番外編-18.コルメ、魔獣相手に魔法の実験をする!
「死ねやぁーー!!」
クランの集落でもらった依頼金を持って逃げるだけではなくて、魔獣寄せを集落に仕掛けて故意に滅ぼして集落の金品を巻き上げようとした冒険者たちを、たまたま発見したの。
まったく···、人族同士でやり合ってる場合じゃないでしょ?こういう輩には『教訓を与える』って秘伝書にも書かれていたわね。せっかくだからその通りにしましょう。
まずは剣で斬り掛かってきたわ。ノーガードで受ける!
パッキーーン!
「···え?剣が···?」
「そんなナマクラじゃあたしにはキズ1つつかないわよ?よくそんな武器で魔獣退治してたわね」
「バケモノかよ!?だったらオレの武器で!」
もう1人が斧で斬り掛かってきた!でもね?
バキッ!!
「なんだと!?柄が折れたぁ!?」
「だったら私が!ストーンランス!!」
次は魔法ね?弱っちいわね···。
ドカッ!!
「ウソ!?最強魔法なのに!?」
「···それ、マジで言ってるのかしら?この程度で?」
「な、なんなんだよ···?テメエは何者だ!?」
「あたし?赤竜のドラゴン族よ」
「「「ドラゴン族!?」」」
「そ。ドラゴン族はね?『竜気』っていう固有能力があって、大半の武器は通用しないわよ」
「な!?なんだって!?」
「で、あたしは魔法が得意なのよ。さっきのストーンランスだったかしら?あたしが撃つと···」
ズガーーーン!!
さっきの女が撃ったサイズのままで近場の岩に向けて撃ったのよ。岩が木っ端みじんになっちゃったわね〜。
「あ···、あ···」
「か、勝てねえ···」
「こ、殺される···」
3人とも腰抜かしちゃったわ···。戦意喪失してるわよ···。この程度でビビるなんて情けないわね〜。
とりあえずバインド魔法で簀巻きにして、集落に持って帰ったのよ。
「コルメさん!冒険者さんを助けてくれたんだな!」
「あ〜。クラン、そうじゃないのよ」
「え?どういう事?」
「実はね···」
あたしが本当の事を話すとびっくりしていたわ。まぁ当然ね。というかクランはあたしが悪冒険者を引きずって帰ってきてるのに『助けた』って言ったわね···。どうしてそう見えたのかしら?
慌ててクランが長さんを連れてきた。長さんもびっくりしていたわ。
もちろん、魔獣退治は終わったことも話しておいたわ。
「コルメさん!ありがとうございました!なんとお礼を言っていいやら···」
···あの〜、それはもうちょっと後でもいいのよね。もう一つ片付けないといけない事があるのよ···。
「まだ終わってないわ。こいつらが仕掛けたっていう魔獣寄せの問題があるわよ」
「そうだった!おい!どこに仕掛けた!?」
「も、もうムダよ···。あれは蒸発するクスリだから···。わ、わたしたち···、死ぬの?」
「自業自得だろ!?今さら命乞いかよ!?」
「クラン、大丈夫よ。あたしが殲滅してあげるわ!」
「コルメ···」
「うんうん!たっくさんこっちに向かってるわね!これだけいたらやりがいありそうね〜!」
「···え?」
「みんなは集落から出ないように伝えて。よろしくね〜!」
「ちょっと!?コルメ〜〜!」
もう待ってられないわ!これだけの的!もう独り占めよ〜!
魔獣の総数は700といったところかしら?スタンピードってもう一つ桁が上らしいけど、この数だったらすぐに終わっちゃうかもね〜。
さて、まずは準備よ。大規模殲滅魔法は集落に被害が出そうだから今回はなしね。
となると、設置型の魔法でワナにハメるのも面白そうね!ご先祖様がいろいろ考案した魔法を試してみましょうか!浮遊大陸でワナ仕掛けても、人をハメるわけにはいかなかったしね!
「まずはこれね!星型地雷!」
あたしは両手を頭上に上げて魔法を放った!放った魔法は集落の柵の外にぐるっと配置されて、ほのかに光っていた。どこに仕掛けたか?が分かるようにしているのよ。
しかもこの光は集落側からしか見えないの。踏めば集落の外側に向けて爆発するから、集落や柵にはまったく影響ないわ。ちなみに集落側からワナにかかっても作動しないようになってるわよ。
「さらにこれね!!キラーアーテレリーガトリング!」
こちらは大砲の砲台を縦に4つ連結したものね。魔獣を追尾して爆発する砲弾を連発できるのよ。もちろん、あたしが撃つ方向を決めるわ!
「お迎え準備完了よ。さあ、いらっしゃい!」
ドドドドド!!
大きな地響きがしてきたわ。たくさん来たわね〜!さあ!ワナが発動するわよ!
ズドーーン!ズドーーン!ズドーーン!
あはは!いい感じでワナが動作してるわね!一度動作しても、あたしが魔法を解除するか、あたしの魔力が尽きるまで無限にワナが補充されるのよ。
さ〜て!ワナが正常に動作する事を確認したので、次はキラーアーテレリーガトリングの性能試験よ!
「撃て〜〜〜!!」
ドドドドド!!ドカーーン!ドカーーン!
「あはは!超気持ちいい〜〜!こんなにも全力全開で魔法が撃ち放題なんて最高ね〜〜!!」
その後、あたしはひたすら魔獣に向けて大砲を撃ち込んでいった。殲滅完了するのに20分ほどかしらね〜?
集落の人たちは最初は爆発音に驚き、小さな子は泣いてしまったわ···。
ごめんなさいね。次は音が届きにくくする方法を考えるわ!今回の実験のいい結果が出たわね!
最後の方は集落の人たちも出てきて見物していたわ。襲われないって安心感かしらね?見世物ではないんだけど···。
「すげぇ···。コルメってすげぇんだな!」
クランがあたしに近づいて感動していたわ。あたしの魔法を楽しんでもらえたようね。
「まあね〜。でも、まだまだ改善の余地はあるわ。これからもどんどん改良していい魔法を作らないとね!」
「なあ!この集落に住まないか!?コルメがいてくれると助かるんだけど···」
「悪いけど、それはムリね。あたしはやりたい事があるから」
「それって?」
「まず、この悪党どもに裁きを加えないとね。そして、魔法をこれからも極めていかないといけないの。同じ場所だったら魔獣がいなくなってしまうわ」
「でもそれじゃあ···」
「まぁ、さっきのでこの周囲には魔獣がほぼいなくなったわ!当面は心配いらないわよ」
「···うん。わかったよ、ありがとう」
「うふふ。でも、たまには寄らせてもらうわ。もしその時に魔獣がいたら実験···、ゲフンゲフン!退治させてもらうわ!」
「うん!」
危ない危ない···。本音が出るところだったわね。
こうしてあたしは集落を離れて、近くの町にある冒険者ギルドへ飛んで向かったの。
そうそう、魔獣退治のお礼はお断りしておいたわ。貧しそうだったし、悪党を引き渡したら賞金もらえるらしいので、それでいいって事にしておいたのよ。
ちなみに悪人どもはあたしが手にロープを持って吊るしてるのよ。あまりの高さにビビって途中で失神してしまったわ···。貧弱ねぇ〜!
悪人冒険者たちが撒いた魔獣寄せのクスリもコルメちゃんの前ではまったく問題なかったですね。
むしろ的が増えたので喜んでしまいました。
この村の人たちは本当に幸運でしたね。コルメちゃんを助けてなければ全滅してましたからね。
悪事を働いた冒険者たちはロープで縛られた上にコルメちゃんが飛んでるので、足が浮いた状態で高高度を飛んだので失神しちゃいました。足場がない絶叫系ジェットコースターをさらに超えた状態ですからね。飛行機に乗って足元がないようなものですよ。
作者は台北にある猫空ロープウェイで、足元がアクリル板?のゴンドラに乗りましたが怖かったです···。高いところダメなんで···。飛行機は別ですけど。
さて次回予告ですが、悪人冒険者をギルドへ突き出すために町へ向かいます。ギルドでは魔獣素材の買い取りやいろいろと手続きしてたら、いつの間にか冒険者に仕立て上げられてしまいます···。冒険者の申込書書いてないのに···?
さらに魔獣の群れが襲いかかってきたので、もちろん撃退しますよ〜!
それではお楽しみに〜!




