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The Magic Order  作者: 晴本吉陽
Chapter 4.5 束の間の日常
44/124

Chapter 4.5-10 束の間の日常 さえの場合

 食事を終えた金崎さえは、美咲、蒼と一緒に食堂を出ていた。

「さえ、久々にピアノ聴けてよかった」

 美咲がさえにふと言葉を漏らした。さえは静かに頷いた。

「ずっとあそこにピアノがあるのは知ってたからさ。いつか弾きたいなって思ってたの。腕が鈍ってなくてよかった」

 さえと美咲が言葉を交わしていると、向こうから真次が歩いてくる。

「おっす、さえ」

「こんちは」

 真次はさえに軽く挨拶をするとそのまま3人の横を通り過ぎていった。

「じゃ私ちょっとチケット予約するんで」

 蒼はそう言うとさえ、美咲の2人と離れて自室に戻っていった。


 2人きりになったさえと美咲は早速2人でしか話せないことを話し始めた。

「なんで真次はさえにだけ挨拶したんだろうね?」

 美咲はニヤニヤしながらさえに質問する。さえは肩をすくめて答えた。

「さぁね」

「察してるくせにぃー?」

「蒼と美咲が嫌われてるんでしょ」

 さえがニヤニヤしながら反撃する。美咲は首を横に振った。

「真次がさえのこと好きな方が確率高いよ」

「また始まった。そうやって妄想するの好きよね」

 さえは少し呆れたように言う。だが美咲はその言葉を嫌味とは取らず、逆に笑顔を返していた。

「まぁそうやってるくせに自分はびっくりするぐらい奥手だけどね」

「…え?」

 さえがカウンターのように美咲に言う。美咲は一瞬表情を失った。

「私に好きな人がいたことなんてないけど?」

「じゃあ初恋だ」

 さえは一気に流れを掴んだとみるや美咲の心を揺すぶり始めた。

「何言ってんの?」

 平静を装う美咲だったが、声がわずかに動揺している。

「だいいち私が誰を好きだっていうの?」

「言っていいの?」

 美咲が強気に質問したのに対し、さえが聞き返す。

 さえと美咲の目線が交わる。

「…わかった、言わないで」

 美咲はさえの目線に本気で自分の心を見抜かれているのを察した。さえも美咲が本気で嫌がっているのを察してそれ以上は何も言わなかった。

「ふふふ…ははは!!」

 さえが少し面白くなって珍しく声を上げて笑った。

「なに笑ってんのよ」

「恋愛通が恋愛下手って皮肉じゃない?」

 さえの言葉に美咲も何も言い返せなかった。代わりにため息まじりに感想が漏れ出た。

「やっぱ、さえだけは敵に回したくない」

 美咲は少しさえに目線を送る。さえはそれに少しニヤッとする。美咲もさえのその表情に安心したようにニヤッとし返した。

「で?さえは真次のことどう思ってんの?」

「さぁてね」

 美咲の言葉にさえはニンマリとした表情で一言返す。親友2人は本音を見せ合わず、それでもお互いを信頼しているのを確かめ合いながら歩いていった。


最後までご高覧いただきましてありがとうございます

今回はさえと美咲について描かせていただきました。お楽しみいただけたでしょうか

今後もTMOをよろしくお願いします

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