表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第6章 レクト奪還大作戦

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/229

6-16.今後のこと

 ボクたちが町の外で町の人たちの連れ去りを阻止していたころ、町中では···。



「へっ!ざまぁねえな。この程度かよ?」


「···サムはアエスさんに鍛えられたから」


「···あ~、思い出したくねぇなぁ~。でも、おかげで楽勝だぜ!」


「···調子乗るな」


「へいへい。さて!お次はどいつだ!?」


「···あっち」


「よっしゃ!サクっと片付けちまおうぜ!」



 サムとウインはタッグを組んで魔獣の殲滅に奔走していたんだ。そして···、



「ふぅ~!こんなものですかね?ちょっと弱くて拍子抜けしてるけど···。でも···、思ってた以上に弱い···。まさか···?陽動か!?でも、だからといって町中の魔獣は放置できませんね!さっさと片付けましょう!」



 トルムは今回の襲撃を見抜いていたんだ。そしてコルメは町中で大規模な魔法が使えないから、領主邸の警護と避難してきた人たちへ回復魔法をかけていた。



「はい!これでいいわよ~!」


「ありがとう!竜のお姉ちゃん!」


「大したことないわよ!さあ次!」



 領主邸の前ではアエスさんが一人で門を守っていた。



「ほらほら!もっとかかっておいで!今日の食材にしてあげるよ!」



 ほかの人たちも奮戦してくれたおかげで、町中の魔獣の掃討は完了したんだ。信号弾魔法で緑色が町中から打ち上げられたのが見えたんだ。



「町中も終わったようだな」


「そうだね、テオ。え~っと、レンも一緒に来てくれないかな?こんだけ町の人が多いとボクたちじゃ厳しいし···」


「いいぜ。それにしても、町に入り込んだ魔獣がどんどんいなくなってるんだけど、仲間がいるのか?」


「うん。浮遊大陸からね。コルメも一緒だよ」


「コルメもいるのか!?久しぶりだなぁ~!」



 というわけで、ボクとテオが集団の先頭を歩き、最後尾にレンがついて町の人たちと一緒に歩いて戻ったんだ。ボクたちが以前修繕した防壁は、破壊されてしまっていたんだ···。どうやらここから入り込まれてしまったみたいだね。


 町では魔獣の掃討が完了したので、今は消火活動に入ってる。主に魔法が使えるSランクがメインで活動しているようだね。トルムは救助活動に専念しているようだ。



「あっ!?コルメ!」


「ん?あら!?レンじゃないの!?久しぶりね~!」


「相変わらず魔法ばっかり使ってるようだな~!」


「あなたもヒーローごっこで暴れてるようじゃないの?」


「ごっこじゃない!あたいのご先祖様からのちゃんとした活動の一環だぞ!今回もちゃんとこうしてみんなを救助できたからな!」


「さすがね~!こっちはもうすぐで終わるわ。このまま領主邸に向かってちょうだい」


「ああ!ありがとな!」



 うん。親戚同士だから仲がよさそうだ。そうしてボクたちは領主邸に戻ってきたんだ。門にはアエスさんがいたよ。



「おや、お帰り!さっきの技はすごかったんじゃないかい?」


「えっ?アエスさん、気づいてたんですか?」


「もちろんさ。あれだけの技を使えばね。ってことは···、いたんだね?」


「はい。魔獣同化能力者でした。今回は人を···、食料としてさらおうとしたみたいです」


「···そうかい。となると、あんまり時間に余裕はないのかもね」


「···え?どういうことです?」


「それは後で話すよ。先に領主邸に入りな。私はこのあと引き継いだらすぐに炊き出し準備にかかるからね」


「ありがとうございます。そうさせていただきますね」


「そうそう!サムが戻ってきたら炊き出しを手伝うよう言っとくれ!」


「あはは···。ボクも手伝いますからね!」



 こうして町の住民ほぼ全員が領主邸に避難が完了したんだ。でも···、やっぱり犠牲者は出てしまっていたんだ···。


 屋敷の中ではアスとカレンさん、そしてメイドさんたちが大忙しで避難してきた住民へあれこれ手を尽くしていた。大広間には住民でいっぱいになっていて、廊下まであふれていたんだよ。そもそも避難を考えて屋敷は作られていないからね。しばらくすると、リークさんから声がかかったんだ。ボクとテオはリークさんの部屋に案内されたんだ。



「今回も助けられてしまったな···。本当にありがとう」


「いえ···。犠牲者が出てしまいました···」


「うむ···。非常に無念ではある···。しかし、ライくんたちが助けに来なければ···、全滅···、いや、全員連れ去られていたかもしれないんだ。そう考えれば、ほとんどの住人を救えた事は本当にありがたい事だよ」


「はい···」


「ところで···、なぜ今回魔獣たちは住民を連れ去ろうとしたのだろうか···?」


「···申し訳ないです。先日あいさつに来た時に、話していなかったことがあったんです···」


「話していないこと···?かなり言いにくい内容なのだね?」


「はい···。ですが、今回の襲撃の理由が明らかになったので、ここでお話させていただきます」



 そう、前回のあいさつの時に、ボクは魔獣同化能力者が人を食べる話をしなかったんだ。



「まさか···!?人を食べるだと···!?」


「どうも定期的に食べないと正気を保てないようなんです」


「レクトが乗っ取られて2か月。こんな遠いところまで人をさらいに来たということは、もうレクトの周辺の町の人たちは···、食べつくされたとみて間違いないかもな」


「テオくん、そうなのか···。魔獣同化能力者でも、もとは人だというのに···。愚かな···」


「もう、魔獣同化能力者たちは人じゃありません。高度な意思をもった魔獣そのものです。人をエサとしか見てないですから···」


「それにあいつら、『人は魔獣を狩ってエサにしているから、魔獣も人を狩ってエサにする。立場が違うだけでやってることは同じだ』なんて言ったそうだぜ」


「確かに···。我々も魔獣を倒して驚異の排除をしつつ、食材や素材として活用している。それを···、立場が逆になるとこうなるのだな···」


「だからといって、ボクたちは魔獣を倒さないということは絶対にありえません。話が通じませんし、魔獣同化能力者のように言葉が通じても話し合いにすらなりませんから」


「そうだな···。それと、私からも言いにくいのだが···。今回の襲撃、どうも冒険者が手引きしたそうだ」


「ということは···?」


「そう、魔獣同化能力者が冒険者として入り込み、そして内側から防壁を壊して魔獣が中に入り込んだそうだ···。住民が目撃していたよ」


「やっかいですね···」


「ああ。今後、どうするか迷っているのだよ···。今回の襲撃が失敗したことはいずれ中央本部にも知られるだろう。次の襲撃まで防壁を修理できるか···。それに、町の復興の問題もある。今助かっても、次の襲撃を受けてしまえば···」


「···そう、ですね」



 前回はボクとテオが常駐して魔獣退治にあたっていたけど、今回はそうもいかない。戦力を整えたらレクト奪還に動かなきゃいけないんだ。でも、だからといってまた襲撃されたらボクたちが駆け付けようにも戦力がない場合がある。


 ···よし!決めた!



「リークさん。ボクたちは戦力が整い次第、レクト奪還に動きます。前回のようにボクたちがここにいることができないんです」


「そうだね···。ライくんたちには大きな目的があるのだから」


「はい。ですからレクト奪還まで···、ボクの···、マイカ村に一時避難しませんか?」

 冒険者ギルドが魔獣同化能力者たちに乗っ取られてしまったため、今回のように裏で手引きが簡単にできるようになってしまいました。魔獣に立ち向かう冒険者が実は魔獣側であるので、大量のスパイが疑われることなく好き放題入り込めてしまう状態なんです。

 これは非常に危うい状況です。それを見越して乗っ取りが行われてしまったために、魔獣に襲われる危険性が段違いに上がった状態なんです。

 極めつけは、その事実をほとんど知らないということです。対策の打ちようがないんですね。


 そのためにライくんはマイカ村に避難を提案したんですね。


 さて次回予告ですが、予定外にマイカ村の人口が増えました。となるとドラゴン族だけの一時的拠点では済まなくなってしまったので、急遽第2期工事をすることになりました。せっかく作った壁が一部取り壊すことにマイカちゃんは激おこ状態でライくんに噛みつきます!

 さらに拡張される様子をお楽しみ下さい。

 なお、明日は夜勤なので朝に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ