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【完結済】継承者ライ、荒廃した世界を生き抜く!  作者: ぷちきゅう
番外編 Sランクメンバーの過去、そして···

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番外編-14.トルム、冒険者になってしまう!?

 地上に降りた僕はさっそくスタンピードを殲滅した。かなりの大軍だったけど、ダーツ2本残して殲滅できたからなんとか余裕はあった。ちょっとムリしちゃったので倒れちゃったけど···。


 でも、非常に満足できた。竜生初の魔獣退治、しかもその究極とも言えるスタンピードを1人で殲滅できた!この経験は浮遊大陸ではできなかったから、ものすごく自慢したい気分だ!


 あぁ~、これがドラゴン族の本能なんだなぁ〜。痛みすら楽しめちゃうなんて、これはこの先ももっと楽しい竜生を過ごせそうだ!



 僕は今、冒険者の人たちと一緒に町へ向かってる。



「そういや自己紹介がまだだったな。オレはガスターだ」


「わたしはティーゼよ」


「私はボイだ」


「僕はトルムと言います。地上じゃ珍しいでしょうけど、黒竜のドラゴン族なんです」


「「「ドラゴン族!?あの伝説の!?」」」



 3人が一斉に驚いた。え?伝説···?



「あの〜、伝説って?」


「知らないのか!?かつてドラゴン族は地上にはびこる魔獣を退治しまくって、人々に平和をもたらしたって伝説だ!」


「ただ···、災厄戦争のせいで地上からいなくなったって···」


「そういう伝説があるのだが、知らないのか?」


「ええ···。僕自身、そういった伝説は聞いてないですね。災厄戦争から逃れるために浮遊大陸に避難したってのは知ってますけど」


「そうか···。ところで、どうしてトルムは地上に?」


「腕試しです!」


「う、腕試し!?」


「はい!浮遊大陸では魔獣がいなくて平和なんですが···、試合だけではあまりにも物足りなくなったので、降りてきたんです」


「す、すごいな···。それで、あのスタンピードを?」


「はい!初めての魔獣退治でしたけど、ものすごく楽しかったです!」


「た、楽しい···。ちょっとその感覚はわたしにはわかんないわ···」


「人から見れば絶望しかないのだがな···。それが楽しいとは···。やはりドラゴン族はすごいな」


「あはは···。ところで、僕はどちらへ向かってるのですか?」


「この先にあるコークスという町だ。この周辺では1番大きいな。そこでちょいと事情を説明してほしいんだ」


「わかりました」



 というわけで、僕たちはコークスの町へ向かった。かなり距離があるようだったから、途中からは竜モードになって軽く飛んだんだ。



「これはすごいな!まるで鳥になった気分だ!」


「それに馬車よりも速~い!」


「こんな景色は見たことがない···。トルム、ありがとう!」


「いえいえ。助けてもらったお礼ですよ」


「「「どちらかと言えばこっちが助けてもらったんだけど···」」」



 え?僕としては助けたなんて気はないんだけどね。でも、これは言わないほうがよさそうだ。



「おっと!すまんが門の前で降りてもらえるか?」


「ガスターさん、門の前の広場でいいです?」


「ああ。悪いな」


「いえいえ」



 って降りようとしたその時だった!



「え!?攻撃された!?」



 どうも僕が空飛ぶ魔獣だと思われちゃったみたいだ···。門から矢がたくさん飛んできたんだ!



「トルム!どうやら勘違いされてるみたいだ!門の手前の森に降りてくれるか!?」


「わかりました!ガスターさん!」



 門の近くの森に僕は降り立ち、そこで人型に戻った。まさか攻撃されるとは思わなかったなぁ~。もちろん無傷だけどね。



「トルム、すまん!まさかあんな事になるなんて···」


「ガスターさん、気にしないで下さい。よくよく考えればみなさんドラゴン族を知らないですから」


「だからと言って、恩人に攻撃するなんて恥知らずもいいところだ!謝罪を受け入れてほしい」


「あ~、いいですよ。僕は気にしてませんし、無傷ですから」


「でも、トルムって頑丈よね~!あれだけたくさん矢が当たっていたっていうのに無傷だなんて···」


「あはは···。僕、頑丈さだけが取り柄なんですよ。魔法も道具を使わなかったら身体強化魔法ぐらいしか···」


「さすが伝説のドラゴン族ね!やっぱりすごいわ!」



 う~ん···。確かにドラゴン族では強いほうではあるかな?とは思うけどね。でも、魔法を使われると結構厳しい戦いを()いられちゃうんだけどね。赤竜のコルメと試合すると、だいたい負けるし···。


 そんな話をしていると、町から兵士さんたちがやって来たんだ。結構大勢で来ちゃってるけど!?



「おお!ガスター殿!こちらに翼の生えた見たことのない魔獣が降り立ったのですが、見かけませんでしたか!?」


「これはマイザー隊長。あ~、その件なんですけどね···。あれはドラゴン族の竜の姿なんですよ」


「ドラゴン族ですと?あの伝説の?」


「ええ。そして、そのドラゴンの人の状態が···、彼なんですよ。オレらは彼に乗せてもらって戻ってきたんですよ」


「「「「え~~~~!?」」」」



 そう言ってガスターさんは僕を紹介したんだ。ガスターさんがそう言った直後、兵士さんたちがみんな驚いていたよ。



「そ、それは本当なんですか!?た、確かに翼が生えている獣人なんて見たことがない···」


「あはは···。自己紹介が遅れました。僕はトルムと言います。黒竜のドラゴン族でして、昨日浮遊大陸から降りてきたばかりなんですよ」


「そ、そうですか···。いや、未だに信じられん···。あの伝説のドラゴン族が、目の前にいるなんて···」


「そうは言うが事実だ。先日スタンピードの兆候があるという話で調査に向かったが、トルムひとりだけで殲滅してしまっていたのを確認している。これからギルドと領主に報告したいんだが?」


「ス、スタンピードをたったひとりで!?」


「あ、あはは···。はい、楽しかったです」


「と、とにかく!ここで立ち話もあれですから、町の中へ!」



 そんなこんなで僕たちはコークスの町に入った。これは後で知ったんだけど、この時の僕って身分証を持ってなかったんだよね。一応神器のスマホにはあるんだけど、それが使えるかどうかなんてわからなかったし聞かれなかったからね。マイザー隊長の配慮かな?


 そして僕たちは冒険者ギルドなる場所へ案内された。そこで会議室に入って、そのギルドの長の人と領主という人に対してスタンピード殲滅について説明することになったんだ。



「そうでしたか···。たまたま発見されて殲滅されたんですな?」


「はい。腕試し気分でやっちゃいまして···」


「はぁ~、我々は運が良かったとしか言えんな。スタンピードの兆候があると聞いて死を覚悟したものだったが、杞憂で終わってくれたな···」


「そうですな。本当にトルム殿には助けられました。あの~、できればでいいんですが、うちで冒険者登録しておきませんか?」


「···え?冒険者···、ですか?」


「はい。今回はただの通りすがりでやったにしては規模が大きすぎるんですよ」


「あ、あはは···。やり過ぎちゃったかぁ~」


「い、いえ!そのような事は!で、ですね?今後もスタンピードが発生した時に謝礼をスムーズにお渡しできるようにしたいんですよ。もちろん、今回につきましても謝礼をお渡しするよう至急手続しますので!」


「え、ええ~?ガスターさん?どうしたらいいです?」


「なっちまえよ。そのほうがなにかと便利だぜ?」


「わたしもなったほうがいいわ!」


「私も賛成ですが、うちのパーティーには入らないほうがいいかと思いますよ?」


「え?そうなんですか?」


「おい!ボイ!?なんて事言うんだ!?」


「いえ、悪気があって言ってるんじゃないんですよ。確かにトルムがいてくれると、間違いなくうちのパーティーは全滅しないでしょう。ですが、そうなるとパーティーがトルムに頼りっぱなしになってしまいますし、周りからもそう思われかねません。トルムにはむしろソロで活躍したほうが動きやすいと思いまして」


「···あ~、そういうことか」


「確かに···」



 どうやらボイさんは僕のことを思って言ってくれたようだ。確かに僕だけ戦力が突出してるから、連携はまずムリだね。


 となると···、僕に比較的近い実力のある人のほうがチームを組むにはよさそうだね。



「わかりました!それでいいですよ」



 こうして僕は冒険者として活動することになりました。

 ただの通りすがりでスタンピードを殲滅して『はいさよなら!』ってわけにはいきませんでした。やっぱり謝礼を支払わないと···、って話からトルムくんは冒険者になったんですね。

 出会ったガスターさんたちもいい人でしたね。いろいろとアドバイスしてくれました。トルムくんはいい縁に恵まれました。


 さて次回予告ですが、スタンピード殲滅の謝礼金は金額が大きすぎて全額は支払われずにほとんどがレクトの中央本部で渡されることになりました。その日の夜、トルムくんはガスターさんたちと飲み会をやって酔いつぶれてしまいますよ〜。


 それではお楽しみに〜!

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