6-8.マイカ村、再建が始まる
浮遊大陸を出発したボクたちは、マイカ村に向けて飛び立った。ボクはテオに乗せてもらい、ドワーフの職人さんたちは先遣隊のドラゴン族の人たちに乗せてもらって向かったんだ。そして、マイカ村に降り立ったんだ。
「············」
「ライ?ここが?」
「···うん、サム。ボクが生まれ育ったマイカ村だよ」
「···何もない」
「ウイン、それはボクとテオで後片付けしたからね。それじゃあ、皆さん!あいさつする場所へご案内しますね」
「あいさつする場所?ライ?誰も住んでないんでしょ?」
「うん、コルメ。生きてる人はね」
「···あっ!?···そういうことね」
コルメは気づいてくれたようだね。そして···、ボクが作った簡易な墓地へやって来た。
「ここはボクの両親、そして···、ここの村に住んでいた人たちが眠っています。黙祷してごあいさつをお願いします」
そう言うと、皆さん黙祷してくれた···。ありがとう。
「パパ···、ママ···、それに村のみんな···。今日、この村は生まれ変わります。ここにいる皆さんは、浮遊大陸に避難していた方たちなんだよ···。
この村を拠点に、これから地上の復興に取りかかってくれるんだって。地上に降りるのって650年ぶりらしいよ?その···、最初の地にこの村を選んでくれました。そして···、ボクはこの村の唯一の生き残りとして···、村長に就任します。
村長らしいことはできるとは思わないけど···、できる限りやってみるよ!みんな···。暖かく見守って···、下さいね···!」
「ライ···。意気込みはみんなに伝わったぜ!」
「テオ···。うん!みんな!よろしくお願いしますね!」
「「「「おーーーーー!!」」」」
「けっ···」
マイスちゃん意外は全員やる気だったよ。
さあ!それじゃあ作業を始めよう!
まずは草抜きだ。定期的にボクとテオで草刈りはしておいたので、コルメが火魔法であっという間に焼き尽くしちゃったよ···。灰は無限収納カバンにいったん収納しておいたよ。畑作る際に肥料として使うからね!
次にプレハブ長屋の資材を取り出した。ここからは大工さんたちが一斉に作業に取り掛かったよ。整地については以前にボクとテオでやっておいたので、基礎となる礎石を敷いたうえでしっかりと突き固め、仮の梁を置いて水準器で水平か?を確認してから組み立て始めた。
ドラゴン族の人たちは周辺とここから湖までの水路確保のために木の伐採と開拓をお願いした。パワーがあるからね。もちろん、木は今後の家づくりに活用するよ!
そして広場ではアエスさんが特大の鍋を出して昼食の準備を始めたよ。
「サム!あんた、魔獣狩りに行きたいって言ってたね?」
「ん?あぁ。サボ···、ゲフンゲフン!ちょっと行ってくるわ」
「だったら魔獣の肉を確保しとくれ。こういった場所では食材は現地調達した方がいいからね」
「わかったよ。ウインと一緒に行ってくる」
サムは逃げ出し···、じゃなくて、魔獣退治にウインと一緒に出掛けた。ドラゴン族の人たちが開拓に出掛けちゃったから、ちょうど適役だったね。
さて···、ボクはマイスちゃんの縄をほどいてあげた。
「はい。これで自由だよ。それじゃあ、村周辺に魔獣はいるか?を確認してくれるかな?」
「誰がやるか!縄をほどいてもらったんならおれは自由だ!あばよ!」
そう言ってマイスちゃんは逃亡しちゃったんだ···。ほかのドワーフの人たちも完全に無視してたね。
「ライ?いいのか?」
「まぁ、大丈夫でしょ。このマイカ村から出るのは相当難しいからね」
「確かになぁ~。オレたちは空を飛んで隣のカパーの町へ行ったからなぁ~」
そうそう、そう言えばマイカ村について説明をまったくしてなかったよね?最初はそれどころじゃなくていっぱいいっぱいだったからなぁ~。
それに、テオに乗せてもらって上空から見て初めて知ったってのもあったしね。
マイカ村はいわゆるカルデラだったんだ。周囲を低い山に囲まれているって思ってたんだけどね。くぼんでる場所にマイカ村はあったんだよ。カパーの町へ行く方向に山が途切れて、そこに川が流れてるんだ。
その川も結構急流で、すぐ横に山道があるけども、結構狭いし道もそこそこ急なんだよ。そこを通り抜けたところがカパーの町なんだ。
だから、カパー側からマイカには行こうと思っても道が1本しかない秘境だし、目ぼしいものもないから誰も来ないんだよね。知らない人がほとんどじゃないかな?
マイカ村はほぼ平地で、すぐ横にテオが眠っていた森と湖がある。そこに流れる川の水を使っていたんだよ。
こんな立地だから、魔獣は比較的少なかったんだと思うよ。ボクが住んでた時は柵を越えるような魔獣はほとんどいなかったからね。だから、村を出て魔獣だらけだったのには驚いたもんだよ。
こんなところかな?でも、そもそも村長さんやパパとママはどうしてこんなところに住んだんだろう?何かあるとも思えないんだけどね。もう聞くこともできないけどさ。
なんだかんだやってたら、あっという間にお昼になった。アエスさんの鍋料理をいただいたよ。とってもおいしかったよ〜!
当面はアエスさんが食事のお世話をしてくれるので、とてもありがたいね。
···あれ?そういえばサムは料理って食べたことないね。以前簡単な料理はできるって聞いていたけど···。
「アエスさん?サムって料理できるんですか?」
「できるよ。さすがに私ほどの腕じゃあないけどね。地上に降りる前に仕込んでおいたけど、すぐにサボってたねぇ〜」
「へぇ~!今度はサムの料理も食べてみたいなぁ〜」
「ははは!さすがに私が言ったら嫌がるだろうからね。ライから言ったらやってくれるかもね!」
「そう言えばアエスさんはサムにきつく当たってますよね?何かあるんですか?」
「特にないんだけど、サムは才能あるのにサボり癖があってねぇ〜。私が尻を叩いてやってるのさ。いつまでもこうじゃいけないんだけど、ライと出会ってからは変わったと思うよ」
「そうですか?」
「ああ。やっぱり仲間ができたってのが大きいんだろうね。口ではサボってやるような口ぶりをしてるけど、サムはちゃんと努力するようになってるよ。私に隠れてやってるようだけど、バレバレなんだよね〜。これ、私が言ってたってのは内緒にしとくれよ?あれで隠しきれてるって思ってるようだからね!はっはっは!」
そっか。サムは信頼できる仲間だもんね。ボクにもアドバイスくれたりしてるしね。
午後も作業は続き、プレハブ長屋は共用部分と部屋の区画の組立てがどんどん進んでいった。
そして夕方になり、魔獣狩りや開拓を担当していたドラゴン族の人たちやサム、ウインも帰ってきたんだ。
「う〜ん···。あんまり魔獣いなかったなぁ〜」
「···ここって少ない?」
「少ない方だとは思うけどね。でも、ドラゴン族の人たちは結構狩ってきてるね」
ドラゴン族の人たちはそこそこ狩っていたよ。どうやら村から離れた場所で狩ってたらしいんだ。どうも狩りが思ってた以上に楽しかったそうだ。でもあんまり遠くへ行くと、びっくりされかねないなぁ〜。
「皆さん、お疲れ様でした!遠くに人里があるような場所へは竜モードだと怖がられるので、人型モードでお願いしますね。それではかんぱーーい!!」
村の再建初日はこんな感じだったんだ。明日からは、ボクは『村長としての仕事』をする予定なんだ。
ついにマイカ村の再建が急ピッチで始まりました!浮遊大陸から地上へ降りるための拠点という、新たな役割を担う事にもなりました。これにはライくんのご両親もビックリでしょうね。かつてあった村よりも規模はケタ違いに大きくなりますよ〜。
さて次回予告ですが、マイカ村の再建が始まったので、ライくんは村長としてあいさつ回りに向かいます。事情を知らせないといけませんからね。
まずは最寄りのカパーの町です。すると、冒険者ギルドから通達が来てたようです。どうもライくんたちがギルドを襲ったという情報のようですよ?誤解を解かないといけませんね!
それではお楽しみに〜!




