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The Magic Order  作者: 晴本吉陽
Chapter 2 幕開け
15/124

Chapter 2-5 校内探索 1階C班

残酷な描写が含まれています

苦手な方はご注意ください

今回もやや長めです

 各階ごとに分断された6年3組は各班そのまま役割分担通りに各階を探索することになった。

 1階を担当するのはC班。重村数馬、川倉竜雄、中西桃、斉藤遼、山本香織、黒田武、黒田明美の7人だった。


 数馬達がいるのは1階の北棟である。南棟に行くには職員玄関を通って昇降口を抜ける必要があるが、防火シャッターが閉まった際に職員玄関の鍵も閉まって開けられなくなったため、数馬達は北棟だけを調べることになった。

 北棟には保健室と職員室、職員室の内部にある校長室しかない。

「俺たちは武器も少ないし、さっさとやって引き上げようぜ」

 職員玄関を調べ終えると、遼が小声で言う。誰も反論はなかった。この班で武器を持っているのは数馬が拳銃(ベレッタM92F)とナイフ、竜雄がアサルトライフル(AK47)、桃が小型拳銃(コルト25オート)と、銃を持っているのは3人だけだった。

 数馬と桃と竜雄の3人を先頭にしながらC班のメンバーは暗い廊下を進んでいく。廊下の1番奥が職員室。その職員室の近くには外階段の出入り口がある。

 職員室の扉に手をかける前に外階段の扉を調べる。だが鍵がかかっているようで扉はピクリともしなかった。

 他に目立つものはこの廊下にはないので特に問題もなく職員室の前までたどり着けた。

 数馬が拳銃を片手に持って職員室の入口に手をかける。

「竜雄、桃、後ろ頼む」

 数馬が短く言うと竜雄と桃が数馬の後ろに下がって銃を構える。武器を持っていない生徒達は竜雄や桃のさらにその後ろに下がった。

 一瞬息を止めると、息を吐きながら静かに扉を開き、銃を向ける。

 職員室は少し電気がついていた。防火シャッターが閉まった窓であっても、そのおかげで少し明るかった。

 数馬が銃と共に左右を見回す。見たところ誰もいなかった。

 数馬がハンドサインで後ろの生徒達に来るように指示する。みんな指示に従って職員室の中に入ると、最後尾にいた武が職員室の扉をそっと閉じた。

 職員室の机は2列になっていて、上から見ると「目」という字を横にしたようになっている。それらの1番奥に校長室への入口があった。

「じゃあ分かれて調べるか。数馬と明美、桃、武で左、残りで右をやる」

 遼が小声でみんなに指示を出す。7人は綺麗に2つに分かれて机を調べ始めた。


 さっそく数馬は明美、桃、武の3人と共に1番左、窓際の机を調べ始める。正確には数馬と桃が周囲を見張りつつ、それを背にして武と明美が机を調べていた。

「ブン屋さんよ、いい情報あったかぃ?」

 数馬が軽口を叩く。明美は鼻をクンクンさせながら机の資料を漁っていた。

「…そのお鼻、意味あんの?」

「いい情報にはいい匂いがするもんよ。ほーれもらった!」

 明美が静かに叫んで机にあった引き出しを勢いよく引く。そのまま中の紙書類を引っ掻き出し、中から丁寧に保管されていた黒い本のようなファイルが出てきた。表紙には何も書かれていない。

「なにこれ?」

「さてね?明かりもらえる?」

 桃の疑問を流して明美が武に頼む。武が持っていたライトで明美の手元を照らした。

 明美がファイルを開き、紙をめくっていく。

「シャッター動かす情報あったか?」

 数馬の言葉に、明美は首を振った。

「シャッターなんてどこにも書いてない…でも、見てこれ」

 明美に言われ、数馬、桃、武の3人はファイルを覗きこんだ。

「なんだこの『12月25日の動きについて』ってのは?」

「読んでみるね」

 明美は息を吸うと、書いてある文章を音読し始めた。

「えーっと、『作戦発動は13:00ごろ、1番隊と2番隊が市役所を抑え、その後、大坂、寺田は天見山を確保。伊東、紺野は体育館に避難民を誘導。以降七職室は補給地点として利用する。その後15:15の放送を流した後、16:00から爆撃開始。各員はポイントラムダでやり過ごした後19:00までに灯島あかりしま市の屯山たむろやま蝙蝠こうもり峠に集合せよ』…だってさ」

 明美が言うと、全員黙り込む。書いてある文章の内容がよく理解できなかったのである。

「続き読むね。『一部の人間、特に小学生などは人質として利用価値がある。必要とあれば利用せよ』…」

 こちらの内容は小学生達でも一瞬で理解できた。それと同時に、このファイルの持ち主がどういう立場の人間かも把握してしまった。4人は複雑な表情を隠せなかった。

「…ここ、誰先生の机?」

 武が小さく尋ねる。明美が短く、「紺野先生」とだけ答えた。

「…紺野先生はサッカークラブにも優しくしてくれてた…なのに、人殺しと繋がって俺たちを騙してたのか…!」

 普段感情を表に出さない武が、握り拳を机に振り下ろす。4人はそれをただ見守ることしかできなかった。


 一方の遼、香織、竜雄の3人はまず職員室の奥の方にある鍵をぶら下げておくところを調べようとしていた。だがそこには鍵が1つも下がっていなかったので、先生達の机を調べることにした。

 机の引き出しを片っ端から引いてみるが、ほとんどは開かない。唯一開いた引き出しからは、黒いファイルが出てきた。

「あっちでもファイルが見つかったみたいだから、もしかしたら…」

「四葉先生の机だね…とりあえず開いて読んでみるよ」

 香織がファイルを開き、音読を始める。

「『この作戦の目的は湘堂市の活動家を主としてできるだけ多くの人間を殺すこと。女だろうと子供だろうと容赦はいらない。皆殺しにせよ。弾薬や武器は各施設に隠してある。非常時は補給せよ。諸君らが1人でも湘堂市民を殺害できることを願っている。作戦立案:ヤタガラス(GSST)』」

 読み進める香織の声が震えていくのが全員の耳にもはっきりわかった。もう一方の班にも聞こえたのか、みんな香織の方を見て固まっていた。

「なんでこんな資料が学校にあるの…?」

 香織が呟く。勘の良いメンバー達だからこそ、理由はもうわかっていた。

「一部、もしくは全部の先生が敵と通じているから」

 桃が冷静に答える。メンバー達は受け入れ難い事実を突きつけられ、黙り込むことしかできなかった。さらに数馬が追い打ちをかける。

「GSSTって、確か去年の防衛大臣が作った特殊部隊ってそんな名前じゃなかったか?」

「ちょっと待って、防衛大臣?どういうこと?」

「うろ覚えだから後で心音とかに聞いて確認するけど、確かそうだったと思う。有事の際に活動する私設部隊とかなんとか」

 明美の解説に、竜雄がため息をついた。

「つまり、防衛大臣が黒幕ってわけか?これは国が計画したことなのか?俺たちは死ぬのか?」

「国の計画だったら妙だな。プロにしちゃ敵が弱すぎる。本当に殺す気ならもっと訓練された人間を派遣するはずだ。弾の数を数え間違えないような」

 竜雄のネガティブな言葉に対して数馬が自分の考察を述べる。収拾がつかなくなってきたのを見て遼が抑えた。

「細かいことは後で考えようぜ?考えたってわかんねーけど。とりあえず資料は写メっとこ。んで校長室でも調べようぜ」

 遼に言われ、一行はうなずく。遼はそこに付け加えた。

「この情報はしばらくD班以外には秘密だ」

「なんでだ?情報は共有した方が動きやすいと思うんだが」

「ただでさえみんな混乱してんだ。そこにこんな情報あったらみんな頭パンクしちゃうって」

 数馬の疑問に遼が返す。数馬も納得したようにうなずいた。


 C班のメンバーはファイルを回収して携帯のカメラで写真を撮ると、職員室の奥にある校長室へ歩き出した。

 数馬が校長室のドアノブに手をかけ、その後ろから竜雄と桃が銃を構える。

 数馬がそっと扉を開けて中に入り周囲を見回す。竜雄、桃も中に入って銃を構えながら見回す。

「問題ない」

 数馬に言われると他の生徒たちも中に入る。

 校長室は質素だった。あるのは書類が整理されて置かれた机、地味な色の金庫とコート掛けだけだった。

 さっそく生徒たちは校長室の机を調べ始めた。木製の少し高そうな机。引き出しは3段になっていて、いずれにも鍵はかかっていなかった。明美が机の上の資料を調べる間、武が引き出しをひとつひとつ見ていった。

「他に調べるところは…」

「金庫の中」

 遼が他に調べるところがないと言いたかったのを、数馬が短く言う。すぐに香織が噛み付いた。

「さすがにダメでしょそんなの」

「でも中に何か脱出の手がかりがあるかも」

「開けようがないって」

 香織と数馬が言葉を交わす間、桃が金庫に近づく。そして様子を見て呟いた。

「6桁のダイヤル錠。時間くれれば突破できるよ」

 意外な発言に面食らった一同だったが、すぐに気を取り直した。

「でもダメだよね、遼?」

 香織が遼の方を見て尋ねる。少し考えると、遼は気まずそうに言った。

「非常事態だからな。机漁っといて金庫はダメってのも変でしょ。脱出関連のものだけ取ろう」

 遼が言うと、桃が冷静にうなずき、金庫に耳を当ててダイヤルを1桁ずつ操作し始めた。

 ほとんど同時だった。

 閉めた校長室の扉越しに不穏な音。

 職員室の扉が開くような音がした。

「竜雄」

 数馬が小声で、短く言う。そして音を立てないように校長室の扉を開けて飛び出ると、しゃがみこんで職員室の机の陰に隠れた。

 竜雄も数馬の隣に腹這いになって伏せる。

「ったく楽な仕事だな。ガキども殺すだけで金もらえんだからよ」

「だなだな、終わったらビールひっかけようぜ」

 職員室の入口から聞こえてくる不審な会話。数馬が覗き込むと、黒い目出し帽の大人が2人、どちらもサブマシンガンを片手に校長室へ向かって来ていた。数馬たちとはあと10mほどの距離である。

(勝てんのかよ、こんなの…)

 竜雄が心の中で毒づく。だが彼が数馬の横顔を見上げると、数馬の表情は不敵に笑っていた。

「2人ならやれる。片っぽ生かして情報収集、援護頼むぞ」

 数馬が小声で、早口で言う。自信ありそうな表情に竜雄も思わず力強くうなずいた。

 敵まであと5m。


「左!」

 数馬が短く言いながら身を乗り出し、拳銃を構えて2度引き金を引く。

 左側の背の少し高い敵の胸から血が吹き出して倒れた。

 生き残った方の敵はすぐに持っていたサブマシンガンを構えて発砲しながら下がって行く。

 金切り声を上げるサブマシンガンの弾が数馬の頬を掠め、竜雄の頭上を通って行く。

 敵はそのまま数馬達から見て右奥の机の陰にしゃがみこんで隠れる。

「竜雄は左から撃ちながら回り込み、俺が右からいく」

 数馬が指示を出すと、竜雄も覚悟を決めてうなずく。

 数馬が隣の机の列に転がりこんだのを見ると、竜雄は中腰になりながら持っていたアサルトライフルを慎重に撃ちながら机の陰に隠れつつ前進して行く。

(ライフルは牽制、厄介なのは拳銃の方だな)

 敵は数馬の作戦を読んでいた。

 竜雄の発砲はあくまで牽制であると読んだ敵は左から向かってくる竜雄の方ではなく、右の誰もいない方に銃を向ける。

 現れた数馬と敵の目が合った。

「死ね!」

 敵は躊躇なく数馬に発砲する。

 数馬もすぐに拳銃を撃とうとするが、銃が敵に吹き飛ばされさらに数馬自身も隠れ損なって右肩を撃ち抜かれた。

 しかし辛うじて身を隠す。

 敵はチャンスと言わんばかりに数馬の方へ駆け出した。

(このままじゃ数馬が…!)

 机に隠れていた竜雄にも状況はわかった。

 敵が立ち上がって数馬に駆け寄り出すのと同時に、竜雄は机の上に飛び乗った。

「数馬ァ!」

 竜雄は机の上を走り、数馬のいる机の列へジャンプする。

 敵も気づいて竜雄に銃を向けた。

 竜雄の銃と敵の銃が唸る。

 竜雄の脇腹に風穴が空き血が吹き出したかと思うと、敵の銃は吹き飛び、敵の腕と腹には穴が空いていた。

 敵も竜雄もその場に膝をつく。

 すかさず数馬が拳銃を回収してから敵に駆け寄ると、相手の頭を蹴り飛ばし、その場に倒した。

 敵の持っていたサブマシンガンも片手に持つと、敵の目を見据えながら改めて拳銃を向けた。

 素早く狙いをつけると、敵の腕と両足に1発ずつ叩き込む。

 敵の悲鳴をよそに、数馬は冷静に尋ね始めた。

「竜雄、無事か」

「あぁ…!少し痛むが、大丈夫だ…!」

「後で理沙に見てもらおう、さてお前だ」

 数馬はサブマシンガンを机に置き、両手で銃を握りしめて敵に向ける。敵は両手をゆっくり上げて肩で息をしていた。

「俺の質問に正直に答えれば治療して逃がしてやる。ビールでもなんでもひっかけりゃいいさ。だが余計なことしたら殺す、わかったな?」

 数馬が淡々と相手を脅迫する。相手は無言で何度もうなずいた。

「まずここに何の目的でどうやって入ったか言え」

「武器の補充のために来たんだ!校長室の金庫の細工をいじれば武器庫にありつける!」

「金庫の番号は?」

「110634だ!伊東武蔵いとうむさしで覚えりゃいい!」

「どうやって入ったんだ?」

「頼む、その前に治療を…!」

 敵が言うと、数馬は腰からサバイバルナイフを抜き、相手の太ももに突き刺し、すぐに引き抜いた。

「グギャアアア!」

「聞こえなかったのか?どうやって入ったんだ!」

 敵は息も絶え絶えになりながら弱った声で答えた。

「2階の…視聴覚室に…紺野っていうのがいて…それが鍵やシャッターを操作してる…」

「この学校の関係者でそっちの味方は?」

「知らねぇよ…」

 数馬がもう一度ナイフを振り上げる。

「知らねぇんだ嘘じゃねぇ!」

 敵が声を絞り出すようにして叫ぶ。数馬がナイフをしまった。

「…頼む…治療を…!死んじまうよ…!」

 敵が必死に言う。数馬は銃を下ろして呟いた。

「そうだな」

 敵の表情が明るくなる。だがそれは一瞬だった。

「ここで撃たないのが…普通なんだろうな」

 数馬がどこにも焦点の合っていない目で敵を睨んだ。

「人間としても正しいんだろう。そう約束したしな」

 そう言葉を発する数馬の右手の拳銃は改めて敵の眉間に向いていた。

「でもお前が裏切らない保証はない。お前が裏切った段階でみんな殺されるだろう」

「待ってくれよ…!」

 敵の瞳に恐怖の色が宿ったのを数馬は見逃さなかった。

「…だがここで俺がお前を撃てば…みんなも生き残れる」

「助けてくれよやめてくれ!」

 敵が絶叫し、両手を数馬に向けた。

「悪く思うな」


 銃声が一発、鳴り響く。

 数馬は足下の血溜まりと死体を見下ろしながら銃を下ろした。返り血に汚れた顔を、拭こうともしなかった。

「…これだから普通って言葉は嫌いなんだ」

 数馬の言葉に、竜雄は我に帰った。彼は目の前の出来事にただただ衝撃を受けていて何もできなかったのである。

「数馬…」

「桃達に報告してから理沙のところまで送る」

 数馬は竜雄に目も合わせず言うと、もうひとつの死体から銃を回収し、校長室の扉を開けて遼に銃を渡して得た情報を伝えると、竜雄の下に戻った。

 竜雄の肩を持ち、机からゆっくり下ろすと、数馬と竜雄は肩を組んで歩き始めた。

「さっきの数馬…すごかったよ…俺ビビっちまった」

 竜雄の言葉に、数馬は俯いて首を振った。

「俺、怖かった?」

「うん、無抵抗の敵にあんな風に…そりゃ怖かった」

「…地獄行きだな、俺、間違いなく。でも俺はためらわない」

 決意を語る数馬の横顔が、竜雄には寂しく見えた。竜雄には、数馬の本心が少し見えたような気がした。

「みんなで生きるためにどんなこともする、か」

 竜雄の言葉に数馬は反応しない。だがこれが数馬の本心であることは竜雄は見通していた。

「やっぱ数馬は俺と違って主人公だよ。誰かのために、徹底して自分の手を汚す。時には自分の心すら殺す。すげーよあんた」

「お前だって大切な家族は全力で守るだろ。そっちの方がよっぽど主人公らしい。顔も俺より主人公っぽいしな」

 数馬は竜雄にそう言って笑いかける。竜雄は軽く首を横に振ったあと、小さく笑うのだった。



 数馬と竜雄が保健室へ歩いている頃、校長室では明美が2階のメンバーに電話をかけていた。

「視聴覚室で操作しているんだって。うん。紺野って人がいるみたい。気をつけてね」

 明美が言い終えると携帯を切り、桃の方を見る。

 桃の方も金庫を開けられたようだった。明美もそこに近づき、金庫の中身を見る。

 金庫の大きさは高さ1mほどで、大きめの洗濯機くらいのサイズである。だがその中には何も入っていなかった。

 目の前の不思議な状況にみんな首を傾げたが、すぐに明美が何かに気づいた。

「照らして」

 明美が武に言いながらしゃがみこんで金庫の中に入る。武が中を照らすと、金庫の奥の壁に0から9までのキーボードの付いた白い電子的なパネルがあった。明美はすぐさまそこのキーボードに110634と入力する。

 電子音がピコーンと鳴ると、校長室の机が音を立てて横に動く。現れたのは地下へ続く階段だった。

「…冗談でしょ?」

 香織が思わず呟く。遼が数馬から渡されたサブマシンガン(H&K UMP)を向けながら階段の奥を覗き込む。

「冗談じゃなさそうだ。行ってみよう」

 武がライトで階段の先を照らしながら、先頭では遼がサブマシンガンを構えて進んでいく。

 後から付いてきた生徒達が見たのは地下室と、その壁にズラッと並んだ大量の銃器だった。

「…すごいな。本当にあるとは」

 遼が呟く。他のみんなはこの状況を理解できないのか黙り込んでいた。

「これも写メしとこう。後でみんなでここから武器を補充しよう」

 遼に言われ、明美が携帯で写真を撮る。他のメンバーはただ呆然と武器を眺めていた。

「これか、噂の武器庫ってのは」

 階段の上から数馬の声がする。遼達は振り向いた。

「竜雄は?」

「ちゃんと保健室送ってきた」

 数馬が短く答えながら地下室に下り、武器を選び始めた。

「校長先生も知ってたのかな、これ」

「だったらやっぱりあの資料にあった伊東っていうのも…」

 明美と香織が呟く。校長先生まで敵なのだとしたら今の状況は非常に危険だ。

「愚痴るのは後。今は生き延びるのが最優先、銃を持って」

 桃が銃を選び、自分のリュックに入れながら言う。桃の言葉に、香織と明美も黙り込み、銃を手に取り始めた。

最後までご高覧いただきましてありがとうございます

よくも悪くも数馬らしい一面をお見せできたのではないかと思います。

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