8-7.外輪山一帯を埋める魔獣たち
本日より17話連続でラストバトルに入ります!
かなりな長丁場の展開ですが、お付き合いください。ここだけで2か月もかかりました···。
翌日···。
『皆さん!外輪山の頂上全周に魔獣が見えました!戦闘準備と配置についてください!』
早朝から偵察してくれていたトルムから連絡が来た!
「行こう、テオ!」
「おうよ!」
外は晴れていた。昨日の夜の黒魔力嵐による暴風雨が過ぎ去り、空は雲一つない青空だった。
準備を終えたボクたちは、すぐに配置についた!
「うわぁ~···。あれ全部が魔獣···?」
「よくもまぁ、こんだけかき集めたもんだぜ···」
マイカ村を完全に囲むように魔獣たちが包囲網を形成していたんだ。どこ見ても至る所が魔獣だらけ···。
スタンピードでもこんな数はいない。食料の問題があるからね。
なのにこんだけの数···。これは大変そうだ···。
そして、一斉に魔獣たちが外輪山を駆け下りてきた!
『射程有効範囲まであと15分ほどですね!』
トルムが上空から逐次情報をくれる。ボクたちも射程範囲に入れば全力全開で魔法を撃ち込むよ!
『あと1分!』
壁の上からも魔獣の姿が目視できた!さあ!始めよう!
ボクは神器の『なりきり!伝説の神狼族セット』を装着して準備完了!
「テオ!」
「おう!せーの!」
「「インテグレーション!!」」
周囲にまぶしい光を放ち、ボクとテオが合体変身して、白銀の鎧を着たボクが現れる!その光が攻撃開始の合図となった!
「いくよ、テオ!」
『おう!デッカイのをいけーーー!!』
今回は賢者の遺産の知識からオススメされた『反則魔法』と呼ばれる魔法を選択させてもらったよ。
まずは氷魔法でボクと同じサイズの透明な氷の塊を作り出した!そしてそれを魔獣の前に投げ飛ばし、それに向けて魔法を撃ち込んだ!
『「全力全開!ドラゴンキャノンーー!!」』
氷にドラゴンキャノンを撃ち込むと、内部で乱反射して四方八方にドラゴンキャノンが撃ち出された!
『プリズム』という魔法だそうで、これに魔法を撃ち込むと複製されて周囲へ飛ばすというものなんだ。
ズドドドド!!
とんでもない威力だったので、土煙がすごい!しかし、その土煙から無数の魔獣が飛び出してきた!
「そりゃ1発で倒しきれないもんね···」
『次いくぞー!狙う必要なんてないから少しは楽できるな!』
「そりゃ準備できたらすぐ発射するだけだからちょっとだけ楽だけどさ···。さて!そんな事より2発目いくよーー!」
『おう!じゃんじゃんいくぜーー!!』
一方、コルメは···、
「エクスプロージョン!サイクロンエッジ!ストーンヘルランス!アブソリュートゼロ!」
あははは〜!今までで一番楽しいわ〜!相手のことなんて気にせずにじゃんじゃんフルパワーで好きな魔法が撃てるのよ!?しかも狙う必要なし!どこ狙っても当たるんですもの!
魔力量が根こそぎなくなってしまうけど、大量の魔石を今回は使うから、体力の続く限りバンバン撃てちゃうわ〜!
「さあさあ!どんどん来なさ〜い!ちゃんと倒してあげるわ!」
その頃、サムは···、
「あ〜!もうめんどくせえなぁ〜!さっさとやっちまうぜ!うぉおおおおーー!!···ふぅ~、なんとかなりそうだな?」
最初っから全力でやるから、オレは真のトランス状態になった!前までなかなかうまく制御できなかったんだが、なぜか今は落ち着いて制御できてるぜ···?どうなってんだ?
まぁ、考えるのは後だな!今は目の前の魔獣をなんとかしちまおう!オレの担当分が倒しきれてなかったら母ちゃんにドつかれるからな!
「そんじゃあ始めるぜ〜!バーニングウエーブ!!」
目の前に横一直線の炎の壁を作り出し、それを前進させた!当たれば真っ黒焦げになってしまう炎の壁へ魔獣どもは止まることもできずに突っ込んでいき、そして焼かれていったぜ!
ただ、こいつはオレの魔力が燃料だから、とんでもなく魔力量をバカ食いしやがるんだ。通常のトランスなら長続きしねえけど、今は龍脈と魔力共有してるから魔法は使い放題だぜ!
「うおおおおーー!!どこまでも突き進めぇーー!!」
どんどん奥へ突き進ませた炎の壁は、ある地点で突然消えてしまった···。どうやらあそこまでが現時点での射程って事だな。
だいぶ奥まで押し込んだのにまだまだ押し寄せてきやがるぜ···。どんだけかき集めたんだってばよ!?
こいつは根比べだな!オレの集中力と魔獣どもの数の暴力!どっちが上か思い知らせてやるぜ!
そしてウインは···、
「(ハムハム)···ん!」
アレバのパンのおかげで体力と気力ともに十分。簡単に真のトランス状態になれた。
いつもより楽にできた。···どういうこと?龍脈の魔力が暴れずに言う事を聞いてくれてる。まるで龍脈がわたしたちに自ら力を貸してくれてるような感覚にさえなってしまう···。
···じゃ、遠慮なしに最強魔法を使ってやろう。
「凍れる世界」
私の目の前の景色が白一色になっていく。この魔法の範囲に入ったものはすべてを凍てつかせる。さらに魔法の範囲をできる限り奥へ奥へと伸ばしていく!
凍りついて身動きがとれなくなった魔獣は、次第に体内まで凍ってしまい、
『パッキーーン!!』
砕け散る。思ってた以上の威力が出た。龍脈が力を貸してくれてるおかげだろう。
このままこの魔法を展開し続けておく。それだけでも魔獣は近づけないだろう。でないと、アレバのパンが食べれない。(ゴソゴソ)ハムハム···。ふわぁあああ〜〜〜!!
マイカ村の四方でボク、コルメ、サム、ウインが戦っている間、トルムは上空で状況確認していた。そこに空を飛べる魔獣が襲いかかってきた!
「おっと!?さすがに地上だけじゃなさそうですね。ですが、ドラゴン族相手に空中戦を挑むなんて、命知らずですよ!!」
「グァアアア!!」
「おっと!?ブレスですか!?いや、魔法···?であればこちらもお返ししますか!」
僕は竜モードになってブレスを吐いてやった!もちろん直撃して墜落していったよ。
さらに次々と飛ぶ魔獣が飛来してきた!
「さすがに数が多いですね!少し厳しいですよ!?」
その時だった!僕の横をたくさんのブレスが通り過ぎていった!
後ろを振り返ると、白銀竜の集団からの攻撃だったんだ!
「トルム!援護するぞ!」
「アルブさん!助かりました〜。それじゃあきれいな青空にしますか!」
「ああ!ガァアアアアーーー!!」
地上と空···。かつてないほどの大規模な戦闘が始まった。
ボクたちの作戦は今のところ成功して一匹たりともマイカ村の外壁にはたどり着けない状態だった。
ボクたちの魔法で迫りくる魔獣はことごとく倒していった。押し返しても、後ろから魔獣たちが迫ってくるのは止まない···。
ボクたちの体力が続く限り魔法攻撃を繰り出していたけど、疲れが出てきてから魔獣たちの反撃が始まった!!
ラストバトル、前哨戦ですね。まずはマイカ村があるカルデラの外輪山を埋め尽くすほどの大量の魔獣たちが相手です。
魔獣退治はもう慣れてるみんなですが、数が多すぎます。ベスティアリッターたちはライくんたちを疲弊させる事が狙いのようです。数の暴力に対して魔力の暴力で対抗していますが、魔力自体は大量にある魔石でなんとかなるものの、体力がもちません。
しかも大規模魔法はその場で黒魔力が発生して魔獣が湧いてしまうので、非常に厄介です。
3交代にしたのも休息時間確保が目的ですが、それでも8時間戦闘は非常に厳しいです!この世界の人のスペックは一般人ですら地球人よりも上ではあるんですけども、それでも厳しいですよ。
さて次回予告ですが、あまりの魔獣の多さでみんなムリをしてしまいます。ライくんはテオくんに止められて合体変身を解除したら、その場で倒れてしまいました···。
過酷な戦況で休息に戻ると、アエスさんは大量のお弁当を用意してました。そしてアエスさんがサムくんの交代に向かう際、テオくんにちょっとした話を語り始めます。いったいどんな話なのでしょうか?
それではお楽しみに~!




