6-23.レクト奪還大作戦!その2
「さっきの爆発はすごかったな···。コルメ、さらに魔法に磨きをかけてやがるな!」
「グァアアアーーー!!」
「クッテヤルクッテヤルゥーー!!」
あたいは金竜のレン。今代のヒーローだぜ!親戚のコルメたちと一緒に魔獣同化能力者だらけの町を奪還する作戦に参加してるのさ!
順調に倒しつつ進んでると、耳障りな大きな音がした直後、相手していた魔獣たちが苦しみだしたんだ!
すると、背中にあり得ねえ羽が生えてきやがった!体も大きくなって、さらに凶暴化してやがるんだ!
「おっと!?パワーアップってか!なら、こっちも本気を出さないとな!戦闘鎧!装着!!とおっ!!」
どうやら敵は奥の手を出したようだな···。なら、こっちもそれなりに相手してやるのがヒーローの務め!
先祖代々伝わる神器の『すまほ』には『特撮もの』という動画がたくさんあったんだ!ご先祖様たちはその動画を見てヒーローに憧れ、そして活動をしていたんだ!
もちろん、あたいもそうだ!母ちゃんやばーちゃんのように、人助けをしてるんだ!
ここはヒーローが活躍できる最高の舞台なんだ!普段よりも気合入った活動をしてやるぜ〜!
そうしてあたいは鎧を装着した!あたいの強力な魔力でできた鎧!そう簡単には壊れないぜ?
「さあ!かかってこい!!巨悪を倒す!!」
凶暴化した魔獣は全部で5体。一気に相手するにはちょっと厳しいぜ!だがな?そんな状況をひっくり返すのが最高に気持ちいいんだぜ!
どうも魔獣どもは空中戦に慣れてねえな?突然生えた羽をどうやって使ったらいいかがわからんみたいだ。なら!本当の空中戦というものを見せてやるぜ!
あたいも金色に輝く翼を展開した!そして一気に急上昇した。
さすがにあたいの速さにはついて来れねえよな?これが経験の差ってやつだぜ!
さあ!始めようか!コルメがあんなに熱い一撃をお見舞いしたんだ!あたいだって負けてられねえ!
「うぉおおおーー!あたいの両手が真っ青に燃え盛る!『敵を焼き尽くせ!』と猛り狂う!!」
あたいの両手に真っ青な炎の柱が立ち上った!体の前には暴風の塊が生み出されてきた!
「きたきたきたぁーーー!くらえ!ひっさーーーつ!!フラーマ・シュトゥルム!!」
両手の炎の柱と暴風をあたいの前で合成した!そして灼熱の暴風が撃ち出された!!
「ギャアアアーー!?」
「グァアアアーー!?」
へっ!そんな薄っぺらい羽じゃあ、焼き尽くしちまうぜ?魔獣どもはなんとか耐えてたが、生えたての翼は破れて折れてしまい、高高度から墜落していった。
「レン!」
おっと!?あたい以外にも部隊はいたんだよ。目の前の戦いに集中し過ぎちまったな!
「ちょっと大技ぶちかましてやったぜ。羽が生えたからといってもどうってことないぞ。ただし、パワーが上がってる。不意を突かれなければ大丈夫だ!」
「わかった!こちらもさっき倒したばかりだ!かなり厳しいが、空を飛ぶならオレらの方が上だ!」
「ははは!確かににわか仕込みの羽じゃあ、あたいらの方が上だな!よし!どんどん進むぜ!あたいについてこい!」
「「「「おーーー!!」」」」
一方、防壁の門にいたアエスさんのところに魔獣同化能力者の一団が戻ってきていた!
「なんだ?テメェは?」
「なんだって···、見てわからないかい?門番さ。あんたらはここの住人で魔獣同化能力者かい?」
「はぁ?当たり前だろ?そこをどけ」
「残念だけど、ここからは一歩も先には行かせないよ。そして···、全員ここで死んでもらおうかね」
「あぁ!?ナメてんのか!?食っちまうぞ!!」
「ナメてないさ。事実を言ったまでさ。だって···」
ズバッ!ズバッ!ズバッ!ズバッ!
「へげ···?」
「ふぎっ···?」
「あがっ···!?」
「すびっ···!?」
「もう死んでるからね···」
予想通り戻ってきたね···。人数は4人。まぁ、私の敵ではないだろう。
どうも頭はバカのようだった。まったく警戒してないのさ。おそらく魔獣の力を得てパワーアップしたから、強さに驕りができてたんだろうね。無防備だったから、私の分身が背後から連中の首をはねさせてもらったよ。
「バ、バカな···!?」
「おや?首だけだってのにしゃべれるのかい?もはや生き物じゃあないね」
「···フフフ!ハハハ!!魔獣同化能力者を···、ナメるなぁーー!!クソアマァーー!!同化!!」
おやおや···?まさか首だけだってのに生きてるし、さらには同化までやってくるのかい?
まぁ、だったらとことんやろうじゃないか?
「ガハハハ!!マジュウノチカラヲアマクミタナ!!コノテイド、イタクモナイワ!!」
「なるほど。これは考えを改めたほうが良さそうだねぇ〜」
なら、思いっきり痛い目に遭ってもらおうじゃないか。私も魔力剣を展開する。
すると、4体一斉に襲いかかってきた。私はその場を動かない。
ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!ズドンッ!!
魔獣どもの一撃が私にぶつかった。まぁ、代わり身で受けるけどね。
「ナニ!?ドコイッタ!?」
「ここだよ」
「ナァッ!?」
4体それぞれの肩に私は分身含めて立ち、そして首筋に魔力剣を同時に突き刺した!
「「「「ギャアアアーー!?」」」」
すぐに魔力剣を抜くと血が噴き出した!しかし、それもすぐに止まってしまったよ。回復能力が常時働いてるんだね?かなりの強さのようだ。
だけど···、それももう終わりさ。
「オノレーー!!ダガ、コノテイドデハタオセンゾ!!」
「いいや、もう終わりさ」
「ヘラズグチヲ!!コレデオワリ···!?」
魔獣どもの動きが鈍った。効いてきたようだね。
「ウガァアアアーーー!!イタイイタイ!!」
「ギャアアアーーー!!キズハフサガッタノニドウシテ!?」
「あんたら全員の体に毒を入れさせてもらったよ」
「ドクダト!?」
「そうさ。こいつはね?神経に作用してね。痛みの感覚を逆転させるのさ」
「ナ!?ナンダト!?」
「つまり、痛みの感覚が痛くなくなり、痛くない感覚が逆に激痛の感覚になってるのさ。試してあげるよ、ほら」
ザクッ!!
「バ、バカナ!?イタクナイドコロカキモチイイ!?」
「わかったかい?でも、あんたらは常時回復するんだろ?」
「マ、マサカ!?ギャアアアーーー!?イタイイタイ!!」
···ご先祖様が開発した劇毒『逆鎮痛剤』。本来は痛いのを痛くなくすための薬なんだが、こいつは調合を誤ると痛くない状態で激痛が走るという逆転症状が出ちまうのさ。薬も、使い方によっては毒になるっていう典型例みたいなものだね。
···かなり残酷な毒ではあるが、こいつらがしてきたことからすれば、この程度でも軽いぐらいさ。
「ギャアアア!!(ザシュッ!ザシュッ!)」
自傷行為を始めたね。傷つければ痛みはいったん治まるけど、常時回復能力がある以上、すぐに元に戻ってしまい、また激痛地獄が待ってる。
「ガァアアアアーー!!ウグッ···」
どうやら痛みに脳が耐えきれなかったようだね。事切れちまったよ。
「ギャアアア!!(ドスッ!ドスッ!)ハハハ!イタクナクナッタ···?グフッ···」
おやおや···。こいつは自傷行為で自滅しちまったね。
これで殲滅完了。トランスするまでもなかったね。力だけで対応する以外にも方法があるってことを、そろそろサムにも教えたほうが良さそうだねぇ〜。
レンちゃんとアエスさんの活躍ぶりをお伝えしました。
レンちゃんはヒーローなだけあって、こういう場面ではやる気マンマンです。
そしてアエスさんは暗殺者として大活躍でしたね!武器だけでなく毒を駆使してました。かなりえげつない毒ですが、これ思いついた時に暗殺じゃなくね···?って思いましたけどね。カッコいいからいっか!ということで(笑)。
さて次回予告ですが、ライくんたちは冒険者ギルドにたどり着きました。そしてそこには総帥と大男が待ち構えていました。そして魔獣同化能力者たちの目的が何なのかがついに明らかになります!
それではお楽しみに〜!




