8-11.数の暴力 その3
本日は名門大洋フェリー様の『フェリーおおさかⅡ』に新門司港から乗船してエクストリーム出社中です。ただいま伊予灘沖からの投稿ですよ〜。
就航10周年とのことで、夕食バイキングが本日まで金額変わらずにゴージャスになってるとの事で乗船しました。うなぎ食べ放題でおいしかったです~!本日までですからね。
食欲の秋ですからね。猛暑で食欲落ちて引っ込んでいた腹がまた3段腹になってきた気が···。かかりつけの院長先生に怒られそうな予感が···。
「やあ!キミは初めましてだね〜。ぼくはコンって言うんだ〜。見ての通り青竜だよ〜」
魔獣の大群第2陣が現れて、ボクたちはかつてないほどの苦境に立たされることになった。
その時だった!ドラゴン族のみんなが戻ってきてくれたんだ!その中にはボクが初めて会うコンくんがいたんだ。
コルメやサム、ウイン、レンからは名前だけは聞いてたんだけど、今初めて出会ったんだ。
飛行能力が特に優れているという青竜。その中で最も速いスピードを出せるのがコンくんだそうだ。実際、『超音速魔法』で魔獣の群れに突っ込んで、すさまじい音と衝撃波で大量の魔獣を吹っ飛ばしてしまったんだ。『ソニックムーブ』って言う現象って賢者の遺産が言ってたよ。
「こちらこそ初めまして。ボクはライって言います。こっちは相棒のテオです」
「よろしくな。さっきのはすごかったな〜」
「あ〜、あれね〜。音と衝撃波がすさまじいから海の上でしか使っちゃいけないんだけど、試しにやったらすごいことになっちゃったね〜!」
「すごいことって···、本当に大魔法使ったような威力でしたよね···。音もすごいし」
「大魔法って言えばそうなんだけどね〜。超音速は魔力消費がすごいからね〜」
「ちょっとコン!いいタイミングで来たわね!よくここに来れたわね〜?」
「コルメ〜!久しぶり〜!ほかの青竜の人にくっついて来たんだよ〜。魔獣が見えたから、ぼくが先行して突っ込んじゃったんだ〜」
「おい!コン!あんな登場の仕方、ヒーローと一緒じゃねえかよ!?うらやましすぎるぜー!」
「レン〜!ごめんね〜!そんなつもりなかったんだけどね〜!」
結構ムードメーカーな子だね。雰囲気が明るくなったよ!
「さて、それじゃあボクたちも頑張ろう!たくさんドラゴン族の皆さんが来てくれたんだ!一気に攻めるよ〜!」
「「「「おーーー!!」」」」
ドラゴン族の人たちはアルブさんが指揮を執ってくれた。ボクたちの大規模殲滅魔法で撃ち漏らした魔獣、空を飛ぶ魔獣、外壁に取り付いた魔獣をブレスで一掃する3つの役割を、それぞれ分担して対処してくれたんだ。
おかげさまで夕方までには半分以上殲滅できたんだ。ゾンビ化した魔獣もいたけど、それも倒してくれた。
ただ、厄介だったのが魔法を使う魔獣だと思ったんだよ。でも、壁を壊すのが目標だったようで、オリハルコン鉄板に向けて魔法を放ったものの、反射されて勝手に自滅してくれたんだ。
「みんな、お疲れさま」
「ホント、これで終わりにしてほしいぜ···」
「···さすがにしんどい」
「救援来てくれてこれですもの···。来なかったらもっとキツかったでしょうね」
ボクたちの交代要員には、今日はアエスさんはいなかった。応援に駆けつけてくれたドラゴン族の皆さん用にバイキングを用意するためなんだよ。
とりあえず休めれる人たちから食事と温泉に入ってもらって癒してもらった。思ってた以上に温泉は評判が良かったよ。
たくさんの人たちが利用してる中、知った顔がいたんだよ。
「ねえちゃん!きてやったぞ!」
「トイス!?あんた、なんで来たのよ!?」
「たたかいたいけど、パパとママがダメっていうからかいふくやくだ!」
「あぁ···、パパとママが連れてきちゃったのね···」
「ばーちゃんもきてるぞ!」
「なんですって!?」
コルメの弟のトイスくんだったよ。どうやらコルメの両親とノーラさんも地上に降りたみたいだ。
トイスくんとノーラさんは、どうやらバックアップ要員で来たみたいで、回復魔法などで支援してくれるようだ。
多くのドラゴン族の人たちがマイカ村の危機を救おうと頑張ってくれてる···。本当にありがたいね。
一方、ベスティアリッターたちは···。
「ううむ···。これほどの戦力を投入してるというのに、あやつらを倒せんか···。ドラゴン族まで応援に駆けつけてきているな」
「これだけかき集めてるってのに···。本当にバケモノだな···」
「黒魔力濃度を濃くしてこっちに有利な環境にしてるってのにね···。どうして村の中に黒魔力が入らないのかしら?」
「ねえ、サクス!こんなチマチマやってないで一気に攻めようよ!待つのは飽きたよ!」
「アクリャ。気持ちはわかるが、相手が疲弊した後が効果的だ。確実に始末するためにな」
「それに、いくら備蓄があるといっても、それは有限。まだまだ補充に余裕あるこちらが有利だ」
「アクリャ、ムクスの言う通りだ。じっくりと攻撃をしかけるのがこの作戦なのだからな」
「む〜!わかったよ、ターグ」
「とは言え、これまで投入した魔獣は80万近い。残りは半分程度ってところだな。しかし、あの村の壁は特殊のようだ。魔法反射なんて聞いたことがないし、黒魔力が村に入りこめんとは···。内側から崩す策はダメのようだな」
「場合によっては我らが出てヤツらを壁の外へ誘い出すか···?」
「そうそれ!サクス!それでいこうよ!」
「ふむ···。明日の状況次第だな。我らも動くとするか」
まだ戦力に余力を残している彼らは落ち着いていた。しかし、事態は翌日に大きく動く···。
一方、アスたちが避難している場所では···、
ドーーーン!!ドドドド!!
マイカ村からかなり離れているというのに地響きが時おり聞こえてきており、その音でビクッっとする人たちもいた。
中には不安で泣き出してしまう子どももいたが、アスはそんな子を見かけたらあやしたりしていた。
「今日で丸3日か···。あのライくんたちですらここまで戦いが長引いてるとは···。無事だろうか···?」
「大丈夫よ、パパ。音が聞こえてるってことは、ライたちが頑張って戦ってるって証拠よ。ちゃんと終わらせて迎えに来てくれるわ!」
「そうだな···。我々は待つしかできない。外にはまだ魔獣の群れがいるしな」
ここ避難所は大きな滝つぼの真裏にある。周囲が崖なので、出口側から魔獣が入り込むことはまずない。
滝つぼの裏には広大な空間があったため、ライは事前に倉庫を建て、湧水を使った簡易下水道を整備し、短期間であればテント生活ができるようになっていた。
避難している村民は過去にもこういった避難生活はみんな経験していた。だが、ここまで整備された避難所というものはなかったので、不満はまったく出なかったのだ。
そして、アスが『ライたちは頑張ってる!もう少しだけ辛抱して下さい』と言い回って安心させていたというのも大きかった。
この避難生活が終わるのは、この2日後の事だった···。
青竜のコンくんが番外編以来の登場です!ライくんとテオくんは初顔合わせですね。
この子は前作のアキくんの物語で登場した超方向オンチのクオンちゃんの子孫なんですね。だから超方向オンチなんですよ。
ドラゴン族がマイカ村にすべて集結したことによって、魔獣退治はさらに加速しました。この時点でベスティアリッターたちの目論見が破綻してしまいました。そしてついに動き出しますよ~!
さて次回予告ですが、魔獣のおかわりがまた来ました!もうキリがない!と考えたライくんたちは、直接ベスティアリッターたちを狙うことにしました。しかし、ベスティアリッターたちもライくんたちに襲い掛かろうとしてきました!ついに直接対決が始まりますよ~!
さらにヒートアップしてくるラストバトルをお楽しみに~!




