第18話 癒されたい
単発の仕事として、大量発生したスライムを退治した勇者オトメ、占い師ミド、魔法使いルーの一行。
見渡す限りの畑を埋めつくしていたスライムたちを、無事倒した俺たち。
ルーは久しぶりの最大出力に疲弊し、ミドも疲れて座り込んでいる。
畑には、アメーバ状のスライムの残骸が散らばり、爽やかとは言えない景色。
数日すれば全部土に返るはずだから、ひとまず仕事としては完了だ。
ミドは座り込んで、自分の手やら足やらをさすっていた。
「筋肉痛になりそうです・・」
ミドの本業は占い師だからな。
冷やして固めたスライムをあれだけの数叩いていけば、
腕がガタガタになるのも当然だ。
ルーも『メラゾーマ』『ヒャダルコ』を全力で撃ったから、
眠くなっているようだ。
でも、これだけは言っとかなきゃ!
俺はルーの背後にピタリと身を寄せた。
「ねぇねぇ、ブルーさぁん」
猫なで声の俺に、腕を上げるのも面倒臭そうなルー。
「なんだよ、ちょっと休ませろよ」
「もちろんですよぉ。それよりブルーさん、メラゾーマ撃ってましたねぇ?」
ルーの肩の上下が止まった。
ニヤリ。
「あとヒャダルコも使ってましたねぇ。ぼく、初めて見ちゃった、本物」
この世界の呪文じゃないことは重々承知だ。
なのにあのときの真剣な顔ったら!
ルーはうるさい!と腕を振り回した。
「お前にゃわからねーだろーがな、魔法ってのは気合いがいるんだよ!無言で撃つより声出したほうが力が出るんだ!スポーツだって何だってそうだろうが!」
「わかりますよ?でもまさか、メラゾーマでくるとはねぇ」
しつこくからかう俺に、ミドが代わりに杖で殴ってきた。
「うるさいですよ二人とも!疲れてるんですから!騒ぐくらいならどこか癒しスポットにでも連れてってくださいっ」
ルーが小さく賛成、と手を上げた。
癒しか・・。
次の町にホイミスタンド(俺が名付けた)でもあればいいんだけどな。
癒しの呪文を唱えてくれる自販機だ。
ホイミ売りでもいいんだけどね。
実際湯治より効くんだな、この手当てってやつが。
「雇い主に道聞いて、早く次の町に行こうぜ」
「今夜は野宿はしたくありませんね・・」
それもそうだな。
ギャラの受け取りがてら、聞いてみるか!