1-5.ライ、なんとか凌ぎ切る!
本日は本格的な投稿初日!ということで一挙6話投稿します!
ここは5話目ですね。ここから読み始めた!という方は4話前からお楽しみください。
町を襲撃したレックスデラックスという凶暴な魔獣を4体も倒しちゃって、逃げようとしたら兵士さんたちに見つかっちゃったんだ。
もう隠せないので、おとなしく兵士さんたちに連れられて行くことにしたんだ。
連れてこられたのは···、領主様のお屋敷だったよ。頑丈な鉄柵があって、門も鉄でできていた。
「開門!領主様に報告事項あり!」
そう兵士さんが叫ぶと、門が少しだけ開いたので、ボクたちも一緒に入ったんだ。
庭にはたき火が焚かれて多くの人が不安そうな顔で座り込んでいた。泣いてる子もいたなぁ~。そりゃあれは怖いもんね。
そんな中、ボクたちが入ってきた。みんな一斉にボクたちを見ちゃったよ。そして···、ボクの服についた返り血を見てヒッ!?って声をあげた人も少なくなかったよ···。
···うん。気にしちゃダメだ。ボクだっていきなりそんな人が現れたら悲鳴上げちゃうもんね。
ボクたちはお屋敷の中に入った。2階の奥の部屋へ案内されたよ。
そこは大きな部屋だった。大きな机の周りにはたくさんの人がいたよ。
「失礼します!至急報告したいことがあります!」
「なんだ?」
机の前にはなんだか偉そうな人がいたよ。机をじっと見つめてこっちに顔を向けずに聞いてきたね。
「はっ!町に侵入した魔獣たちは退治されました!」
「···なんだと!?」
兵士さんが言った言葉を聞いてガバッ!と顔を上げたよ。そして、全員こっちを向いたよ···。
「どういうことだ?報告によればレックスデラックス4体と聞いてるぞ?町の戦力では歯が立たないと···。ウソではあるまいな?」
「事実です!この子どもたちが···、退治しました!」
「···誰かそいつをつまみ出せ。疲れて幻覚を見たのであろう」
「はっ!」
「お待ち下さい!でしたらご確認を!町の中心部に魔獣たちの亡骸がそのままになっており···」
「貴様はバカか!?この危険な状況で!魔獣がいる場所へのこのこ出ていけとでも言うのか!ふざけるにも大概にしろ!!おい!さっさとつまみ出せ!!不愉快だ!!」
あ〜、そうなっちゃったか···。そりゃボクみたいな子どもが魔獣倒しちゃったって言われても信じないよね。
ボクを連れてきた兵士さんもろとも部屋から廊下へ追い出されちゃったよ···。
「ごめんね。まさか正しい報告をしに来たら、こんな事になるなんてね···」
「いえ···、信じられないってのもわかりますから」
「キミはしっかりしてるな···。姿は幼い子どもなのに、大人と話してる気分だよ···」
「ボクは5歳ですけどね」
「そ、そうなんだ···。悪い、ちょっと別のところで話を聞かせてもらえるかな?」
「いいですけど···。ボク、もう眠くなっちゃって···。ふわぁ〜···」
「おっと!もう深夜だもんね。わかった。兵士の詰め所に行こうか。そこなら横になれるよ」
「ありがとうございます」
ボクたちはお屋敷を出てお隣りにある兵士の詰め所にやって来た。
「ノイド!?無事だったんだな!」
「スナ隊長···。ご心配おかけしました!」
「いや、偵察任務を与えた私の責任だ。それと···、ライくんとテオくん?どうしてここに···?血が!?ケガしたのかい!?」
「いえ···、これは返り血でして···」
「どういうことだ?とりあえず話を···」
「隊長!彼らは疲れ切ってます!休ませてあげてください···」
「···わかった。こっちに来なさい」
ボクたちはスナさんに連れられて小さな部屋へ案内された。2段ベッドのある部屋だったよ。
「ここで休むといい。明日、話を聞かせてくれ。おやすみ」
「はい···。おやすみなさい」
ボクとテオはもうそのままベッドに倒れ込んじゃって、そのまま寝ちゃったんだ···。
「おう!もう朝だぞ!」
「···ん〜〜?あれ···?」
「ぐおー、ぐおー。···ん〜〜?もう朝かぁ〜?」
「ぐっすり寝てたようだな。起きて顔洗ってこい。朝食も用意できてるからな!」
「「は〜い」」
ボクたちは起きて準備して朝食をいただいた。そして、終わったら別の部屋に案内されたよ。
「さてと···。ノイドのヤツから話は聞いた。まずは礼を言わなきゃならんな。町を救ってくれてありがとう」
スナさんは立ち上がって礼をしちゃったよ!?
「えっ!?い、いや!あ、あの···」
「本来ならば領主が頭を下げるべきだ。だが、昨日の様子だと信じてないんだろうな。まぁ、頭が固いからなぁ〜」
「あ、あはは···」
「でだ。ノイドのヤツが言うには、キミが倒したところは見てないそうだが、状況からしてキミたちがやったと判断されるとのことだ。詳しく話せるか?」
「い、いや···。そのぉ···」
「···話せない事情があるのか?」
「はい···」
「じゃあ質問を変えよう。あの魔獣はキミたちが倒した。これは間違いないんだな?」
「···はい」
「···わかった。見たところ武器も持ってないし、魔法使いのようでもないんだがな。こっちが把握してるのはレックスデラックスの片足を信じられないほど鋭利な刃物で切断してから脳天へ一撃って事だな。信じられんことをやったんだなぁ〜」
「············」
「ああ、話せないんだったな。悪かったよ。でだ。町を救ってくれた救世主って事で、それなりにお礼はさせてもらう」
「いえ、ボクはお礼がほしくてやったんじゃないですから」
「そうはいかん。これは正式にやらなきゃならん。でないと、『町を救ったのになんにもお礼しない無礼な町』って周りから思われるからな。こんな話、行商人たちもいるんだ。悪いウワサはすぐに広まっちまうしな」
「···わかりました」
「とりあえずあの領主にはごまかした説明せんとな···。でないと報奨金出してくれそうもないしな」
「あの···、ボクも行ったほうがいいですか?」
「本来ならそうしてほしいんだが、事情があるんだろ?ここは大人に任せておけ。うまいことやるからさ。とりあえず今日はここにいろ。いいな?外に出るなよ?」
「わかりました」
「その間に手続き関係を済ませておこう。担当の者を後で部屋へ行かせる。それと、報奨金もらったらすぐに出発しろ。詮索されかねんからな」
「スナさん···。ありがとうございます」
「お前···、ホントに子どもかよ?ノイドも言ってたが、大人を相手にしてるような気がするぞ?」
「あはは···。ボクは5歳で間違いないですよ?」
「···そういう事にしておくか」
もう〜!みんなボクを大人って言うけど、ちゃんと子どもなんだからね!賢者の遺産の影響でそんな考えやしゃべり方になってるだけだよ!
隊長さんは理解ある人でライくんは助かりましたね!なかなかこういう人っていないんですけどね。ライくんは幸運でしたね~!
ちなみに領主さんは疲れ切ってたのでイライラしていました。そんな時に信じられない報告を受けたら誰でもこういう対応しちゃいそうですよね?作者はやっちゃいそうです(笑)。
さて次回予告ですが、ライくんはこの町で身分証を正式に発行してもらい、さらには魔獣討伐の報奨金も得ることができてしまいました!しかし、お金自体そもそも見たことがなかったライくんは、そこで使い方や価値についてこの時に初めて知ることとなるのです。
そして次の町へ旅立ちますよ~!
次回は21時過ぎあたりを予定しております。それではお楽しみに~!




