7-14.新婚旅行再開!
結局、元総帥やベスティアリッターなる連中を発見できずにボクたちはマイカ村に戻ってきた。
ボクたちが無事に戻ってきたので、マイカ村のみんなは『魔獣同化能力者たちを倒したんだー!』って勝手に思われちゃったんだけど、空振りだったんだよね···。ちょっと本当のことを言いづらい状況になってたから、みんなも苦笑いで黙ってたよ。相談してないんだけど、ちゃんと意見が一致していたね。
さて、当面は相手の出方待ちとなってしまったんだ。連中のアジトで話していた通り、今度は向こうから攻めてくるかもしれないね。村の方は建設工事がやっと一段落しそうだったので、ここからは防衛策を本格的に進めていくことにしようと思ったんだ。
『ヨシキタ!!ライくん?こんなのはどうかな~?』
···待ってました!と言わんばかりにボクの頭の中で賢者の遺産の知識が『マイカ村要塞化計画』なる提案を出してきたよ···。
アキさん?賢者の遺産ってこんなのでしたっけ?
そんな呆れるボクを放っておいて賢者の遺産の知識がドンドン提案してきたんだよ···。これ、魔道具結構使うんですけど?そんな魔力はどうするの?って聞いたら、『無限収納カバンに入ってる大量の魔石を使ったらいい』と言われてしまったんだよ。
確かに数えきれないほどの魔石があるんだよ。でも、それじゃあいつかはなくなっちゃうと思うんだよね。だから魔石がとれる場所じゃないと厳しいかな?
とりあえず『何かあった時に魔石を使用する』って事にして、遺産から提案された計画をドワーフの長であるペンタさんに相談してみたんだ。
「これはたぶんできるぞ?」
「本当ですか!?」
「ああ。っていうか、この技術はもともとドワーフが作り出した技術でな。ちょっと規模がデカいから時間はかかっちまうだろうがな。ただ···、浮遊大陸に材料を取りに行く必要があるな」
「でしたらボクが取ってきますよ?新婚旅行の途中だし、行くつもりでしたから」
「そうか!なら一筆認めるでな。これをホルテにいるリリスってヤツに渡してくれんか?」
「いいですよ。それじゃあよろしくお願いしますね!」
「わかった。しかし···、こりゃとんでもねえ出力を出せるな···。どんな攻撃でもビクともせんぞ?ここまでの襲撃なんぞあるのか?」
「みんなを守るためですからね。できる限りの防衛はしておいた方がいいかな?って思いまして」
「そうか。さすが村長だな!まぁ、ドラゴン族の連中が相当間引いているからな。使うことはないだろうが、用心しておくという考えは立派だぜ」
「ありがとうございます!」
というわけで浮遊大陸へ行く用事ができちゃったね。ちょうど新婚旅行も途中だったし浮遊大陸に行くつもりだったからちょうどよかったよ。
そうしてボクは家に戻ってきた。
「ライ!おかえり!」
「ただいま、アス。いきなりなんだけど、明日に浮遊大陸へ行くんだけど、新婚旅行の続きをしようか!」
「え!?···相変わらず急ね~。いいわよ。私もどんなところか行ってみたい!」
「よかった~。実は浮遊大陸でのお仕事も1件入ったんだよ。ちょうどよかったんだ」
それを言うと、ちょっとアスの表情が険しくなった···。あれ?ちょっと怒ってる?
「···ライ?仕事熱心なのはわかるけど、ちゃんと分けて考えたほうが良くないかしら?」
「え?」
「お仕事と一緒じゃ、心が休まらないんじゃないかしら?体調はお薬とか回復魔法でなんとかできるけど、心はそう簡単に休まらないんだから」
「う、うん···」
「まぁ、そこは私の出番なんでしょうね。ライ?頑張るのも大事だけど、休む時は休むのよ?」
「···うん、わかったよ。ありがとう」
どうやらアスはボクが働きすぎって思ってるみたいだ。
確かにほかの人からもこれはよく言われてる。でも、ボクは疲れたってあんまり思ってないんだよ。ボクが頑張ればみんな笑顔になるって思えるからね。
この村に住む人たちを安心させたい···。もちろんアスもね!それが、今のボクの考えなんだよ。
そうか···。みんな、ボクを心配してくれてるんだね。そんなみんなの気持ちにボクは気づいてなかったんだろう。これまで必死になって頑張ってたから。
じゃあ、浮遊大陸でちょっとゆっくりでもしようかな~?それもいいかもね!
そして翌日、ボクとアスはテオに乗って浮遊大陸へ飛んだ。
ちょうど近くに来ていたんだ。だから転移魔法じゃなくてテオの高速飛行魔法で向かってもらったんだ。
ちなみに今回は金竜のレンがついて来てくれた。
『どうも最近魔獣が減ってきてるようだぜ?あたいが巡回していても見かけるのが減ってるからな!だからいったん浮遊大陸に戻って近況報告でもしておくか!』だってさ。
やっぱり魔獣がかなり減ってるらしいんだ。ドラゴン族の人たちが狩りまくってるんだろうね。『ここを集落とする!』って報告はまだ来てないんだけど、どうも狩りながら探してるみたいだそうだからね。
魔獣被害に怯えない毎日···。これこそボクが目指している世界だ。そんな状況に少しずつ近づいていると実感できるね!
レンの後についてテオが飛ぶ。雲の上に出て2時間。しばらくしたら浮遊大陸が見えてきた!
「すごい···。雲の中に島があるなんて···」
「そうだよね。ボクも最初見た時は今のアスと同じ感想だったよ」
「そうなのね?テオやサムたちってここ出身なのよね?」
「そうだな。って言ってもオレはすぐに賢者の遺産の管理者となって眠ったけどな」
「神様が創造された場所···、なのね。とっても神聖な気分になるわ···」
「アスはそう感じるんだね?さあ!もうちょっとで着くよ~!」
そうしてボクたちとレンは浮遊大陸に着陸した。すると、すぐに警備隊長のゴルドさんがやってきたんだ。
「おお!ライくん、テオくん!久しぶりだな!そして···、レン!お帰り」
「おう!父ちゃん!しっかりとヒーロー活動やってきたぜ!」
「そうか···。無事戻ってきてくれて嬉しいぞ。ところでライくん。今日はお客さんがいるようだね?」
「はい、ゴルドさん。こちらはアス。ボクの妻なんです」
「ほう!?ライくんは結婚したんだね!おめでとう」
「えへへ···。ありがとうございます。アス、こちらは金竜のゴルドさんだよ。この浮遊大陸の警備隊長さんなんだ」
「そうなのね。初めまして、ゴルドさん。ライの妻のアスと申します」
「これはご丁寧なあいさつを···。こんなところでは何だから、町へ行くか」
こうしてゴルドさんに連れられてボクたちは町へ向かったんだ。その道中、アスは首を左右にゆっくり振りながら浮遊大陸の景色を楽しんでくれていたんだよ。
ここからは浮遊大陸でのお話になります。元の場所に戻るまで時間がかかっちゃいますし、それにアスちゃんにとっても浮遊大陸は初めてですからね。
さて次回予告ですが、ドラゴン族がいた町に向かいます。すると、ほとんどのドラゴン族が地上に降り立ったので、町中は閑散としていました。その様子を見たライくんはマイカ村もいつかはこうなるだろうなぁ〜と考えてしまいました。
そして昼食はサムくんの家の飲食店に向かうとすごい行列が!?昼食は食べれるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




