かな?」
どうも敵はしびれを切らして攻めてきたようね!なんか下半身が馬っぽくて上半身が人っぽい巨大な魔獣が猛突進してきたわ!背中には···、もう1人乗っている!
「···衝撃に備える」
「あ〜、あたしは飛ぶから」
次の瞬間!
ズドーーーン!!
掘りを飛び越えて体当たりを食らわされた!壁からものすごい音がして大きく揺れたわ!まぁ、あたしは飛んでるから大丈夫だけどね。
ものすごい土煙が舞い上がり、それが収まると···、壁が大きくへこんでいたわ···。そう簡単にへこまないのに、とんでもないパワーね!
「···デカブツは私が」
「わかったわ。じゃあ背中のヤツはあたしね!」
そう言ってウインとあたしは壁の外に降り立った。こいつらはほかの連中とは雰囲気が全然違ってる。おそらくベスティアリッターって連中っぽいわね。
とりあえずあいさつ代わりに一発入れときますか!
「ドリルランス!」
あたしはドリルランス3本をタイミングをずらして発射した!1本目は避けられ、2本目は避けた方向へ撃ち出し、3本目は2本目を避けるだろう方向へ決め打ちで放った!
「うおっ!?ぐっ!なに!?がはぁっ!?」
思った通り3本目が命中〜!さて、デカブツから撃ち落として落下した場所へ向かった。
倒れてるけど、大してダメージなさそうね。ドリルランスをまともに受けてミンチにならない時点で、この若い男はベスティアリッター確定ね!服は破れたのに血が出てない時点で人間じゃないわ!
「いつつつ···。いきなり不意打ちしやがるなんて···。おい!なにしやがるんだ!?」
「なにって、わからないの?あんたを本気で殺そうとしたのよ」
「物騒な事をさらっと言いやがるぜ···。ドラゴン族ってのはこんなにも凶暴なのかよ?」
「ええ。魔獣相手ならね。あんたも魔獣同化能力者でしょ?人じゃないんだから、遠慮なく全力全開で狩らせてもらうわよ」
「へっ!あいにくだが、オレらをそんじょそこらの魔獣同化能力者と一緒にしてもらっちゃ困るぜ!お前を食らって!オレはさらに強くなってやる!!同化!」
「残念ね〜!あんたに食われるほど、あたしは弱くないわよ!」
相手は···、どんどん巨大化して大きなクマっぽい魔獣になったわ。これは···、とんでもない歯ごたえありそうじゃないのよ!
『さあ!かかってこい!』
「ええ!思いっきり楽しませてもらうわ!」
さあ!全力でやるわよ〜!
一方のウインは···、
『ちっ!全力でぶちかましたのに、なんて頑丈な壁だ!?』
「···これ以上先には行かせないよ」
『ほう?お前がワシの相手だな?』
「···ん」
『いいだろう!踏みつぶしてくれるわ!』
私の相手はとにかくデカい。7mぐらい?
これは相当骨が折れそうだ。デカいということは防御も硬い。かなりの長丁場になりそうだね。
それじゃあ始めよう。さっさと終わらせてアレバにパンを作ってもらおう!
真のトランス状態になった。先日から使いまくっているせいか、前よりもかなり安定している。これならやれる!
「···参る!」
その頃、別の壁の上にいたライたちは···、
「ライ!サムとトルムが接敵したっぽいぞ!」
「さっきの爆発地点だね!テオ!飛んでもらえる!?」
「おう!さっさと片付けるぞー!」
トルムとサムが飛んで偵察に出たら、しばらくして大爆発が起きたんだ!どうやらベスティアリッターの誰かと接敵したんだろう。
すぐに応援に行こうと、ボクはテオにお願いして飛んでもらうことにしたんだ!
壁を飛出してすぐにテオが攻撃を下から受けた!
「うおっ!?」
「テオ!?大丈夫!?」
「大した事ねえ!今撃ってきた場所は···、いた!あの総帥だ!」
「なんだって!?じゃあ···、総帥を倒そう!」
「わかったぜ!その前に···、さっきのお返しだ!ガァアアアアーーー!!」
テオが全力でブレスを吐いた!総帥がいたと思われる場所一帯が大炎上したよ。そんな灼熱の中、総帥が唯一立っていたんだ···。
ボクとテオは炎が収まった場所に降り立った。
「フン!やりやがったな···?」
「ああ。ちゃんと掃除ぐらいはしたぜ?」
「総帥···。いえ、魔獣同化能力者の総帥、って言ったほうが合ってますか?」
「なんとでも呼べ。貴様に聞きたいことがある」
「聞きたいこと···?問答無用でギルドを追い出したから、てっきり話を聞くつもりなんてないと思ってましたけど?」
「時と場合によるな。···あの壁、ただの壁ではないな?」
「ええ。ちょっと変わったものを使ってますよ。詳細はお答えいたしかねますけどね」
「フン!攻め込む環境をここまで整えたというのに、すべて台なしにされてしまったわ!」
「いい気味ですよ。···ボクの村を襲っておいて、タダで帰れるなんて思わないでくださいよ?」
「奇遇だな?タダで帰るなんて思ってないさ。貴様らの首をボイド様への手土産にしてくれる!」
「それはボクたちも一緒だ!いくよ、テオ!」
「おうよ!せーの!」
「「インテグレーション!!」」
その頃、アエスは気になることがあったので、外壁にある閉鎖中の取水口の近くに来ていた。
「やっぱり···。おかしいと思って来てみて正解だったようだね。出ておいで。そこにいるのはわかってんだよ?」
アエスがそう呼びかけると、外壁の外側にある取水口の手前に張られていたオリハルコン製の網の手前の水面が盛り上がってきたのだ。
そこには巨大なスライムがいたのだ。
『ほう?オレがいるとどうして気づいたんだ?』
「簡単なことさ。ここはこの村の水源として供給する水の取込口でね。この網には普段いろんなゴミが溜まってるのさ。戦いが始まって川が汚染されてるのを見たから取水口を閉鎖しに来てたんだけど、その時にあったゴミが全部なくなってたからね。掃除なんて来る余裕がないから私たち以外の何者かがいるって気づいた。それだけさ」
『なるほど。どんな金属でも溶かすオレの酸をもってしてもこの村の鉄網を溶かすことができなかった。いったい何を使ってるのだ?』
「正直に答えると思うのかい?」
『いいや?まあいい。このオレに気づいた褒美にお前を溶かして取り込んでやる!』
「願い下げだね。さっさとあんたたちを倒さないと、ゆっくり食事ができないからね!久々に本気でいかせてもらうよ!」
こうしてベスティアリッター6人とライたちSランク全員、そしてアエスが激突した!
さあ!ついにライくんたちとベスティアリッターたちの対戦カードが決まりました。
この組み合わせ、特に何も考えてませんでした(笑)。書いてたらキャラからこの組み合わせで!ということで勝手に決まったんですよね。ちゃんと見せ場はそれぞれ用意できています。
最初、この組み合わせになった時に『これ、どういう決着がええんや?思いつかんわ···』ってなって書けなくなったんですよ。いろいろ試行錯誤しました。
結局は愛媛県の鷹ノ子温泉でのんびりくつろいでおいしい食事したらあっさりと書けちゃったんですよね〜(笑)。『今まで苦労したんはなんやったんや···?』ってなりましたよ。
ホント、自分自身がひらめきタイプのポケ···、ゲフンゲフン!作家だと思いましたね。ひらめかないと話進まないんでね。
さて次回予告ですが、ベスティアリッター戦が6戦続きます。まずはサムくん対ペンスの戦いを前後編でお届けです。
サムくんの手の内がペンスにバレてました!そのために大苦戦するか···?と思いきや、サムくんはある作戦を行います。果たしてうまくいくでしょうか?
それではお楽しみに〜!




