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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第1章 ライ、村を出る!

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1-8.難民キャンプ

 本日2話目の投稿です。朝に1話投稿していますので、先にそちらをご覧くださいね~!

「えっ!?子どもだけ···?親はどうしたんだい?」



 ···やっぱり聞かれちゃうよね。今度はどう答えようか?


 ボクは正直に答えることにした。ウソついても仕方なさそうだしね。



「住んでた村が魔獣に滅ぼされて···」


「···そうだったのか。よくここまでたどり着いたね」


「ここの北にある町でいろいろ助けていただけましたから」


「ああ、カパーの町か」


「そこで、ここの町は大きいから行ってみたら?って言われたので来ました」


「なるほどね。このあとどうするんだい?ここに住むのかい?」


「···いいえ。旅をしていろいろ見ていきたいって思ってます」


「本気かい!?昔みたいに無事で旅ができる世の中じゃないよ!?」


「大丈夫···、だと思います。魔獣倒した経験もあるので」


「気持ちとしては止めたいんだけど···、その権利はないから止められないんだよなぁ〜。わかった。ここでしっかりと準備してから出るんだよ」


「はい!ありがとうございます」


「旅といえば冒険者だな。ギルドがあるから、そこで情報を仕入れなさい。あと、装備も教えてくれるからな」


「わかりました!」



 ふぅ~。正直に話してよかったよ。身分証のチェックを済ませたら、『マイカ村は滅んだ』って情報がこの町で伝わるんだって。まぁ、訪れる人なんて今までもなかったんだけどね。



 門をくぐり抜けるとそこは···、道の両側の外壁沿いで奥の方へ木の柱にボロボロの布をかけただけの家···、って言えない建物が乱雑に並んでたよ。


 みんな、目が(うつ)ろだった···。この人たちはどうしてこんな目をしてるんだろう?


 そう思ってると、内側の門番さんから声をかけられた。



「ん?キミたちも避難者なのかい?」


「避難者···、どういう意味なんですか?」


「住んでた町や村が魔獣の襲撃で滅んでここまで逃げ延びてきたんだよ。ここ最近、一気に増えてしまってね。どうやら大きな町が滅ぼされたようなんだよ」


「···こんなにたくさんいるんですね」


「人道的観点から外壁の中に入れちゃいるが、こんなにたくさんの人を助けられるほど、この町は豊かじゃないんだ。町の中に入れさせるわけにはいかないから、こうして外壁の際に集まってるのさ。

 いいかい?決して話しかけられても話しちゃダメだ。食べ物とかあげちゃうと、襲われてすべて失うからな。すぐに通り過ぎなさい。私が見てる範囲で何かあれば対処するから」


「···わかりました」



 ボクとテオは足早に通り過ぎた。しかし···、



「きれいな服着てるじゃないかよ···。金を恵んでくれ。あとは食べ物だ!」


「持ってるだろ!?少しぐらいいいじゃないか!」


「この子にミルクあげたいけど出ないの···。何かちょうだい!!」


「オギャー!オギャー!」



 ボクが子どもだからか、人だかりができ始めてきた!



「ライ!気にするな!走るぞ!!」


「う、うん···。でも···」


「キリがないぞ!」


「お前らーー!それ以上近づけば命はないぞ!!」



 門番さんが走って来た。それを見た避難者たちは、慌てて逃げ出したよ···。



「危なかったな···。やっぱりキミたちが子どもだから襲っても反撃されないか、言うことを聞くって判断したんだろうな」


「ご、ごめんなさい···」


「さあ、今のうちに町の中心部へ行きなさい。早く!」


「わかりました。ありがとうございました!」



 後で遺産の知識が教えてくれたけど、こういう場所を難民キャンプって言うんだってね。ただ、アキさんの知識では救援活動が行われるらしいんだけど···、そういった人は見かけられなかったよ。


 この状況じゃ、助けようにも難しいだろうな。確かにボクの無限収納カバンにはたっぷり食料はあるんだけど、さすがに見渡す限り難民だらけだとあっという間になくなっちゃうだろうなぁ〜。


 ···遺産がなかったら、ボクもこうなっていたんだろうなぁ。ボクは···、アキさんに救ってもらった。本当に、運が良かったんだ···。今、改めてそう思ったよ。


 テオの言う通り、今は(・・)この人たちを助けることはできない。どうしたらいいんだろうか?


 そんな事を考えながら難民キャンプを抜けると、外壁まですごくないけど立派な壁と門が見えてきた。町の中に着いたようだった。


 ···って思ってたら建物はまだ見当たらず、あたり一面畑が広がっていたんだ。



「町はもうちょっと先だからね。疲れたんだったら休んでいくかい?」


「じゃあ、ちょっとだけ」


「オレもそうするぜ〜!」



 門番さんから誘われて、ボクたちは門の横にあったベンチに座らせてもらったよ。



「キミたちはどうしてここに来たんだい?」


「村が、魔獣に滅ぼされて旅に出たんですよ」


「···え?逃げてきたんじゃないのかい!?」


「逃げてないですよ?道中の魔獣は退治しましたし」


「はぁ〜、キミみたいな子もいるんだなぁ〜!そういえばもう1人のキミは背中に翼があるね?初めて見た獣人だなぁ〜」


「オレか?そりゃドラゴン族だからなぁ〜」


「ドラゴン族···。って!?昔話で登場する伝説の種族じゃないか!?」


「おう!そのドラゴン族だぜ〜」


「本当にいたんだ···。なるほどね。だったら旅もできるか···」


「はい。テオは強いんですよ〜!」


「おいおい!ライだって相当強いだろ!?」


「ははは!キミたちは息ぴったりだね〜。ここで装備を整えるつもりかい?」


「そうですね。あとは町中を見てみたいです!村から出た事なかったので···」


「なるほどね。宿とかわからないだろ?」


「そうですね。オススメってあるんです?」


「ああ。この道をまっすぐ行くと町の北門に着くんだ。入って7番目の交差点を左に曲がったところに安くておいしい食事を出してくれる宿があるぞ。『まんまる亭』って名前の宿だ」


「『まんまる亭』···。ありがとうございました!行ってみますね!」


「どういたしまして。気を付けてな〜!」



 いい情報が聞けたね!たくさんお金はもらったけど、節約しておかないといつなくなるかわかんないしね。



 歩くこと20分でやっと町にたどり着いた。外壁から中間地点の門まで30分かかったから、結構広く壁で囲っているけど、町の大きさはこの前の町よりも倍以上ってぐらいだね。



「やっと着いたな!もう日が暮れるぜ」


「暗くなる前に宿に行こうか!」


「着いたらメシだな!」


「おいしいって話だからね。ボクも楽しみだよ〜!」



 確か7番目の角を左···、あった!『まんまる亭』って看板が入口の上にぶら下がってたよ。さっそく中に入ろう!



「いらっしゃい!おや?子ども···。坊やたちはどうしたんだい?」


「こんばんは。旅をしてて、途中の門番さんからここの宿がオススメ!って聞いて来たんです」


「ああ!うちの息子だね〜」



 なるほどね!そりゃ宣伝するか。まぁいいや。雰囲気も良さそうだし、ここで泊まろう!



「2泊とりあえずしたいんですけど、空いてますか?」


「空いてるよ。2人一緒でいいなら1泊5000ジールだね。ただし、食事代は別だけどさ」


「いいですよ。じゃあ···、これで!」


「ちゃんとお金持ってるね!ありがとね〜。宿帳に名前書いてくれるかい?」


「はい!」


「もう1人は···、見慣れない獣人さんだね」


「そうだろうなぁ〜。オレはドラゴン族だしなぁ〜」


「へぇ~!初めてみたよ!おとぎ話ででてくる伝説の獣人だよね~」


「まぁ、オレ以外はたぶんいないだろうけどなぁ〜」


「そうなのかい?大変だね」


「ライも一緒だし、今は楽しいぜ!」


「そうかい!じゃあカギはこれだよ。3階に上がって右側にある315の部屋だよ。食事は夕食は午後6時から8時、朝食は、午前6時から8時だよ。食事別だから好きなものを頼んどくれ!」


「ありがとうございます」



 こうしてボクたちは宿に泊まることになったんだ。

 現実世界でも難民キャンプは海外に非常に多くあります。たいがいは政治や宗教対立など、人の手によるものなんですが、今のエーレタニアでは魔獣によって滅亡に追い込まれた人たちが難民となって押し寄せてるという状況です。


 人同士で対立している余裕すらないのです。


 しかも、こうして難民として受け入れられる人もごくわずかでして、道中で魔獣に襲われたり食料が尽きたなどで力尽きる人がほとんどなんです。受け入れられたとしても、どの町も無償であげられる食料の余裕がないというのが実情です。そのために『生きるために奪い合う』という残酷な事が発生しているのです。


 非常にセンシティブな内容だとは思います。本作品は『生き抜く!』とタイトルにあるように、この世界の人々がいかに生きているのか?を書いてみよう!と思って書いたものですので、こういった描写は少なからず登場します。ここまで深く掘り下げるのはこの町だけですけどね。


 あと、ドラゴン族という名前はおとぎ話(リオくんの活躍したお話)で登場するぐらいなんですね。ドラゴン族を本当に見た人はほとんどいません。獣人の中でも翼を持っているのは2種族しかいないので非常に珍しいんですね。


 さて次回予告ですが、宿を確保したライくんとテオくんは夕食を食べようと宿の食堂へ行きますが、ここは食事がついていないタイプだったので注文をしないといけないシステムでした。どうやって頼むかがわからなくてオロオロしていると、酔っぱらったおじいさんが親切に教えてくれたのですが、教えてくれたのは注文の仕方以外にも説教されてしまうことになりましたよ?どういった話なんでしょうね?

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