1 異世界は転生者だらけでした
俺の名前は十文字 薫
小、中、高、大と特筆すべきことはなにもないまま進学
その後、都内の電機メーカーに就職
社員の雰囲気も良く、給料も悪くないと言うことで選んだのだが
残業は当たり前、休日返納で仕事に、徹夜で家に帰れないこともザラにあるいわゆるブラックというやつだった。
そんな会社辞めたらいいと思うだろ?
俺も昔ブラック企業の物語なんかを見てそう思っていたさ
でも実際なってみると、コレが辞められないんだ
と言うかそんなことを考える暇もない
仕事が終わったと思ったらすぐ次の仕事
それが終わったらまた次の仕事
この繰り返し
まぁ今は関係ないからこんな話しても仕方がない
そう今は絶賛異世界で楽しい生活を送っている、、、、、、はずだった。なのに、
「はぁ?この世界にはすでに何万人という転生者がいます?!」
「高難度ダンジョンはほぼ制覇ずみ、魔王が現れるとRTAが始まる始末。若返りの薬に死後10秒以内であれば蘇生可能なポーションと魔法、、、、。学園にはざまぁやハーレムを求めた転生者が溢れかえり、学級崩壊しまくる始末。インフラは地球の技術と魔法で完璧、、、することねーじゃねーーかっ!!!」
冒険者ギルドの受付で、この世界について、という紙を見せて貰った俺は驚愕していた。
この世界に来た経緯だが、
過労により会社でぶっ倒れた俺はそのまま死んだらしく、気づいた時にはお約束の白い部屋にいた。
そこで女神様に『錬金術』と『召喚魔法』を貰い、異世界に飛び立った。
18歳くらいのピチピチな体とイケメンな顔、転生場所は冒険者ギルドの前と、至れり尽くせりじゃねーかと思っていたんだが、、、
「あんの女神、大事な所全部、はしょりやがってーーー」
「冒険者登録も終わったことだし、とりあえずダンジョンにでも潜ってみたらどうだ?ここから一番近いダンジョンなら攻略サイトなんかもあるし死ぬことはないだろう。」
「はあ。そうだな。文句ばっか言ってても仕方ないし、せっかく異世界に来たんだからそれくらいは体験しとくか。」
「なんかあったら冒険者タグの緊急ボタンを押せばベテランが助けてくれる。気をつけて行けよ。」
「へいへい。」
どーせなら可愛いお姉さんに見送ってもらいたいものだ。
「はあ、せっかくの異世界と意気込んで来たのにすでに他の人が攻略済みなんてそんなのないよ。」
泣き言言っても意味がないのはわかっているが止められない。
(切り替え切り替え、夢にまでみたダンジョンに行くんだ。楽しまなきゃ損だ。)
一通り愚痴をこぼした俺は、取り敢えず目先のダンジョンという楽しみに集中することにした。
(受付のおっさんが言うにはこのいかにもスマートウォッチな冒険者タグを押せばいいんだったな。)
「うおっ。」
スマートウォッチの画面に触ると、液晶からホログラムで空中に文字が現れた。
(なになに。お金、地図、連絡、検索、その他、緊急か。緊急がさっきおっさんが言ってたやつだな。地図の文字を触ればいいのか?)
地図の文字に触れると、空中に地図が浮かび上がった。
「この赤いのが自分の位置で、塔のマークがダンジョンか。」
ダンジョンのマークに空中で触れると攻略法を見ることができた。
(難易度星1 、状態異常なし、武器、回復薬の必要もなし、か。本当に初心者用のダンジョンみたいだな。)
「ここから北に真っ直ぐか。楽しみだな、初めてのダンジョン。」
この世界を自分の目で見たいし、歩きで行くことにする。
(ガイン荒野のダンジョンにはなにが待ってるかなーー)
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