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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
第5章 順調だった日常の崩壊

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5-16.テオの魂の器

 本日までコロナで仕事をお休みさせていただきました。

 発症5日経ちましたが、まだ本調子ではないものの平熱に戻りました。体の感覚がまだおかしいものの、無理しなければなんとか仕事できそうなので、さっそく明日は夜勤してきます。作者がいないと成り立たない仕事なのでね~。なんとか間に合ってよかったです。

 コルメのおばあちゃんであるノーラさんの魔法で、ボクはテオの魂の器に入ることができた。


 コルメは魔力供給役だ。ノーラさんと血がつながってるので、魔力の波長が合いやすいからみたいだね。



 そこは、何もない真っ白な空間にポツンと噴水があった。


 しかし、その噴水は大きく壊れていた。元は立派だったのだろうけど、壁は石が崩れ、底には大きな亀裂が入っていた。


 噴水の大きさは直系5mぐらいかな?かなり大きいね。


 そして中央には見るも無残なドラゴンの彫像があったみたいで、彫像は落ちて底に砕け散っていた···。彫像が立っていた場所からは水がチョロチョロと湧いていた。



 これが···、魂の器···?



『ライ!もう時間がないわ!』



 おっと!?いけない!まずはこの様子を記録しておかないと!でも、どうやって!?



『ライくん!スマホのカメラ機能だ!録画もできるよ!』



 アキさん!?遺産がボクにアドバイスしてくれたよ!急いでスマホを取り出して、カメラ機能を起動して写真を撮りまくった!


 最後は録画だ!少し急ぎ足で噴水の周りをグルっと回って撮影した!


 1周したところで、ボクはノーラさんの家に戻っていたんだ···。すかさずコルメが聞いてきた。



「ライ!?どうだった!?」


「う、うん···。ちゃんとテオの魂の器に行けたよ」


「良かったわ!だいたいさっきので2分ってとこかしらね。コツをつかめたらもうちょっと長くいけるわ!」


「コルメ!あたしの事を考えてないね!?あんたはよくてもあたしが厳しいよ!かなり繊細な魔力調整が必要なんだ。かなりの集中力がいるし、あたしも訓練しないと長続きしないよ!」



 やっぱり負担がキツいんだね···。これは可能な限り行く回数を減らさないと···。



「さて、ライ···、だったね?どんな様子だったかい?」


「スマホで写真と録画してみました。これです」



 ボクはスマホで撮った写真をみんなに見せた。



「こいつは···!?こりゃひどすぎる。修復には相当時間がかかるね」


「やっぱり···」


「これは根気よく、じっくりとやる必要があるね。···よし、ライ!あんたは明日から造園屋に弟子入りしてきな!」


「···えっ!?弟子入りですか!?」


「そう。あんたはこの噴水すべてを治せるようにならないといけないんだ。さっきやったことないって言ってただろ?造園屋に行って、どうやって直すか聞いて、やり方を教えてもらいな」


「は、はぁ···」



 これは大変そうだ···。魔法でなんとかできればいいんだろうけども、そうはいかないようだね。でも、これでテオを治す方法が確立された!あとはボクがテオの魂の器をきれいに治してあげればいいんだよ。


 ···あっ!?そういえば···、



「ノーラさん?造園屋さんって、どこにあるんですか?」


「この本家のあるドラグから北へ向かったところにホルテって町がある。この町は浮遊大陸ができた当初からある古い町でね?古代の技術を持ったドワーフっていう小人の職人たちが住んでいるのさ。地上ではいない種族だね」


「そんな方たちがいるんですね?わかりました!今から行ってきますね!」


「待ちな!もうすぐしたら夕方だ。明日でいいんじゃないかい?」


「そうですね···、そうします。明日向かうとして、今日はどうしようかな?」



 そう、宿はどうするかを考えてなかったよ。宿なんてないだろうから、誰かの家に泊めてもらわないといけないかな?すると、ウインから提案があった。



「···サムの家に泊めてもらう」


「えっ!?うちにライを泊めるのか!?」


「···サムの家は有名な飲食店」


「そういえば以前にそんな話を聞いたね」


「確かにそうだけどよ···。あんまりオレ、母ちゃんに会いたくないんだけどなぁ~」


「え?どうして?」


「···サムは悪ガキだから、いつもアエスさんに怒られてる」


「そうだったんだ···」


「うちじゃなくて、ウインの家でいいじゃねえかよ!?」


「···メシマズ。···絶対サムの家がいい。···死にたくなければ」


「そ、そうなんだ···」



 それもどうかと思うけどさ···。結局サムの家に泊めてもらうことになったんだ。ウインが強引に押し切っていたね。


 そうしてボクたちはサムの家にやってきた。かなり大きなお店で、看板に書いてある名前は『ハンティング・アイ 浮遊大陸店』だった。···ほかの場所にもお店があるのかな?夕食の時間だからか、お店の前には長い行列ができていたよ!



「すごい混んでるね~!サム?人気店なんだね?」


「まあな。浮遊大陸中からわざわざ食べにやってくるぐらいだからな」


「···絶品ばかり」


「あたしも何度か来てるけど、ホントおいしいのよね~!」


「僕は初めて来ましたから、楽しみですよ~!」



 トルムは初めてらしいね。さて···、どうやって中に入ろうか?行列に割り込むのもちょっとなぁ~。そう思っていたら、サムはお店の裏側へ向かって歩いて行った。


 そこには裏口があったんだ。そしてノックもせずに裏口を開けた!すると!?何かがサムめがけて飛んできたんだ!!



「うぉっ!?」



 飛んできた何かを代わり身でとっさに受けたサム。なんだか慣れてるなぁ~。そしてよくよく見てみると、飛んできた何かは···、包丁だった!!



「今日は包丁かよ!?どんどんエスカレートしてきやがったな!?」



 おぉ···、怖いなぁ~。前からいろいろ仕掛けしてて、ついには刃物が飛ぶようになっちゃったのかぁ~。どんなお母さんなんだろうね?そう思ってると、厨房から大声が聞こえてきた!



「誰だい!?注文だったら表からやりな!みんな並んでるんだ!次は命はないよ!?」



 いや···、包丁飛んできてる時点でサム以外だったら命ないんだけど···。怖い人なんだなぁ~。そんなお母さんに恐る恐るサムは声をかけたよ。



「た、ただいま~、母ちゃん」


「あん!?誰かと思ったらサムかい!?帰ったんなら店手伝いな!表で待ってる客がいるんだ!さっさとしな!」


「母ちゃん!今日は客がいるんだ!手伝いはできねえって!」


「あんたはバカか!?客なら外にもいるってさっきも言っただろ!特例は許さないよ!!」


「···はぁ~。みんな、悪い。ちょっと今忙しすぎて対応できそうにないみたいだわ」


「そ、そのようだね···」


「しゃあないから、ちょっと手伝って早めに食べれるようにしてくるぜ」


「う、うん。頑張ってね」



 飲食店の厨房って、昼食や夕食の時間帯って戦場だって聞いたことがあるけど、ここはまさにその通りだったよ。サムのお母さんはなんと分身の術で8人になって厨房を行きかっていたんだ!店内ではサムのお父さんがこっちも分身の術で4人になって料理を運んだりテーブルを拭いたりお会計をしていたりしていたんだよ···。


 そう、ご両親2人で12人分働いていたんだ!なんでほかの人を雇おうって考えないんだろうね?



「おや!?サム!帰ってきたんだね!さっそくだけどこれを13番へ持っていって!」


「親父!いきなりかよ!?」


「最近ぎっくり腰になって分身の術が甘くて、料理を落っことしてしまいやすくてなぁ~。それじゃあ、今日は楽させてもらうとするよ」


「おいコラ!親父!?サボんじゃねえぞ!?」


「お~い!料理まだか~!」


「くそっ!ちょっと待ってろ!すぐに持っていくぞー!」



 店内ではサムが入ったとたんにお父さんが分身の術をといてレジカウンターに引きこもってしまった···。店内ではサムが8人に分身して料理やお客さんをさばきだしたよ···。



「ウイン?これが?」


「···ん。···サムの家の日常」


「すごいなぁ~」



 そうして1時間ほどボクたちは裏口からお店の様子をみていたんだ。めまぐるしく変わっていく状況をみているだけであっという間に時間が過ぎてしまったんだよ。

 テオくんの魂の器も相当崩壊していましたね。前作のリオくん同様の状況でした。これからライくんはしっかりとガーデニングの腕を磨いてテオくんの魂の器の修繕に取り掛かりますよ~!どんな結果になるかはご期待ください。

 そしてサムくんの実家とご両親が本編に登場しました!不審者には包丁を投げつけるというかなり恐怖な対応をしてきましたね。なかなか豪快なお母さんです。

 そしてぎっくり腰持ちのお父さんも登場しました。2人で分身して飲食店を経営してるんですよ。前作のナツちゃんのお店を1000年引き継いでますので、味も最高だからファンが多いんですよね。


 さて次回予告ですが、店内の客がさばききった後にライくんたちもアエスさんの料理を食べることになりましたが、名前だけで判断して注文するとすごい料理が出てきました!ちゃんと全部食べ切れるのでしょうか?


 明日は病み上がりなのにいきなり夜勤なので朝に投稿します。

 それではお楽しみに~!

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