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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第1章 ライ、村を出る!

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1-14.強そうに見えるのかなぁ~?

 今日と明日は土日なので朝と夜に1話ずつ投稿します。

 武器屋のイグニスさんにボクたちの力をちょっとだけ見せたんだ。思いっきりびっくりされちゃったけど、ボクたちに似合う武器と防具を見繕ってくれる事になったんだ。



「さてと···。とりあえず武器だが、ライは短剣がいいな。テオはいらないだろうな」


「えっ?短剣ですか?」


「まず、お前はちっこい。基本的に武器ってのは自分の身長の大体半分程度の長さが適切なんだよ。ヘタに長いと重いし、武器に振り回されてしまうからな。お前の背丈からすると···、このあたりの短剣がいいな。持ってみろ」



 イグニスさんは刃渡りが30cmぐらいの短剣を棚から下して持ってきて、ボクに渡してくれた。



「はい···。うわっ!?こ、これ、結構重いですよ!?」


「そりゃそうだ。対戦用なんだから、刃は太く頑丈にできてないと戦えんからな!それでも軽い方なんだがな···。とりあえずはそれを振り回せるぐらいの力をつけといた方がいいぞ」


「は、はい···」


「次は防具だな···。そういえばライはいくつなんだ?」


「5歳ですけど···」


「マジか···。ということは、まだ先で成長期があるな。だとすれば···。ちょっとサイズが大きいかもしれんが、コレとコレ、あとはコレなんかどうだ?今着ている服の上からつけるんだ」



 そう言って探してくれた防具は···、革製のグローブと肩当て、それと胸当て、あとはブーツだった。


 まずはブーツ。ちょっと大きいような気もするけど、ひもをきつく縛れば問題なかった。···うん。歩いたり飛んでみたけど、見た目よりも軽いね!


 次は肩当てと胸当てだ。胸当ての左右にひもがついていて、それを肩当てにつなぎ、もう一方は左右反対側の胸当てのわきの下で結ぶんだ。背中でひもが交差する形になるんだね。これも見た目よりも軽いよ!


 最後はグローブ。てのひらの部分がかなり柔らかいね。村の畑作業で使ってた軍手よりも薄くて頑丈そうだ!



「うむ!なかなかいんじゃないか?これから大きくなっても、ひもの長さである程度は調整できるからな!ブーツの方はきついと思ったらすぐに変えるんだぞ。旅をするって言ってたそうじゃねえか?それだったら靴は生命線だぞ。多少高くてもいいものを買うようにするんだぞ!」


「ありがとうございます!これ、思った以上に軽くて動きやすいです!でも、これって強そうに見えるのかなぁ~?」


「強そうかどうかはわからんが、なかなか(さま)になってるな。気に入ったようでよかったぜ。まぁ戦闘とかで多少傷ついても、うちで修繕してやるよ。次はテオだな!···う~ん。これはどうしたもんか···」


「え?どういうことだよ?」


「いや···、翼があるだろ?さっきのライの鎧でもひもが当たるんだよなぁ~。どうすっかなぁ~」


「あ~、だったらオレは別にいいぞ?竜気もあるから、普通の刃物程度なら傷つかないしな!」


「は?竜気···?」


「ドラゴン族特有の防御法だぜ。人型状態の時は体中に竜気ってのが展開されてるんだ。竜モードの時ほどじゃないが、コイツがしっかり防御してくれるんでな。ライ!さっきの短剣でオレを斬ってみろ!」


「えっ!?そ、そんな事できるわけないでしょ!?」


「いいから!どうせ傷ついたって回復魔法があるんだからさ!」


「じゃ、じゃあ···。えいっ!」



 キンッ!!



「え?」


「ほらな!」


「すげぇ···。並みの鎧以上じゃねえかよ···」


「だから、オレには武器も防具も必要ないぞ?そもそもドラゴン族は魔獣退治を専門にやってたんだからな!」


「わかった。じゃあテオにはどっちもいらないってことで、ライの分だけでいいな。代金は···、ちょっとまけて10万ジールになるんだが、出せるのか?」


「あっ、はい。これでいいですか?」


「···ああ。まいど!···ちなみにどこでこんな大金を手に入れたんだよ?」


「あ~、まぁいいか。ここの皆さんだったら話してもいいかな?調べられたらすぐにバレちゃうだろうし···」


「な、なんだよ?マッドドッグ以外にも倒した魔獣がいたのか?」


「実は···、ボクが初めて退治した魔獣ってレックスデラックスなんです···」


「············」


「···え?あの~?イグニスさん?」


「···マジで?」


「はい···。4体···。カパーの町に現れて、やっちゃいました」


「···お前ら、今すぐCランクになれ」


「えっ!?ちょ、ちょっと!?バンドさんよりも上を言ってませんか!?」


「レックスデラックスってSランクの魔獣だぞ!?1体だけでこの町より大きな国でもあっという間に滅ぼされるぐらいの凶悪な強さだぞ!?それを4体だと!?どうやったんだよ!?」


「魔力剣で片足を切り落として、動けなくしたところで頭を突き刺したんですけど···」


「それが普通じゃねーんだよ!刃物が通用しないって話だぞ!?って、さっきの神器か···。あれならやれそうだけど、回避不能な雷魔法も使うって話もあるのによくやったなぁ···」


「あ、それは別の雷魔法で無効化できるんですよ。それでやっちゃいまして···」


「···とんでもねえ新人が来たもんだなぁ~。アノド様が現役時代だった時よりもすげえんじゃねえか?」


「あはは···。あの時は無我夢中だったんで···」


「とりあえず、人前でそんな強さは出すなよ?人前では今売った短剣でなんとかしろ。さっきの剣技からだと短剣にも応用が利くんじゃねえか?」


「そうですね···。え?」


「ん?どうした?」



 今、賢者の遺産の知識が発動したんだ。短剣術もあったよ!でも、アキさんの剣技じゃなさそうだね···。暗殺術···?



「いえ、なんでもないです。短剣ですけど、予備でもう1本あります?」


「あるぞ。まぁ2本ありゃ問題ないか。じゃ、とりあえずオレのところはこれで終わりだから、ポーラのところに戻るぞ」


「はい!ありがとうございました!」



 ポーラさんのところに戻ると、さっきの素材の査定が終わってたようで、35万ジールで引き取ってくれた。ちなみにお肉は食べれるらしいので、避難民の人に分け与えられるそうだよ。こうしてボクはなろうと思っていなかった冒険者になったのでした。次はどうしたらいいのかなぁ~?




 夕方、ギルド長の部屋ではカソド、バンド、イグニス、ポーラの4人での会議が行われていた。



「イグニス、それは本当なのか!?」


「ああ。本当にあいつら、レックスデラックスを倒しちまってるようだぜ」


「ギルド長。カパーの町に問い合わせの伝令を走らせました。明日には判明するでしょうけどね」


「想像以上にとんでもないヤツじゃねえかよ···。解体も完璧だったし、しかも神器を最低でも(・・・・)2つ所持してるってな···」


「アノド様が心配されるのも無理はないか···。たった5歳の少年がSランクの魔獣を4体、しかも無傷で倒しきるとはな···」


「さっきワシが言った通り、いますぐにでもDに上げるべきだ。···いや、中央に使いを出した方がいいぞ」


「バンドのおっさん!DじゃなくてCの方がいいぜ!Bまでは受注できるしな!」


「しかしいくら強いとは言っても、新人なり立ての少年にいきなりそこまでの重責を押し付けるのは、あたしとしては反対ですね。ランクが上がれば余計なことも起こりえますし、あの子たちの力が大々的に知られてしまえば、よからぬ連中に目をつけられてしまいます!」


「確かにポーラの言うとおりだが今の現状を考えると、そんな悠長な事を言ってる余裕はないんじゃないのか?」


「イグニスの言う通り、解体現場から見ても明らかに魔獣が強くなってきているしな···。ここの周辺でもBランクが出てきておるぞ?変異種も出てくる可能性がある。今のままでは、いずれこの町も滅びの運命から逃れられんのかもしれんぞ?カソドはどう思う?」


「私としては···、Fで扱おうと考えている」


「本気か!?町が滅ぶかもしれないんだぞ!?」


「イグニス、その時は緊急事態を宣言して、全冒険者を動員する。むろん、あの子たちも動員対象になる。私が面接した時の話を聞く限り、これを発動したら真っ先に立ち向かうだろうと思われるがな···」


「だろうな。レックスデラックスを倒せるほどの実力だ。ほかの冒険者どもに被害が及ばないようにするかもな」


「どうしてそこまで···」


「彼の心の奥底には魔獣に対して底知れぬ怒りがあるのだろうな···。その怒りから『自分のような人をもう見たくない』と言い切ってしまうのだろう。だからこそ、通常の冒険者として取り扱うこととする。ヘタに優遇することで注目を浴び、あの力を悪用されたりすれば、あの子自身が町を滅ぼす可能性も否定できん。ただ、状況によっては例外条項(・・・・)を用いてライくんたちにお願いするとしよう。ポーラ。引き続き、ライくんたちのサポートを頼むぞ」


「わかりました、ギルド長」



 こんな話し合いがあったと知ったのは、この町を出る直前だったんだ···。

 イグニスさんのおかげでライくんはいっぱしの冒険者になれました。今まで防具なんて一切なかったので、『一発ダメージ=即死』の可能性が非常に高かったからですからね。

 テオくんの竜気の強さもここで明らかになりましたね。白銀竜は防御力が高い特徴があるので、テオくんもそれなりの防御力を誇っていますよ~。竜モードならさらに防御力は上がります。

 ドラゴン族それぞれでいろんな特徴があるんですが、そちらはおいおい説明していきます。早く知りたい!という方は前作をご覧いただけるとすぐに···、わっかんないと思います(笑)!文量多いですから···。


 さて次回予告ですが、冒険者となったので翌日に早速依頼を受けようとしますが、いかんせんライくんは5歳のお子さまなので朝の依頼受注ラッシュ時だと張り紙も見えないし、取ることもできませんでした···。そこで落ち着いた時間に人気のない残りの依頼を確認すると、ライくんでもできそうな依頼があったのですが、それはいわく付きで···。いったいどんな依頼を受けたのでしょうか?


 次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!

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