番外編-02.サム、地上で活動を本格的に始める!
「そんじゃあな!サムも立派なヒーロー活動しろよ〜!」
「さすがにレンほどはムリだけどな!ありがとよ!助かったぜ!」
オレはどうも2ヶ月同じ場所をグルグル回っていたみたいだった。『すまほ』の使い方をまったく知らなかったからな。地図あぷりっての使い方すら知らなかったんだよ。
でも、レンが言うにはどうも使い方を教わってるらしいんだよ。オレやウイン、コルメやレンのご先祖様って仲良しで世界を救ったこともあったらしいんだとさ。
そして、うちのご先祖様はなんと神様の力も持ってたらしい。そして神器を創ったりもしたそうで、このすまほはご先祖様がかつていた異世界の道具らしいんだとさ。
てなわけで、その子孫であるオレたちは神器を正しく使えるようにって事で子孫を集めて講習会があったんだとさ。だから知ってるってレンは言ってたけど、まったくオレ覚えてねえんだよなぁ〜。
もしかして···、寝てたか···?
···やめだやめだ!こんな事考えて後悔してももう遅いっつーの!レンがちゃんと教えてくれたから、もう大丈夫だぜ!使い方はちゃんとわかったからな。
これ、もしかしてレンのヒーロー活動でオレが救われたって事になるのか?まぁ、いいけどな。
さて、地図アプリを見つつレンが言っていた方向に進んでいくと、町が見えてきた!本当に近くにあったぞ!?
そして門があって、そこに門番がいた。ここを通れば中に入れるっぽいな。とりあえず声をかけてみるか!
「ちわ〜っす!」
「こんにちは。こっち側から旅人なんて珍しいな」
「そうなのか?」
「ああ。この先は魔獣が住む森が広がっていて、その先に昔は国があったんだが、滅んでしまってな。キミはどこから来たんだ?」
げっ!?思いっきり怪しまれてるぞ!?そりゃ人のいない場所からやって来たら怪しまれても当然か···。どうするよ?ウソつくか、ごまかすか···?
いや、でも確か門番ってウソを見抜く方法を知ってるって聞いたことがあるぞ。なら、ここは正直に話したほうがよさそうだな。
「実は、(浮遊大陸から降りて)迷っててな。なんとかここにたどり着いたんだ」
「そうか···(道に迷ってレクトへ通じる北門じゃなくて反対方向の南門に来てしまったんだな···)。とりあえず身分証を見せてもらえるかな?」
···おっ?正直に話したら警戒心を解いたな!なら大丈夫そうだな!
って、身分証?なんだそりゃ?
···あっ!思い出した!レンが言ってたな。スマホのこの画面を見せたらいいって言ってたな。
「これでいいか?」
「···え?ナニコレ?初めて見たけど···。うん。確かに身分証だね。いいよ。ようこそフランシスへ!」
「お、おう···。ありがとな」
最初は怪しまれたけど、問題なかったようだ。ちょっとドキドキしたぜ···。
いかんいかん···。勉強不足だったって昨日思い知らされたじゃねえかよ。もう忘れ始めてんのかよ!?どうやら勉強不足で覚えが悪いようだな···。もう一回復習しておくか!
ここはフランシスって名前の町らしいな。町に入ってみると、まずは広大な農園が広がっていた。どうやら収穫期のようで、畑には多くの人たちが働いていたな。
そして建物が見えてきた。浮遊大陸にある家に比べたら粗末な家が多いな。適当に木を組んだり石を積み上げたような感じだ。
人はそんなに多く住んでないようだな。一応宿っぽいのと店はあるようだ。
あとは冒険者ギルドってやつだな。そういえば魔獣の素材を買い取ってくれるってレンが言ってたな!金持ってねえから換金しておくか!
冒険者ギルドは町の中心部にあった。中には食堂と窓口、それにたくさん紙が貼ってある掲示板みたいなのがあるな。とりあえず窓口で聞いてみるか!
「おう、ちょっといいか?」
「はい。どういった依頼でしょうか?」
「いや依頼じゃなくて、魔獣を倒したんだけどよ、素材ってのを買い取ってくれるのか?」
「買い取りはしますが、冒険者でないと買い取りができないんですよ。これを聞くってことは冒険者じゃないんですね?」
「ああ。ここに来るまでに襲われたんで返り討ちにしてやっただけなんだ。そうか···。冒険者って、どうやったらなれるんだ?」
「原則10歳以上である程度の実力がある方ですね。完全に自己責任の世界で、ケガしても保証なんてないですから」
「じゃあ、オレはなれそうだな!手続き頼むわ!」
「その前にあちらのカウンターで倒した魔獣を見せてもらえますか?」
「いいけど···、ちょっとこの台には載せられんぞ?」
「え?あぁ、外に置いてるんですね?」
「いや、このポシェットに入ってるぞ」
「···も、もしかして!?マジックバックですかぁー!?」
「へっ?マジックバック?」
「容量以上のものが入るという伝説の道具ですよ!?商人だったらとんでもない値段をかけてもいいと言われる昔の遺産ですよ!?」
「あ〜、そうなのか?もらいものだけどな」
「も、もらいもの···。と、とにかく!裏で出してもらいましょうか」
まぁ、確かにこのポシェットは昔の遺産ではあるけど、さすがに神器だなんて言えないよなぁ〜。まぁいいか!
そうしてオレたちは裏にやってきて、魔獣をたくさん取り出した!山のようになるかと思いきや、いつのまにか素材がきれいにまとまって出てきやがった。ちなみに肉はこの2ヶ月で大半食っちまったけどな。
「これでいいか?」
「············」
「···?お〜い?息してるか?」
「···はっ!?と、とりあえず預からせていただきます!査定にはかなり時間がかかるとおもいますけどいいですか?」
「いいぜ〜。しばらくこの町にいるつもりだからな」
「でしたら、冒険者登録を行いますのでカウンターに戻りましょうか」
どうやらこれで冒険者になれるようだな。そして冒険者証なるものが渡された。なになに···?Cランクで出身地が『フーユウ』って書いてあったな。なんかCランクの文字の横にうっすらと星マークが3つついてるが···?なんだこりゃ?飾りか?まぁいいか!
はて···?『フーユウ』?オレ、浮遊大陸って書いたんだけどな···。もしかして、オレ字が汚いから読み間違えたか?まぁ、別にいいけどな!
こうしてオレは冒険者になった。まさか、このあととんでもないことに巻き込まれるとは思いもしなかったんだよなぁ〜。
まったくの無計画で行動しているサムくんでした!ですがすべていい方向に進みましたね〜。門番のお話は入国審査官と同じで、ウソは見抜かれますからね。皆さまも海外へ行った先、そして帰国した時は正直に話しましょうね。
サムくんが冒険者になったきっかけも登場しました。買取りってのは身分証明が必須ですので、冒険者でないとよほどの身分でない限りは買取り不可です。これは現実でも一緒ですね〜。
さて次回予告ですが、さっそく冒険者のお仕事が舞い込んできます。魔獣の群れの討伐ですね!そしてきっちり討伐してみんなに実力が知れてしまいます。そしてギルドの受付嬢とのやり取りでサムくんはうっかり失言をしてしまいますよ〜。
それではお楽しみに〜!




