表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/27

第7話 ルー

魔法使い候補がいる酒場を見つけた勇者オトメと占い師ミド。

結構な繁盛店のようだ。

二人目の仲間をゲットするため、いざ、店内へ!

 「旨そうな匂いしてんなぁ。いいか?ミド。行くぞ」


俺はミドを庇いながらハネ戸を押して中に入った。

どのテーブルにも数人の客が酒を持って談笑していて、どのテーブルにも香草焼きの皿があった。

ラムチョップのような形をしたそれに齧り付きながら、どの客もガハハハと笑っている。

椅子はなく、みんな立ち飲み。

格好から察するに、客層は商人や町人が主みたいだ。


脂とすすが顔についた兄ちゃんが注文を取りに来た。

調理場とホールを兼任してるようだ。


「お二人さん、何にする」


「あー、ちょっと訊きたいんだけど、この店に魔法使いは来てるかな」


「そりゃ魔法使いくらいどこにでもいるだろうさ。

で、何にするんだよ?」


この世界で、日本のような接客を期待してはいけない。

親切丁寧は、地球の、いや日本特有の文化なんじゃないかと、俺は転生してつくづく思った。


「あー、じゃあビアと、この子には甘めのソーダ」


「肉は食わねぇのかよ?ルーの店に来てペグー食わねぇなんてあり得ねぇな」


確かに、この匂いは旨そうだ・・。


「じゃあ、ペグー二皿と、固パンを頼むよ」


ギリギリ、フランスパンと言えなくもない固パンが、俺は好きだ。

やっぱり食い物に関しては、転生前の記憶がどうしても影響するんだよな。

この世界は、似たようなものはあっても何もかも微妙に違うから、慣れるまで結構かかった。


ミドはあたりを見回している。


「みんな声がでかいからな。野郎ばっかだし。怖くないか?」


「いえ、それは大丈夫です。魔法使いの気配を読んでいるのですが、なかなか見つからなくて。でも、いるのはわかるので、このまま様子を見ましょう」


「へい、お待ち!」


運ばれてきたビアとソーダを見て俺は少し驚いた。

アルミのマグカップには、氷が入っていて飲み物が冷やされていた。

こっちの世界では冷やした飲み物が出てくることは滅多になく、井戸や川の水より冷たい状態では出てこない。

氷そのものはあるんだが、発想がないんだな。

こっちの酒はもっぱら、ぬるい、微炭酸、味が濃いの三拍子揃ってるのがお決まりだ。

ミドもカップに口をつけて思わず笑顔になっていた。

見ると、ソーダの底には手作りジャムが沈んでいる。


「おいしい、です」


俺もビアを半分くらい一気に流し込んだ。

うまい!


「はいよ、お待ち!」


続いて運ばれてきたペグーの香草焼きが、これまた旨そう。

滴る脂、数種類の香草のいい薫りが湯気と共に立ち上る。

こちらの世界の魚は臭みがない分、旨味も少ない。

逆に肉は、かなりクセがある。

ただ焼いただけでは獣臭いのが当たり前なんだ。

ここの店主、かなりやるな。


ミドが俺の腕を掴み、一際騒がしい一団を目線で示した。


町人たちに混じって、目立つ風貌の男がいる。

水色に紺の縁取りのスーツを着た金髪の青年。

勇者か?それにしては剣も何も差してない。

彼はリーダー格なのか、余程の常連か、随分顔が広そうだ。

客たちが次々声をかけては、男は陽気に挨拶を返す。


ミドが俺に耳打ちする。

「オトメさん、彼が魔法使いです」


その時さっきの店員が戻ってきた。


「旨いだろ?ここの飯は。これは全部、あの人が考えたんだよ。オーナーの息子の、ルーだ」


店員が指差す先には、あの魔法使いがいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ