1-7.テオの実力
昨日の6話一挙投稿に続き、本日は日曜なので朝と夜に1話ずつ投稿しますよ~!
ボクとテオは歩いて街道を南に向けて歩いていた。
飛んでいった方が速いんだろうけどね。そんなに距離もないみたいなので、歩いていくことにしたんだ。
ボクの村からさっきの町までの道は荒れてて歩くには厳しかったからね。村長さんの馬車しか通ってなかったしね。
町を出て1時間。少し道が拓けた場所があったので、ここでいったん休憩することにしたんだ。
「ふぅ~、ここまでは魔獣がいなかったね」
「あんな凶暴な魔獣が近くにいたら、他の魔獣は怖がって離れるだろうからな。しばらくは大丈夫だと思うぜ」
「そっか。賢者の遺産にあった『スマホ』って光る板に『魔獣レーダー』って機能があるんだけど、この周辺にはいなさそうだよ」
「おっ?ライも遺産の使い方がだいぶわかってきたな!」
「このスマホだけはなかなか難しいんだけどね。それもだいぶ慣れたよ」
そう、この『スマホ』なる神器はいろいろな情報が得られる便利なものだったんだ!
ただ···、使えない機能も実はあるんだ。『地図アプリ』がそうだね。表示されるのはアキさんの時代の地形なんだよね。今とは全然違ってるんだよ。これも戦争のせいなのかな?他にも今は使えない機能もあるんだよ。
ただ、魔獣レーダーは重宝してるよ!あとどれくらいで魔獣と出会うか?がわかるんだ。あとはカメラ!見たままが絵になるのはすごいね!いろいろ撮ってみよう!
お湯を沸かしてお茶を飲んでると、テオが聞いてきた。
「なあ、ライ?この前戦った時に目が金色に輝いてたんだけど、あれも遺産の魔法なのか?」
「えっ···?そんな事になってたの?ボク、気づかなかったよ」
「まぁ、目の色なんか分からないよな〜」
「ん〜···、あの時はボクもいっぱいいっぱいだったんだよなぁ〜。でも···、不思議と力が湧いてきて、『こうしたらいい』ってのが思い浮かんだんだよ」
「ということは···、遺産の知識以外にもアキさんの戦闘の経験なのかもな」
「そうかもね。···ホント、ボクは遺産に助けられてるなぁ〜」
「ライの役に立ってるならご先祖様も喜ぶだろうな!」
もしかしたら、本物の戦闘になった時にこうなるのかなぁ〜?まだまだ遺産には何かありそうな気がしてきたよ。
休憩も済ませて、ボクたちは街道を進んでいった。ここから先では魔獣レーダーに反応があったんだ!街道の近くにもかなりの数がいたんだ。
「テオ?少し道から離れたところに魔獣がいるね。倒しておこうか?」
「そうだな!じゃあオレも付き合うぜ!」
道から少し離れた森の中にかなりの数の魔獣がいることがレーダーで判明したんだ。道に近い位置にいるって事は、通る人を襲おうって事だね。そうはさせないよ!
森に入る手前で立ち止まりボクたちは身体強化魔法で高くジャンプし、太い木の枝の上から目にも身体強化魔法を使って遠くを見えるようにした。
「テオ?なんか犬っぽい群れがいるね」
「おそらく道で襲った獲物を食べてるんだろうな。すぐ近くにボロボロの馬車っぽいのがあるぞ」
「···ホントだ。こんな道から離れたところまで引きずったんだね」
「もしくは群れで後ろから追いかけられてここまで誘い込んだのかもな。頭がかなりいいっぽいから気をつけろよ」
「···うん。さて、どうしようかな?」
「魔法は使わないだろうから、遠距離攻撃で倒せるだけ倒すのがいいな。ちょうどいいから、オレがやるよ」
「わかった。お願いね」
「よーく見とけよ〜!···ストーンショット!」
テオは小さなとがった石の弾を1発だけ作って、群れの後ろの方の魔獣を狙い撃ちした!
バシューーン!
撃ち出した音はなくて、高速で飛んでいく弾が空気を引き裂くような音をしながら飛んでいき···、頭に当たった!
当たった魔獣は声も出さずに倒れてしまった。だから、周囲は狙われてるとは気づいてなかった。
どうやら最初の1発はお試しだったみたいだね。テオはニヤッっとして立て続けに撃っていった!!
気づかれたのは半分くらいの10匹以上倒してからだった。食べるのをやめて周囲を探し始めたよ。まだ気づかれていない。
そしてテオはまた撃って1匹を仕留めた!この時点でどの方向から撃ってきたかがバレてこっちを見られた!
「さすがに今ので気づくか···。かかってきな!」
「「「「ガウッ!!」」」」
魔獣がこっちに向けて走ってきた!でもテオは落ち着いていた。今度は迫ってくる集団の先頭を狙った!
「キャンッ!!」
「まっすぐ向かって来ると的になっちまうぜ〜!」
どんどん撃っていき、残り3匹がボクたちのいる木の真下までやって来た!
「魔法だけじゃないぜ!ドラゴンクロー!!」
シャキーーン!!
テオの爪が伸びた!?木から飛び降りたテオはそのまま伸びた爪を振り下ろした!
ザシュッ!!ザシュッ!!ザシュッ!!
あっという間に魔獣を切り裂いちゃったよ···。すごい···。これがドラゴン族の強さなんだね···。
「ふぅ~。この体は思った以上に調子いいな!体調崩す前以来だから、数百年ぶりに狩りをやったなぁ〜。ライ?魔獣は近くにいるか〜?」
「もういないよ!さすがだなぁ〜!」
「ははは!まぁ、魔法がメインだが多少はこうして近距離戦もできるぜ!」
「爪が伸びてたもんね。斬れ味良さそうだなぁ〜」
「そもそもドラゴン族は魔獣を狩るためにいたようなものだからな。まぁ、竜モードで戦うのがほとんどだけどな。人型だとそこまで強くはないしなぁ〜」
「そうなんだ。それでテオ?倒した魔獣はどうするの?」
「革とかの素材は売れるから、持っていくほうがいいぞ。それに、放っておくとゾンビ魔獣になってしまうしな」
「うわぁ~、それは怖いね。じゃあ、無限収納カバンにしまっちゃうね〜!」
どうも素材が売れるようなので、ちゃんと回収しておいたよ。きちんと片付けもしないといけない!って事だね。
収納し終わると、スマホからピコーン!って音が鳴った。見てみると『自動解体中 残り1時間』って表示されてたよ。どうも無限収納カバンに魔獣を入れると解体してくれるみたいだね。これはすごく便利じゃないかな?
そして、夕方前にダイナモの町にたどり着けたよ〜!かなり背の高い、頑丈そうな石でできた外壁が横一面に広がっていたよ。魔獣対策なのかな?ここはどんな町なんだろうね?
早速門で町に入る手続きをしよう!4組ぐらい並んでたよ。
「おや?子どもだけ···?坊や、何があったんだい?」
前に並んでるおばさんから声をかけられちゃったよ。えっと···、どう答えたらいいかなぁ〜?
そう考えてたらテオが答えてくれたよ。
「オレたちは旅をしてるんだ。こう見えてもそれなりに魔獣は倒せるから心配いらないぞ。ここまでの道中でも見かけたら倒しておいたしな!」
「へぇ~!それはすごいじゃないか!武者修行ってやつかい?」
「まぁ、そんなもんだぜ!」
おぉ〜!テオすごい!ウソは言ってないよ。全部本当だからね。
「でも、町の外は危険だらけだからね。魔獣以外にも山賊たちもいるから、気をつけるんだよ」
「ありがとな!おばちゃん!」
そんな感じで話をしていたら、ボクたちの番になったよ。
「えっ!?子どもだけ···?親はどうしたんだい?」
···やっぱり聞かれちゃうよね。今度はどう答えようか?
テオくんは魔法が得意なカークくんの子孫なので、どちらかといえば魔法が得意です。だからといって格闘ができないわけではありません。ドラゴン族は力も人に比べて元々強いので、格闘もできるんですよ。
ただ、一般的なドラゴン族に比べれば非力ってだけです。そこは魔法がカバーしてくれていますからね。
さて次回予告ですが、ダイナモの町にたどり着いて門をくぐって壁の内側に入りました。するとそこには周辺の国や町から逃れてきた人たちが大勢いる難民キャンプとなっていたのです。あまりにも多くて救援物資がいきわたっていないようで、ライくんにも物乞いが集まってきて大変なことになりかけてしまいます!その様子を見たライくんはどう感じたのでしょうか?
次回は本日夜に投稿します。お楽しみに~!




