序章-1.スタンピード発生
先日、泥酔した状態で書こうとしたらなぜか書いていた新作です(笑)。
思ったより良かったので、序章だけ書いてみました。
本日、一気に5話+設定資料集を時間を開けて投稿します。
評判よければ、現在投稿中のお話が完結したら投稿しようと思います。
序章は次回予告なしで投稿します。
それでは、ちょっとシリアスな展開が続きますが、序章完結までゆっくりとお楽しみ下さい。
「ライ~!そっちは片付いたか~!?」
「うん!こっちはおわったよ~!」
ボクはライ。この名もない村に住んでいるんだよ。今は畑仕事が終わったところなんだ。
って言っても、ボクができる畑仕事なんて、草抜きなんだけどね?でも、これも大事なお仕事なんだよ。
この村はあとで気づいたんだけど、とても貧しい村だったんだ。ボクはこの村以外のことは知らなかったからね。だから5歳のボクもお手伝いしていたんだよ。
「今日はこのあたりにしておくか!なんだか雲行きが怪しくなってきたしな。これはちょっと天気が崩れそうだなぁ~」
「そうだね、パパ。なんだかくもがくらいもんね」
この時、ボクはこの黒い雲の正体がわかってなかったんだ。もし知ってたなら···、この時に急いで逃げるべきだったんだ···。
ボクとパパが家に帰ると、ママは晩御飯を作ってくれていた。今日も朝から畑仕事してたから疲れちゃったよ~!
「ママ!ただいま~!」
「ライ、おかえり。あなたもお疲れさまでしたね」
「ああ、帰ったぞ。ちょっと天気が荒れそうな感じだ。今のうちに倉庫から持ってきておくものがあれば持ってくるぞ?」
「でしたら薪を2束あればいいかしら?」
「わかった。···ん?もう降ってきたか···。急いで取ってくるよ」
パパが外に出たら、もう雨が降り出していたんだ。慌てて倉庫に走っていったよ。
そしてパパは2束の薪を両手に持って家の中に入ってきた。
「ふぅ~、少し湿気てしまったかな?そんなに濡れてないから部屋で乾かしてから使うとするか。このままでは煙たくてかなわんしな」
「そうね。それじゃあ晩御飯にしましょうね」
「は~~い!」
晩御飯を食べ終わったところで雨は止んだ。降ってる間はかなりの大雨になっていて、激しい雨音が響いていたよ。それが収まったので、止んだって気づいたんだ。
そして、それは深夜に起こった!!
「「「「グォオオオオーーー!!!」」」」
ボクは聞いたことのない音を聞いて飛び起きた!何かの···、声?
「な、なに!?いまのこえは!?」
「まさか···?お前とライは家にいなさい。私が見てくる!」
「わかったわ。気を付けて···」
「わかっている!」
パパは慌てて外に出て行った。そして10分ほどすると···、
ドドドドドド!!!
聞いたことのない地響きがしてきた!これはただ事じゃない!でも、いったいなにが起きてるのか、この時のボクにはさっぱりわからなかったんだ···。
音はボクの家のすぐ真横を通り過ぎて行った!ボクは怖くて声すら出なかった···。ママは窓からこっそりと覗いて、その音の正体がわかったようだった!
ママはすぐにボクに駆け寄ってきた!!
「(静かにしてなさい!魔獣の大群よ···)」
「(ま、まじゅう?)」
「(ええ···。まさかこんな大群で···。ライ、こっちに来なさい)」
「(えっ?ママ?)」
魔獣の存在は前に旅芸人さんが演じてくれた『白銀竜の着ぐるみ少女の冒険譚』ってお話で出てきたから知ってる。
はるか昔、白銀竜と人が協力してその力を人に宿して、人々を苦しめる魔獣を次々と倒して、世界が平和になったってね。ボクもこのお話は大好きだったんだ。
村の外の森にも魔獣はいるから、出ちゃダメって言われてたんだよ。
そんな魔獣がやってきちゃった···?
ママはボクの手を引っ張って台所にやってきた。そして床の扉を開けて、床下にある野菜とかを保管する穴にボクを入れたんだ!
「(ママ!?)」
「(いいから静かに!···これから何があっても、ママがここを開けない限り、外に出てはダメよ!)」
「えっ!?どういうこと!?」
「(静かに!···ライ。強く···、生きて!)」
「ママ!!」
バタンッ!ガチャッ!
ママは床の扉にカギをかけてしまった···。中からは開ける取っ手なんかない。つまり···、ボクの力では脱出することができなくなってしまった!
「ママッ!!」
その時だった!
ガシャーーン!!バリバリバリーーー!!ドスン!ドスン!ドカーーーン!!ゴーーーー!!グォオオオーーーー!!バチバチバチ···
すさまじい音と、何か大きなものが家の中を歩いている音、そして···、焦げ臭いにおいがしてきた!!
えっ!?うちが···、燃えてる!?
大変だ!急いで火を消さないと!?でもここから出ることができない!どうしたらいいんだ!?ボク、何もできないよぉーー!!ゲホッ!ゲホッ!
あ、熱い···。煙が入ってきて···、息が···。ボク···、死んじゃ···、うの···?
ここでボクの意識は途切れてしまったんだ···。
気が付いたら、隙間から光が見えた。どうやらボクはまだ生きているようだ···。
だんだん意識がはっきりしてきた。どうやら、火事になったせいで床が燃えてしまい、ボロボロになってしまっていたようだ···。今ならなんとか外に出られる!
ボクは思いっきり床を叩いた!すると、あっけなく崩れ去って、ボクが出れるだけの穴が開いてしまった···。
どうやらボクのうちは火事で燃え尽きてしまったようだ···。雨が降った後なのにもかかわらず、すべて燃え尽きてしまっていた···。
そうだ!パパは!?ママは!?
「パパーーー!!ママーーー!!どこにいったのーーー!?」
ボクの声に応えてくれる人はいなかった···。そして···、見てしまった!!
「ママ!ママーーー!···え?」
ママはいたんだ···。変わり果てた姿となって···。
「あ···、あ···、マ、ママ···?ママ!ママァーーーー!!」
あまりのショックでボクは気が気じゃなかった!だ、誰か!誰かに助けを呼ばないと!!そうだ、パパは!?ボクは家だった場所から離れて探すことにした!
そして···、現実を知ってしまった···。
村が···、畑が···。すべて···、すべて灰になってしまっていたんだ···。
そしていたるところに人が転がっていた···。隣の畑のおじさんとおばさん、それにボクと一緒に遊んだ子もいた!もう···、動くことがない···。そしてその中には···!?
「パパ···?パパ!パパァーーー!!えっ···!?そ、そんな···」
そう···。パパがいた···。しかし···。
「うわぁあああああーーーーー!!!」
こうして、ボクの村は魔獣たちに襲われてしまい、一夜ですべてを失ってしまったんだ···。