表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
The Magic Order  作者: 晴本吉陽
Chapter5.5-A 新たなる友達 暁広編
68/124

Chapter5.5-A-4 道拓興太

4月4日 15:30

 入学式の式典が終わり、教室に戻ってきた暁広は自分の席に着く。担任の先生からの諸連絡をメモし終えると、先生の号令で一礼し、そのまま教室は解散となった。

 暁広もそのまま帰ろうと思ったが、立ち上がる拍子にボールペンを落としてしまった。

「あぁっ」

 暁広が手を伸ばすと、すでにボールペンは誰かの手に拾われていた。

「落としたよ、魅神くん!」

 大きくハキハキとした声。暁広が見ると、背筋がスッと伸びた男子生徒がいた。

「あぁ、ありがとう」

「さっき、星と話していたよね。俺は道拓みちひらき興太きょうた。君のすぐ後ろの席だ。よろしくな!」

 興太はボールペンを暁広に渡すと、すぐに握手のために右手を差し出す。暁広もその手を握り返した。

「星と話していた内容、少し聞こえていたよ。魅神くんは、湘堂の出身なんだってね?」

「暁広でいいよ。まあそうだね」

 暁広と興太はリュックを背負いながら雑談を交わす。興太は暁広の返事に、深く何かを考え始めた。

「…素晴らしい」

 興太が急に小声で呟く。暁広はよく聞き取れなかった。

「え?」

「素晴らしいよ暁広くん!」

 今度は興太が急に大声で言う。暁広は少し驚いて1歩引いた。だが興太は熱く語り始めた。

「絶望的な状況!だが君はそれでも諦めず!目の前に立ち塞がる障壁を乗り越え、ここまでやってきた!」

「いや、そんな大層なことじゃ…」

「そこに至るまで、悲しいこと、苦しいこと、どっちもたくさんあったはずだ…」

「それは、まぁ」

「しかし君はめげていない!普通の俺たちのような生徒と同じように、笑い、未来に希望を抱いている!それは、君が困難を乗り越えて成長してきた証だ!これこそ、人間讃歌!君はそれを体現している!」

「そんな大袈裟な…」

 暁広は少し戸惑いながら、しかしすぐに言葉を返した。

「でも、困難を乗り越えること、それは何よりも大事だと、俺も思うよ」

「さすがだ、暁広くん!」

 興太は目を輝かせながら暁広を褒める。暁広は気まずそうに目を逸らした。

「実際にそうやって生き延びた人に言われると、魂が震えるよ!暁広くん!これからも是非俺と仲良くしてくれ!」

「それは、もちろんだよ」

「ありがとう!」

 興太の勢いに少し押されながら、暁広はうなずく。暁広が少し困っている中、星が歩いてきた。

「興太、帰ろうぜ…あぁ、暁広、こいつに捕まってたの?」

 星は少し笑いながら暁広に尋ねる。暁広は首を横に振った。

「いやいや、捕まったなんてそんな」

「認めていいんだよ、暁広。こいつそういうやつだから」

「はっはっは!星!また悪口のキレを増したな!」

 星が言うと、逆に興太も笑う。暁広もつられて笑っていた。

「おい、興ちゃん、帰ろーぜ」

「一体何を騒いでいるんだ」

 興太の元に、流と光樹もやってくる。興太はそちらに向き直ると、暁広の紹介を始めた。

「おう!流!光樹!彼は魅神暁広くんだ!あの湘堂の出身らしいぞ!」

 興太が言うと、暁広も明るく挨拶を返した。

「魅神暁広。よろしくな」

「へぇ〜俺様には及ばねぇけどイイ男じゃん。よろしく」

「暁広の勝ちだな、流。よろしくな、暁広」

 暁広は新しい友人たちに囲まれ、穏やかに笑っていた。

「おい、トッシー」

 正面にいる4人の新しい友人たちとは逆方向の背後から暁広を呼ぶ声がする。暁広が振り向くと、圭輝と浩助が暁広を待っていた。

「あぁ、圭輝、浩助」

「暁広、知り合いか?」

 圭輝と浩助に挨拶すると、星が尋ねる。暁広はすぐに振り向いて紹介を始めた。

「うん、同じ小学校の圭輝と浩助だよ」

「おぉ!暁広くん以外にもいたのか!俺は道拓興太!よろしくな!」

 興太がそう言って浩助と圭輝に感激しきりの様子で近づいていく。

 その様子を見て、暁広は何かを思いついた。

「なぁ、よければ明日の午前中、みんなの自己紹介も兼ねて一緒に出かけないか?ちょうど土曜だしさ」

「賛成。9時に校門前でどうだ?」

 暁広の提案に、すぐに星が具体的なアイディアを加える。その場の男子たちは一斉に賛成と声を上げた。

「じゃあ決まったな、また明日!」

「ういーっす」

 男子たちは群れを成しながら教室を出ていく。そのまま彼らは放課後の街へ帰って行くのだった。

最後までご高覧いただきましてありがとうございます

今回は暁広の新たな友人の4人目を描かせていただきました

今後もこのシリーズをよろしくお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ