5-14.浮遊大陸に上陸するよ!
本日もコロナで寝込んでおりますぷちきゅうでございます···。だいぶ良くなってきましたが、それでもフラフラですね。
本来なら今頃クルージングでおいし~!夕食を食べてのんびりしてるところなんですけどね···。
ちなみに旅行当日に体調を崩したのは人生初です。これ、旅行中に発症してたら大変なことになってましたから、そういう意味では不幸中の幸いでしょうか?船内で発症したら海上保安庁出動案件になって大迷惑をかけてしまいますからね。
もう寄る年波には勝てんということでしょうか?
次の日、天気は大荒れだった。
さすがに建物に被害が出るような暴風雨ではなかったけど、窓がギシギシと鳴ったり雨が激しく打ち付ける音がずっとしていたんだ。
テオはボクのとなりのベッドの上で丸くなって寝たままだ。あれから起きることもないんだよ。
飲食もせずにただただ寝ているだけなんだ。コルメの話によると、危機的状況に陥った場合にドラゴン族は冬眠のような状況になる事があるらしいんだ。今のテオを見ていると、どうもその状況になっているようだね。
ボクは小さい猫の姿に縮んでしまったテオの背中をなでてあげる。モフモフ感だけは竜モードのテオとまったく同じだったよ。
テオ···。ボクがちゃんと治してあげるから。もう少しだけ我慢してね。
次の日···。
昨日の暴風雨がウソのようなほどきれいな青空が広がっていた。遠くのほうに雲があって、どんどん遠ざかっているのがわかるよ。あそこに浮遊大陸があるんだろうね。
ボクたちは宿をチェックアウトして、町の外にやってきた。今回はトルムとコルメに乗せてもらって浮遊大陸を目指すんだ。トルムにはサムとウインが、コルメにはボクが乗せてもらったよ。
「それじゃあ行くわよ~!」
「うん!コルメ、お願いね!」
町の外で黒竜と赤竜が飛び立った。ある程度の高度まで上昇したら高速飛行魔法でさらに上昇していく!
どんどん地上の風景が小さくなって、空の青が濃くなってきた。目の前には巨大な壁となった分厚い雲が立ちはだかっているように見えるね。この雲はある高さで平坦になっていて、コルメはその頂上を目指してさらに高度を上げた!
そして、巨大な雲の頂点に到達すると、そこから水平飛行に移った。しばらくすると、雲のへこんだ部分に大地が見えてきたんだ!
「コルメ!あそこが浮遊大陸なんだね!?」
「そうよ!まぁ『大陸』って言葉を使ってはいるけど、地上の大陸と比べたら小さいけどね~!」
「どこに降りるの?」
「いきなり本家に向かいましょう!その方が話が早いわ!」
「わかった!よろしくね!」
どんどん浮遊大陸に接近していくと、どんなものかが明らかになっていった。
大きな山もあるし、森に川や湖、草原もあったよ。いろんなところに町があり、森の中にはドラゴン族が住んでいると思われる集落のようなものもあった。建物が他と違って大きかったからそうなんだろうね。
そしてコルメはドラゴン族の集落を通り過ぎてとある普通の町の入り口の手前で降り立ったんだ。
「ふぅ~!ひさしぶりに帰ってきたわね~!ライ?どうかしら?初めての浮遊大陸は?」
「···うん。地上とあんまり変わらないね」
「そうよね~。ここは昔の地上の人々の避難先になっていたから、あんまり変なつくりをしていないのよ。ただ、ドラゴン族や神狼族が避難してからはちょっと変わったらしいわよ?」
「へぇ~、そうなんだね」
「そういえば僕もここに来るのは初めてなんですよ」
「トルムは来たことないんだね?」
「そうなんですよ。僕は集落出身ですからね」
「お~い!そろそろ行くぞ!話を聞きに行くんじゃねえのかよ?」
「あ!ごめん、サム。そういえばサムとウインの家ってどこにあるの?」
「ここだぞ」
「えっ!?そうなんだ」
「ご先祖は本家のドラゴン族とともにいたからな。賢者の遺産の知識にもあるだろ?」
「実はアキさんの記憶はあんまりないんだよね。知識はあるんだけどね。だからそのあたりはわかんないんだよ」
「そうなのか?まぁ、そのあたりの話も聞けるだろうよ」
「そうなんだね。それじゃあ案内してくれる?」
「わかったぜ。コルメ、とりあえずドラゴン族の本家でいいな?」
「そうね!久しぶりにおじさまにもごあいさつしておきたいしね~!」
そうしてボクはみんなに連れられて町に入ったんだ。
町の中は賑やかだった。主にドラゴン族が多いんだけどね。見たことのない獣人の人たちもいるよ。昔から浮遊大陸に住んでた種族の人たちなのかな?
町の中心部から少し離れた場所に、そのお屋敷はあった。
「ここが本家が住んでるお屋敷ね。さあ、入りましょう!」
コルメが先頭で中に入っていった。中にいたのは白銀竜だったね。テオ以外で初めて見たよ。
「あらあら!コルメちゃんじゃないの!?久しぶりね~!」
「ブランおばさん!帰ってきたわよ~!」
「お帰り~!あとはサムくんとウインちゃんもいらっしゃい!そちらの人間と黒竜くんは初めてね~。私はブランって言うのよ。よろしくね~!」
「初めまして。ボクはライと言います。『賢者の遺産』の継承者なんです」
「初めまして。黒竜のトルムです」
「まぁ!?ついに賢者の遺産が継承されたのね!それは素晴らしいことね~!」
「はい。それで、こっちが···。賢者の遺産の管理者であるテオです」
「なんですって!?話には聞いていたけど体があって生きていらっしゃるのね!?」
「そうなんですが···、ちょっとしたトラブルのせいで起きなくなってしまったんです···。それで治療する方法を探すためにここに行くよう賢者の遺産に言われたんです」
「わかりました。じゃあ、夫を呼んできますね。そちらの部屋で少し待っててくれるかしら?」
そう言ってブランさんはボクたちを部屋に案内してくれたんだ。しばらくしたら、ブランさんがもう1人のドラゴン族の人を連れてきたんだ。
「コルメ!久しいな~!」
「アルブおじさま!久しぶりですね~!」
「ははは!地上に武者修行にでかけたとロゼから聞いた時はびっくりしたが、元気そうでよかったぞ。そして···、キミが賢者の遺産の継承者だね?私は本家の当主であるアルブという」
「はい。初めまして。ボクはライと言います」
「妻から話は聞いた。ライさんが抱いているのが···」
「はい···。賢者の遺産の管理者であるテオです···」
「···うむ。私からすれば数世代前の先祖にあたる方だな。私も話だけは聞いていて、こうしてお会いするのは初めてなのだよ。しかし···、トラブルでその姿になっているとの事だが、何があったのか説明してもらえるだろうか?」
「はい。実は···」
ボクはレクトの国での魔獣同化能力者たちとの戦いについて説明したんだ。そして、テオが傷ついたボクを救うために禁断の技である『アニマ・ルイナ』を使用してしまってこの姿になったという話をしたんだ。
「なるほどな。地上では災厄戦争の遺産がまた猛威を振るいだしたのだな」
「はい。非常に強くて、ボクたちでは厳しい戦いになりました」
「そこまでか···。その話はまた後でするとしようか。先にテオ様を回復させることが先決だな。先ほどライくんは賢者の遺産がここに行くよう助言したとのことだが、治療法は知っているのか?」
「はい。テオのこの状況は『魂の器』が崩壊しているからだそうです。治療するにはテオの魂の器の中にボクが入って、ガーデニング資材を使って修理すればいいそうです。でも、ボクがその魂の器に入るためには別の人に手伝ってもらわないといけないそうなんです。そこで、この浮遊大陸でそういった魔法が使えそうな人はご存じないでしょうか?」
「そういう事か。確かに我が家にある偉大な先祖であるリオ様が書いたとされる秘伝書には、アキ様が自分を治してくれたという記述はあったが、そこまで具体的に書いてはいなかったのだ。治される側だったから詳細がわからなかったというのもあるのだろうがね。となると···、そういったことに精通する人物には一人だけ心当たりがあるぞ」
「えっ!?そうなんですか!」
「ああ。コルメの祖母であるノーラばあさんだな」
「えっ!?うちのばあちゃんができるの!?」
意外なことにコルメのおばあちゃんができるらしいよ?
浮遊大陸にやってまいりました!
ドラゴン族と神狼族は災厄戦争から避難してきましたので、既存の町ではなくて別に町が新設されたんですね。もちろんドラゴン族だけの集落もあるのは番外編で黒竜の集落が登場しましたね。
ほかの種族と交流するドラゴン族が町を造り、そしていろんな種族が交流しているのがこの町なんですよ。
さて次回予告ですが、魂の器を修繕できる魔法使いはコルメちゃんのおばあちゃんでした!
さっそく向かうと、今すぐに治療はできないって言われちゃいましたよ!?どういうことなんでしょうか?
それではお楽しみに〜!




