6-18.ライ、温泉を掘る!
本日は遅めの盆休みにして道後温泉に近い鷹ノ子温泉に来てます。温泉のお話を温泉から投稿するのは偶然です(笑)。
浮遊大陸からのドラゴン族第2陣を受け入れて一月ほど経った。
第2陣の人たちも魔獣狩りに勤しみ、ある人は慣れずに傷つき、ある人は魔獣狩りにハマり···。そんな感じだったね。ちなみに指導はレンがやってくれてるよ。
村の方も順調に発展している。第2期の区画ではまだまだ家の建設ラッシュ中だ。主にドラゴン族専用の柱と屋根だけの家だけど、将来的には壁もつけて人族向けの家に改造する予定だ。
そうすると···、2000人ぐらい住めちゃうなぁ〜。グランドの町より大きくなっちゃうかな?ダイナモの町よりは小さいけどね。
畑の方も開墾が進んでいる。先日は最初に作った畑で早速野菜の収穫ができたんだ!促成魔法のおかげで速く成長してくれたし、味の方も良かったよ。
まだ完全に自給自足までいってないけどね。でも、それを達成するのも時間の問題だ。
一時的ではあるものの、思っていた以上に村は賑やかに、そして建物が建ったよ。天国のみんなが見たらびっくりするだろうなぁ〜。そんな事を考えつつ、今日もボクはみんなのお墓参りをしていたんだ。
『ライくん!ちょっといいかな?』
「えっ?アキさん?どうしたんですか?」
『村もだいぶ発展してきたし、そろそろ温泉掘ってみない?』
「温泉···、ですか?」
『うん!ここはカルデラの中だし、元々火山だった場所だから地熱が比較的浅い位置にありそうだ。掘れば出ると思うよ〜!』
「掘るって言っても、どうやって掘るんですか?」
『魔法で掘るんだよ。土魔法でね。ストーンランスの先端をドリルにして、グルグル回しながら地中へ埋めていくんだ!』
「ドリル···?」
『こんな感じで螺旋状の刃をつけるのさ』
「···あ〜、なるほど。遺産の知識は便利ですね〜!頭の中にイメージが出てきました!」
『場所は農園の上流がいいかな?温泉の排熱を利用したハウス栽培も将来的にできるから、季節関係なく作物が採れるよ!』
「それはいいですね!じゃあ···、あそこがいいかな?」
『その前にテオも一緒がいいよ。合体変身魔法で出力を上げた方がいいよ』
「わかりました!」
テオも誘って、ボクは村の畑の方に向かった。
「なあ、ライ?温泉って、掘ったら出るのか?」
「そうらしいよ。まぁ、賢者の遺産···、アキさんがどうしてもやりたがってるからね。放置してたら頭の中でうるさいだろうし···」
「そうか···。難儀だなぁ〜」
「よし!じゃあここでいいかな?」
「いいんじゃねえか?畑からも離れてるし、ここなら小屋を建てても問題なさそうだな」
そこはまだ開墾してない荒地だった。ちょうど第1期の住宅街と畑の間といったところだ。
「よ〜し!それじゃあテオ!合体変身魔法で一気に掘っちゃおう!」
「おう!せーの!!」
「「インテグレーション!!」」
戦闘でもないのにこうやって変身するのは珍しいんじゃないかな?制限時間は15分だ。どこまで掘れるかな?
「じゃあいくよ!ストーンランス!さらに先端をドリル状にして···、魔法で押し込みながらグルグル回す!っと。それじゃあ···、いっけぇーー!!」
ズドドドドド!!
「うわっ!?す、すごい土だ!」
ストーンランスがどんどん深く潜っていく!開けた穴からは大量の土砂が噴き出して周囲にまき散らしていた!
今掘ってくれてるストーンランスとは魔力的に繋がっているので、どの深さまで掘ってるのかが感覚でわかる。
どうも柔らかい土が積もった土地らしいので、思ってた以上にスムーズに掘れていった。合体変身魔法を使って魔法の出力を大幅に上げてるというのもあるんだけどね。
ドォーーーンッ!!
「えっ!?な、なに!?」
『もしかして!?もう掘り当てちゃったかな!?ライくん!離れるんだ!』
「は、はい!!」
そうしてボクが離れてすぐに泥水が噴き上がった!!湯けむりもあるから、温泉かな!?
『やったね!まさかこんなにあっさり掘り当てるとは···。しかも土圧が高いのか、掘削自噴泉だし動力揚湯しなくても良さそうだね。落ち着いたら確認しようか?』
「はい!」
ボクは合体変身を解いて、噴き上がりが収まった温泉を覗きに行った。
掘った穴からは大量のお湯が勢いよく噴き出していた。もう泥の色ではなくてきれいな透明になってるよ。
流れ出た温泉はそのまま川へ流れ込んだ。畑に流れ込まなくて良かったよ。
かなり湯は熱そうだね···。ちょっと触るとヤケドしそうだ。
『ライくんの五感をちょっと借りて簡易分析したけど、このニオイだと硫酸塩泉のようだね』
「硫酸塩泉?」
『切り傷の治りが早くなる薬湯だね。これは大当たりだね〜!素晴らしい温泉生活を楽しんでね!』
「そうなんですね。ありがとうございました!じゃあ、ドワーフの人たちに温泉の家を作ってもらいましょうか!」
その日の午後、ドワーフの職人さんたちにお願いして、浴槽と建屋の建設をお願いしたんだ。初めて温泉を見たのか、興味津々だったよ。
ただ、浴槽を造る担当はボクにブチギレていたんだ···。
「本当にテメェは考えもなしにこんな事するんじゃねえよ!材料足りねえっていっつもいっつも言ってるだろうが!?」
「あはは···。マイスちゃん、壁はのんびりやったらいいよ。ドラゴン族の人たちが魔獣をかなり間引いちゃってるからさ」
「けっ!で?どれぐらいの大きさにすんだよ?」
「とりあえず浴槽は大きいのが2つ、外に露天風呂が2つ、貸切用の小さめを1つだね。男女別にするからさ。図面はペンタさんに渡してるからさ」
「あいつらと一緒に作業かよ···」
「まぁ、場所を指定するからさ。先に浴槽を作ってくれたら終わりだからさ」
「ちっ!わかったよ。やればいいんだろ?」
「ごめんね。お願いするよ」
温泉小屋には源泉と川の水を混ぜて温度調整ができるようにしてもらった。浴槽も湯を抜いて清掃できる構造にしてもらい、流れ出た排水と源泉で余剰になったお湯は上水道の取水口より下流側へ流すことにしたんだ。
なお、このあと温泉熱を利用したハウス栽培というのもやるという話をしてあるので、後で改造も可能なパイプの作りにしてもらったよ。
温泉小屋が完成するまでにはかなり時間がかかりそうなので、温泉が流れ込んだ川の河原部分の石を積み上げて、簡易の温泉を作ってみたんだ。そして、グランドの町の人にも入ってもらおうと思って呼んだんだけど···、
「ライ?これが?」
「そうだよ、アス。温泉だね。入ると気持ちよくなるよ〜!」
「面白そうね!でも···、服のまま入るの?」
「···い、いや!ふ、服を···、脱いで···」
「えっ···。じゃ、じゃあライと一緒には···」
「そ、そうだね···。か、考えてなかった···」
さ、さすがに男女で裸になるのはマズいね···。
というわけで、今日のところは男女を分けて時間をずらして入ってもらうことにしたんだ。女性の時間の際はウインが警備に当たってくれたよ。
「···覗いたら容赦なく斬る」
いや、ウイン···、ちょっとそれは危なすぎるよ···。
翌日にはもう一つ作って、簡易の土壁で囲った女湯も用意しておいた。これで気兼ねなく入れるようになり、非常に好評だったんだ。あとは小さな貸切風呂も作って、こちらも大好評だったよ。
こういうのも大事だよね?
温泉は基本的には掘れば出ます。ただ、どこまで掘るか?が問題なんですね。地層によっては岩盤もありますからね。
ただ、自噴となると相当湯量が豊富でないと出ません。古来から有名な温泉は掘らずに出てるところばかりなんですね。
マイカ村はカルデラの中なので、元は火山の火口でした。そのために地熱が比較的高かったので温泉が簡単に出たんですね。活火山であって休眠中って事です。
今回の泉質も硫酸塩泉にしました!キズが癒えるのが早くなる作用がありますからね〜。
さて次回予告ですが、レクト奪還に向けて事前調査としてサムくんが潜入します。前回の屈辱を晴らせるのでしょうか?
それではお楽しみに〜!




