5-13.しばらく浮遊大陸に出かけるので留守にします
今日から3連休!そして夏休みが始まりましたね〜!
作者も仕事終わりからお出かけを予定していたのですが、昨日夜から高熱が出まして···orz
医者にかかったらコロナでした···。かなりきつくて身動きとれないぐらいですが、投稿だけはなんとかしますのでご安心ください。
今日からの旅行が急遽中止になってしまいました···。猛暑でやられちゃったかなぁ~?皆様もお気を付けくださいね。
「···ライ。···意識が戻って良かった」
「ライ!治って本当に良かったですよ!」
「心配させちゃって···。もう大丈夫なの?」
「ウイン、トルム、コルメ···。心配かけてごめんね。ボクはもう大丈夫だよ。でも···、テオが···」
「「「「············」」」」
「でも、大丈夫!賢者の遺産の知識にはテオを治す方法があったんだ!」
「本当ですか!?」
「だったらすぐに治しましょう!」
「それが···、『魂の器』に入る魔法を使える人が必要なんです。地上にはいないらしいので、浮遊大陸にいるんじゃないかと···」
「なら話は早いわ!明後日に出発しましょう!」
「えっ!?コルメ、そんなに早く!?」
「何よ?急いだほうがいいでしょ?それに···。今日はこのあと天気が荒れるわ。浮遊大陸がちょうど近くに来てるのよ!いいタイミングじゃない!」
「そうなの!?」
「はい。ですから、明後日の午後あたりに飛び立ちましょう!」
というわけで、急遽明後日に浮遊大陸に行くことになったよ。
テオ···。絶対に元に戻してあげるからね!
1週間も寝ていたので、体が思うように動かなかったよ。あのあと、サムにボクのケガの程度を聞いたらびっくりしたよ···。首の骨まで折れていただなんて···。
テオが回復魔法をかけ続けてなんとかボクの命をつないでくれていたそうだ···。魔力切れになってしまう直前でアニマ・ルイナを使ったらしいんだ。
テオが命をかけて救ってもらったんだ!もう、こんな事にならないようにしないと!
外は黒い雲に覆われて雨が降り出した。黒い雲って言っても不吉な雲の感覚じゃない。
浮遊大陸は姿を隠すために嵐を常時まとっているんだ。だから、この雨は浮遊大陸が近づいている証拠だ。
風雨がきつくなる前に、ボクはギルドに向かったんだ。心配してるだろうからね。
ギルドに入ると、ポーラさんがすぐに気づいたよ。
「ライくん!?やっと起きたのね!」
「ポーラさん···。ご迷惑おかけしました」
「もう、大丈夫なのね?」
「ちょっと寝っぱなしだったので体が重いですけど···。大丈夫ですよ」
「そう···。ちょっといい?話しておくことがあるわ」
そう言っていつもの会議室へ案内された。すると、カソドさんが入ってきたよ。
「ライくん。もう大丈夫とのことだが···」
「カソドさん。ご迷惑おかけしました···」
「いや、謝るのはこっちの方だ。まさかあんな事になっているとは思ってなかったのでな···」
「それはボクも同じです。全力で向かえば倒せるはずだったんですけど···。以前戦った敵とはケタ違いに強かったです」
「詳しい事はわからないのだが···。以前ライくんと戦ったのはどんな人だったのだ?」
「ごく普通の人でしたね···。言動が魔獣になってて人を食うと言ってることだけが異様でした」
「···となると、元の人間の質によって強さに差が出るのかもしれんな」
「そうか···。ボクの相手は冒険者でした」
「サムに聞いたら、Cランクらしい。ちなみに、トルムが戦った相手は幼い少年だったそうだよ」
「そんな子まで···!?」
「トルムは重傷を負いながらも、全力で戦ってなんとか倒せたらしい。何かしら才能があったのかもしれんな」
「そうですね···」
「あとはサムたちの相手だな···。信じられんことに、人の形ではない肉片から再生しようとしたそうだ···」
「そんな···」
「···どちらにせよ、このままではレクトは魔獣同化能力者たちの国になるのは時間の問題だ。いや···、もうなっているというべきかもな···。この時点で冒険者ギルドという組織は壊滅したと言って差し支えないだろう」
「···申し訳ないです。こんな事になるなんて···」
「いや、どのみちこうなる運命だったのだろう。···ただ、ライくんたちのおかげで我々は事前に知ることができた。これはものすごく有利な事だよ。今後、中央からの指示はすべてワナだと気づいているからね」
「············」
「落ち込むことはない。誰しも失敗はあるものだ。むしろ···、ライくんは失敗が少ない。失敗はつらいものだが、失敗していない者ほど立派な人間にはなれんものだよ」
「そういうものですか···?」
「ああ。ところで···、テオくんの事だが···」
「···テオはボクを助けるために自分を犠牲にしました。今度はボクがテオを助けるために動こうと思います」
「そうか···。何か当てはあるのだな?」
「はい。賢者の遺産が教えてくれました。そのために、ボクはしばらく浮遊大陸に出かけるので留守にします。もうすぐこの近くを通るようですので」
「そうか···。実在しているとはテオくんから聞いてはいたが、こうして近くに来ていると思うと想像できんな···」
「ボクは一度見たことがありました。飛んでもらってみたのですが、すごいとしか言いようがなかったですね」
「そうか。気を付けて行ってきなさい。こちらの事は心配しなくてもいい。なんとか、かわし続けてみるよ。次に会うときは元気なテオくんと一緒にな!」
「はい!ありがとうございます!」
このあと、ポーラさん、イグニスさん、バンドさんにもあいさつをしてボクは宿に戻った。
外は雨と風が強くなりだしてきた。みんなボクの帰りを待ってくれていたようで、一緒に食堂で夕食にすることにしたんだ。
「ボク、以前にレンに乗せてもらって浮遊大陸を離れた場所から見たんだけど、どんなところなの?」
「地上とあんまり変わらんぜ?まぁ、さすがに海はないけど、大きな湖もあるしな!」
「···魔獣はほとんどいない。···出たら取り合いになる」
「浮遊大陸はその昔、異世界からの侵略によって今みたいに魔獣が地上であふれかえった時に神が人々の避難先として用意したものだそうです。ですので、僕たちドラゴン族以外にもその時代の人々も住んでいるんですよ」
「レンの一族である金竜はその浮遊大陸の警備を主にやっているわ。といっても、魔獣はほとんどいないから警備といっても浮遊大陸での治安維持ばかりね」
サム、ウイン、トルム、コルメが説明してくれたよ。確かに賢者の遺産の知識でも浮遊大陸の情報はあるんだよね。ただ、その情報はアキさんの時代の情報だから古いままなんだ。
「ところで、魂の器を治せるような大魔法を使える人って心当たりある?」
「う~ん···。聞いたこともねえんだよなぁ~。母ちゃんと父ちゃんなら知ってるかなぁ~?」
「···私は知らない」
「僕も聞いたことないんですよ···。僕の集落はあんまり人がいないので···」
「あたしも聞いたことないわ···。でも、テオの実家である『本家』なら知ってる人がいるかもしれないわよ?」
「え?本家?」
「ドラゴン族には集落に住んでいる人と、住んでいない人がいるの。もともと集落に住んでいなかった人たちが集落以外に住んでるのよ。テオはおそらく『本家』と呼ばれているところが出身よ。そこはかつて神の遣いでもある元整調者の人の直系の人がいるから、なにか知ってると思うわ。ちなみにあたしも元をたどれば本家なんだけど、あんまり行かないのよね~」
「じゃあ、そこへ案内してくれるかな?」
「いいわよ!出発は明後日だから、それまでライは体を休めておきなさい。治ったと言っても重傷だったんだからね!」
「うん!ありがとう!」
浮遊大陸···。いったいどんなところなんだろうね?
ライくんが浮遊大陸へ出かける前にあいさつ回りをしておきました。次回以降は浮遊大陸でのお話になります。
前作ではあんまり浮遊大陸の様子があんまり出せませんでしたが、本作ではいろいろと行きますし、新たな出会いもあります。ご期待いただければと思います。
さて次回予告ですが、ライくんたちは浮遊大陸へ向かいます。まずはドラゴン族を取りまとめている『本家』と呼ばれる場所へ向かいます。そこで魂の器を修繕できる大魔法使いの話をすると、意外な人物ができるようですよ?誰なんでしょうか?
お知らせですが、コロナに罹患してしまったために明日更新の活動報告はお休みさせていただきます。
それではお楽しみに〜!




